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GROMACSのtopファイルの[defaults]欄は何を意味しているか?

GROMACSのトポロジーファイル(*.top)の[defaults]は普段意識することはありませんが、何を意味しているのでしょうか? [ defaults ]; nbfunc comb-rule gen-pairs fudgeLJ fudgeQQ1 2 yes 0.5 0.8333 GROMACS 公式の説明は下記です。 [ defaults

    • 結合自由エネルギー計算の理論 その1

      本記事では錬金術的な自由エネルギー計算法に焦点を当てる。 自由エネルギー差は理論上は直接計算できる自由エネルギー摂動法(Free Energy Perturbation; FEP)によると、状態1と0の自由エネルギー差は以下のように計算できます。 Aは自由エネルギー、ΔUは状態0と1のポテンシャルエネルギー差を表しています。 状態0と1を結合状態と非結合状態という風に解釈すればよいです。 つまり状態0と状態1の分子動力学計算をそれぞれ行えば自由エネルギーが算出できること

      • 分子動力学法におけるpHの扱い

        この記事では分子動力学計算においてpHをどのように設定するかについて書きます。 H3O+、OH-を直接表現することは不可まずpHということでH3O+、OH-を系内に入れたいという方もいると思いますが、これは不可です。 まず少なくともH3O+については力場がありません。 仮に力場があったとしても、非常に希薄な濃度であるため、セル内に1分子も入らないというオチが待っています。 アミノ酸のプロトン化状態の指定は必要pHによりアミノ酸のプロトン化状態は変化します。 したがって、p

        • タンパク質の分子量(kDa表記)と残基数の大まかな対応

          生物系の方はタンパク質の分子量を表現するときに「○○kDa」と表現しますね。シミュレーションをやっている立場からすると、残基数で言われたほうがわかりやすいのですが、そこは色々事情があるのでしょう。 そんなわけで心のなかでkDaを残基数に言い換えるために、大まかな対応を確認しておきます。 Daとは何か?そもそもDaとは何でしょう。これは原子量と全く一緒です。12C(炭素12)の原子量は12ですが、すなわち12Daということになります。 アミノ酸のDa各アミノ酸の分子量(D

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          【分子動力学】塩濃度の設定

          参考情報はじめに本記事では分子動力学で生体分子を計算するときに、どの程度塩濃度を設定するか述べます。 ほぼ参考情報から抜き出した内容であるので、詳しく知りたい方は参考情報を見てください。 方法1細胞内のNaCl濃度に合わせる 細胞内のNaCl濃度はおよそ150mMである 分子動力学計算でもこの濃度に合わせたい 系の体積の把握 まず系の体積を把握する。座標ファイルでセルの大きさなどで把握してもよいし、Amberだとtleapで溶媒和するときに系の体積が出力される L

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          Native ContactとQ値

          タンパク質構造の解析でNative Contactsを使っている文献を見かけます。 この記事では、Native Contact や関連する物理量であるQ値(fraction of Native Contacts)の定義や算出方法について紹介します。 Native Contactとは何かNative Contactとは、ある構造中での「接触」(contacts)のことです。 「接触」とは何かというと、ある距離より接近していることです。 つまり、異なる残基の原子同士がある

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          【分子動力学】CMAPとは何か

          分子動力学計算の力場で見かける「CMAP」という単語がわからなかったので、調べてみました。 通常dihedral(二面角)のポテンシャルは のように表されます。 タンパク質の計算では、主鎖の二面角Φ、ψの分布をラマチャンドランプロットで表されますが、上記のポテンシャル表式ではラマチャンドランプロットの再現に限界があるそうです。 これを改善するために、ポテンシャルを補正するのがCMAP(Correction MAP)のようです。 CMAPはΦ、ψ双方の値に応じて二面角

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          分子動力学計算で使う力場まとめ

          はじめに個人的に学習した記録を残しています。 英語情報を見て書いていて、ところどころ日本語が変ですが、ご容赦ください。 参考情報Biomolecular Simulation CHARMMCHARMM36とCHARMM36mが最新の力場である 全原子のパラメータの大元となったのはCHARMM22 生体分子と水のinteractionにQMのエネルギーを使って、部分電荷を決定している。 これにCMAPを加えたのがCHARMM22/CMAP CMAPはφ、ψの二面角に対する

          分子動力学計算で使う力場まとめ

          ライフサイエンス個人メモ

          何も知らないと呪文のよう。。。 GPCRとは何かGタンパク質共役受容体(ジータンパクしつきょうやくじゅようたい、英: G protein-coupled receptor、GPCR)は、生体に存在する受容体の形式の1つである。様々な機能を持ったGタンパク質共役受容体が見られ、既知のタンパク質の中では最大のスーパーファミリーを形成している。 なんのこっちゃ。。。 細胞膜を7回貫通している 細胞外のホルモンを受け取るから、そのシグナルを伝える 多くの疾患に関与している 構造は

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