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「組織に流れる感情」のマネジメント。

こんにちは。本島です。

組織のパフォーマンスを「持続的に」上げていく上で、メンバーひとりひとり、また組織全体がどのような感情を持つか、持って欲しいかを自覚的に考えてみる事は非常に重要だと考えています。
またその実現に当たっては、マネージャー自身の組織への働きかけによるところが非常に大きいです(という自覚を持つまで私はだいぶ時間がかかりましたが…)。

長くなりそうなので、最初にまとめておきます。

■組織に流れる感情のマネジメントについて。
・それは、マネージャーの働きかけで、マネジメントする事が可能です。
「成長実感」「貢献実感」「居場所の実感」という感情を持ってもらう事が「いい感じ」のゴールだと考えています。
・その為には、「危機感」「わくわく感」「安心感」を醸成するコミュニケーションが大切です。
「危機感」は「要望」のコミュニケーション、「わくわく感」は「期待」のコミュニケーション、「安心感」は「ありがとう」のコミュニケーションで醸成します。
・マネージャーには、一人になっても、自組織やメンバーへ「期待」し続ける強さが必要です。
・最後に、必ず「振り返り(内省)」を促すコミュニケーションをお忘れなく。

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「成長実感」「貢献実感」「居場所の実感」

私がメンバーに感じて欲しいと願っているのは、「成長実感」「貢献実感」「居場所の実感」です。簡単に説明します。

成長実感:この組織で働いて、出来る事が増えた。新しい考え方を学べた。
貢献実感:この組織で働いて、顧客や社内から感謝され、喜ばれた。
居場所の実感:この組織に愛着があり、自分もここに貢献したい。
※上司が感じる事ではなく、メンバーが実感する事が重要だという意味を込めて、「実感」という言葉にこだわっています。上司が「あいつ成長したな」と思う事は、ここでは重要ではなく、メンバー自身が「私、成長した気がするな」と感じる事が重要です。

というようなことです。どうしたらこの3つの実感を、メンバー1人1人が持てるかを日々考えています。

「危機感」「わくわく感」「安心感」

しかし一足飛びにその実感を持ってもらう事は難しく、初期駆動させるべき感情は、「危機感」「わくわく感」「安心感」です。

危機感:このままではマズい、何とかしなければならないという感情
わくわく感:良い方向に変わる、変えられるかもしれないという感情
安心感:話したい事が話せる、自分の存在が認められているという感情

「要望」「期待」「ありがとう」のコミュニケーション。

■危機感を醸成する「要望」。
危機感が有効な場合は、出すべき成果が出せていないにも関わらず、メンバーがそれに気づいていない状態です。その場合には、遠慮なく、「このままだとまずい。」「これはここまでにやらなければならない。」という事をきちんと要望しましょう。「気付く」という意味では、締め切りをきちんと設定して管理していく等も有効ですよね。納期を細かく設定して、進捗管理を続ける事は、マネジメントの基本でもありますね。しかし。「要望」だけでは窮屈になりがちだったり、短期間の締め切りコミュニケーションだけでは、仕事に追われて疲弊してしまいがち。短期的な改善は見込めますが、中長期的には必ず息切れを起こします。
そして、実は多くの場合は「今のままではまずいのでは」と、ぼんやりとした危機感が既に存在している事が多く、改めてそれを伝えても有効に働かない事が多いのも実際にはあります。そんな状態のメンバーは心の中で「言われなくてもわかっていますよ」とつぶやいている事もあるでしょう。

■わくわく感を醸成する「期待」。
そんな時には、「期待」を伝える事がお勧めです。

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「ありたい姿」をメンバー自身と上司の協働で描くという作業を行う事で、現状とのGAPを生み出し、それをわくわく感に繋げていくという考え方です。
起点は、マネージャーからの「期待」をメンバーに伝える事です。成果が出ていない人・組織ほど自信を失っており、自分だけで自分に期待する事は不可能です。ぜひマネージャーから「君ならこんな風になれると私は思うのだけどどうだろう?」とか「我々ならこんな事が実現できると私は思うのだけどどうだろう?」と期待を投げかけるコミュニケーションを試してみてください。「確かに出来るかもしれない」と思ってもらえたら…、作業に追い立てられる危機感ではなく、主体的にあるべき姿を追いかけるわくわく感に、メンバーの感情が変化していくはずです。

「負け」が当たり前になってしまっている組織においては、1人だけで「期待」を伝え始める事は勇気が必要かもしれませんが、それでも自分の組織・メンバーに期待できる強さが必要です。

■安心感を醸成する「ありがとう」。
最後に「安心感」についてです。思ったことを素直に発信できる、受け止めてもらえる、知ってもらっている、認めてもらえている等の「安心感」は全てのベースです。安心感が無いと、感情は「負」の方向に振れがち。同じことを伝えても、納得するか不満が生まれるかの境目は、安心感の有無にあると言っても過言ではありません。
安心感を高める為にマネージャーが出来るコミュニケーションの基本、それは「ありがとう」の多用です。依頼していた仕事の完了報告が来た時、耳が痛い事でも意見してきてくれた時、会議室を予約してくれた時。そんな時に常に「ありがとう」と伝えているか・・・。恐怖がうずまく緊張状態の組織であるか、健全な危機感のある組織であるかは、日常のこの一言にかかっています。ぜひ意識して「ありがとう」と伝えてみてください

さて、危機感とわくわく感と安心感が健全に生まれはじめた組織においては、前向きな取り組みが始まり、以前よりも成果に近づいていっている事でしょう。もしかしたら、既に成果を残す事ができ、大きな達成感があるかもしれません。

しかし、最後にまだ仕事は残っています。

”実感”を生み出す「振り返り(内省)」。

それは「振り返り(内省)」を促す事です。
例えば下記のような質問をメンバーに問いかけてみましょう。内省を促し、言語化してもらうことで、良い取り組みの再現性が飛躍的に高まるとともに、成長「実感」を引き出せると思います。

■成長実感を引き出す問いかけ例
この仕事の成功ポイントは何だったと思う?
この仕事の大変だった部分はどこ?
それを乗り越えられた秘訣は何だった?
※言語化された振り返りはこの瞬間に「ナレッジの素」となり、
組織内での横展開が可能にもなります。

また、貢献実感も成長実感と同様ではありますが、誰にどのように貢献できたかは、メンバー自身では見えづらい仕事も多いです。
私は、以下のような取り組みをお勧めしています。

■貢献実感を引き出す取り組み例
・(社内外問わず)価値を届けた相手(お客様や社内関係者等)へのインタビューを予め業務プロセスに組み込んでおく。
・定量的な数字(ユーザー数や満足度)を見ながら、全体を数字として捉えるのではなく、ひとりひとりのユーザーを想像しながら話し合う。等。 

ここまでを実現出来れば、後は必然的に「ここが自分の居場所である実感」に繋がっていくと思います。

最後に

「感情」は良くも悪くも伝播します。また、メンバーは上司の事をかなり見てくれています
ご機嫌な感情を流したければ、まずは自分がご機嫌でいる事。
締まった感情を流したければ、まずは自分が締まった感情でいる事。
そんな風に、自分の感情(の見え方)を自覚している事が、重要だと思います。

■まとめ(再掲です)

■組織に流れる感情のマネジメントについて。
・それは、マネージャーの働きかけで、マネジメントする事が可能です。
「成長実感」「貢献実感」「居場所の実感」という感情を持ってもらう事が「いい感じ」のゴールだと考えています。
・その為には、「危機感」「わくわく感」「安心感」を醸成するコミュニケーションが大切です。
「危機感」は「要望」のコミュニケーション、「わくわく感」は「期待」のコミュニケーション、「安心感」は「ありがとう」のコミュニケーションで醸成します。
・マネージャーには、一人になっても、自組織やメンバーへ「期待」し続ける強さが必要です。
・最後に、必ず「振り返り(内省)」を促すコミュニケーションをお忘れなく。

今日もお疲れ様でした!

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