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【映画レビュー】『フラッシュダンス』

前回『キャスト・アウェイ』の感想を書いてから随分あいだが空いてしまいましたが、久しぶりの映画レビューです。


さて、表題のこの『フラッシュダンス』という映画、1983年と結構古い作品です。普段なかなか80年代の映画を掘り起こして観るという機会なんて無いのですが、この作品はかなり昔に強く勧められていた作品でした。

というのも、僕は10代の頃にブレイクダンスというジャンルのダンスを熱心にやっていた時期があって、その当時ダンサー仲間だったか、それともTVや雑誌だったのか記憶が曖昧なのですが、ブレイクダンスやってるなら見といたほうがいい!って聞いた残響だけがずーっと澱のように耳の奥底に留まっていました。

先日Amazon primeをぼけーっと漁っていたら、見覚えのあるジャケットが目に飛び込んできて上述の遠い記憶が蘇りました。

フラッシュダンス

これ以上観るのを先延ばしにしてしまったら次にこのジャケットを目にするのは何年先になるのかわからないなと思ったので、重い腰を上げて先日ようやく視聴したという運びです。

ブレイク(ダンス)をやっていた当時に観ていたらまた違った感想が出てきたのかもしれませんが、今となっては過去ダンスをやっていた演者側(表現者)としての視点なんてとうの昔に忘れてしまった。

でもこの作品を観ながらあの頃ダンスに傾けていた熱い気持ちの残り火が、未だにちらちらと心の奥底にまだ残っているような気がした。

いやそれはやっぱり過ぎ去った日に燃えていた揺らめきの残像なのかもしれない、けれどもアレックスが踊っている姿を見てダンスってやっぱりいいなって改めて感じたことは間違いない。

あらすじ

ChatGPTさんにあらすじを書いてもらいました。

「フラッシュダンス」とは、1983年に公開されたアメリカの映画のタイトルです。この映画は、アドリアン・リインの監督によって制作され、ジェニファー・ビールスが主演を務めました。
「フラッシュダンス」は、ピッツバーグを舞台に、主人公のアレックス(ジェニファー・ビールス)が昼は溶接工として働きながら、夜はダンサーとして才能を発揮する姿を描いています。彼女は、ダンススクールへの入学を夢見ていて、そのために日々ダンスの練習に励みます。
映画は、アレックスがダンスのオーディションに参加し、夢を叶えるために奮闘する様子を描いています。物語は、彼女の恋愛や友情、そして家族との関係なども交えながら進んでいきます。
「フラッシュダンス」は、そのエネルギッシュなダンスシーンや音楽、そしてアレックスの自己実現の物語などが評価され、大ヒットしました。また、映画の主題曲である「フラッシュダンス... What a Feeling」や「マニアック」などの楽曲も有名です。
この映画は、当時の流行やカルチャーに大きな影響を与え、ダンスやファッションなどのトレンドを生み出しました。日本でも、映画の公開後、ダンスブームが起きるなど、多くの人々に影響を与えました。
「フラッシュダンス」は、ダンスと夢の追求をテーマにした感動的な映画であり、音楽やダンスが好きな人にとっては必見の作品です。

ChatGPT: https://webapp.chatgpt4google.com/s/MjU4MzA1


感想

全体的な所感として

上記のChatGPTが出力したあらすじがこの作品の全てといっても良いぐらいで、作品の全長も80分ぐらいと短い。なので全体を通してスッキリとした作りになっていて、山場らしい山場はやはりラストのシーンになってくる。

個人的には工場の若社長とのラブコメは邪魔で、あの恋愛シーンを省いてでも もう少しアレックスのダンサーとしての魅力がどこから湧き出ているのかとか、そういう彼女のバックボーンに何があるのか(幼少期のエピソード等)をもう少し深掘りしていっても良かったのかなあというのが率直な感想です。単純に彼女が踊っているシーンをもう1つ追加するだけでも嬉しい。

80年代の空気感

作中の80年代のアメリカの雰囲気、特にアレックスのファッションや部屋のインテリアなんかはこの令和の今あらためて見ると、一周回ってお洒落で洗練された印象を受ける。

作品の舞台がピッツバーグというのもなんだか丁度よく、その地方感が街の風景によく出ている。

僕はリアルタイムに80年代のアメリカの雰囲気を憧れ混じりでぼや~っと眺めてきた年代(バック・トゥ・ザ・フューチャーやE.T、グレムリンなんかの街の雰囲気も好き)なので、どちらかというと懐古的なフィルターがかかってしまうんだけれど、それでもこのピッツバーグの街並み(スタンド・バイ・ミーだと田舎すぎる)やアレックスのファッション(特に部屋着)は今見てもお洒落に映る。

自転車がカッコいい

特に僕の興味を惹いたのがアレックスが普段から愛用している自転車だ。

映画の冒頭のシーンから自転車に乗ってアレックスが登場するのだけれど、彼女が乗っているロードバイクのシルエットがとにかくカッコいい。

メッキ塗装された細い丸パイプのクロモリフレームにドロップハンドル、変速はダブルレバー。そして後輪に荷台を取り付けていて実用的だ。

無駄のないこの細身のホリゾンタルフレームは美しい

この洗練されたクロモリロードがまあカッコいいし、アレックスが肩から斜めがけしているウォークマンもオシャレ!

若さ

アレックス役を演じていたジェニファー・ビールズ(Jennifer Beals)の溢れんばかりの若さほとばしるダンスはどのシーンもとても情熱的だった。

踊ること、表現することが楽しいとかそういうレベルを超えて、身体を動かさずにはいられない!といった感情が彼女の表情や躍動感みなぎるステップから感じずにはいられない。

おっさん臭いことを言わせてもらえば、”若いっていいなあ”という言葉に集約されるのかもしれない。

ダンスにぶつける溢れる情熱とは裏腹に、その若さゆえの不器用さやどこに飛んでいってしまうのか分からない危うさみたいなのも若社長とのラブコメを通して描かれていて、やはり僕は”若いっていいなあ”と繰り返し思うのでした。

作中の楽曲

本編20分ぐらいに路地裏で若い子達がブレイクダンスをしているシーンがあるのですが、そこで使われているBGMがどこかで聴いた覚えがありどこだっけなあとYoutubeで改めて原曲を聴き直したら思い出しました。

それがこの『It's Just Begun』っていう曲なんですけど、なんてことはない僕がダンスの練習の時に使っていたテープに入っていた楽曲でした。

今聴いてもめちゃくちゃカッコいい。イントロのホーンの音から既にカッコいい。ファンキーでメリハリも適度にあって、何度もリピートしたくなる。

もう1つこの『It's Just Begun』を使っている動画をYouTubeで見つけました。こっちはそれこそ『フラッシュダンス』のその場面をオマージュしている作りになっています。

冒頭1番目と2番目に出てくる子のスタイルが、当時僕と一緒にブレイクをやっていた友達のスタイルにそっくりで懐かしさが溢れてしまった。

その友達とラジカセと段ボールを抱えて夜な夜な近くのオフィスビルの玄関で練習してたことや、ダンスイベントに呼ばれて新宿の箱で踊ったよなあとか、ホント色んなことを思い出しました。

少し横道に逸れてしまったので映画の感想に戻ります。

ミスをしたとき

ラストのオーディションのシーン、ダンスをミスしてしまったアレックスが面接官に対し「やり直します」と告げてもう一度レコードに針を置き直すシーンが一番印象に残りました。

オーディションという一発勝負の場面でミスをしてそこで潔く諦める方が正しくて、アレックスのように「やり直します」と言って泣きの一回を足掻くことは往生際の悪いことの様にもとれる。特に日本人的な気質では顕著かもしれない。

けれど、失敗したことをその場ですぐに受け止めて愚直に”やり直させて欲しい”、”ちゃんと表現を提供したい”という精神的な姿勢を持っている方がプロの表現者のあるべき姿としてはより良いように僕は思う。

ミスを認める謙虚さとやり直しをする勇気。

ミスをしてしまったらすぐにそれを内省し軌道修正ができるあの謙虚さとアグレッシブさは、なにも若い人たちにだけ求められる姿勢では決してなく、むしろ歳を重ねて日に日にプライドと共に凝り固まっていっている僕の心をチクチクと刺激するには十分すぎるシーンでした。


現在Amazon primeで無料で視聴できるので、もし気になったら是非見てみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。またそのうち気まぐれに映画の感想を書くかもしれません。

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