【分子動力学】塩濃度の設定

参考情報

はじめに

本記事では分子動力学で生体分子を計算するときに、どの程度塩濃度を設定するか述べます。

ほぼ参考情報から抜き出した内容であるので、詳しく知りたい方は参考情報を見てください。

方法1

細胞内のNaCl濃度に合わせる

細胞内のNaCl濃度はおよそ150mMである
分子動力学計算でもこの濃度に合わせたい

系の体積の把握

まず系の体積を把握する。座標ファイルでセルの大きさなどで把握してもよいし、Amberだとtleapで溶媒和するときに系の体積が出力される

L単位に変換する

例えば系の体積が200000Å^3だったとき、

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となる

1LあたりのCl-イオンの数

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となる

系におけるCl-イオンの数

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Na+イオンも理屈は同じであるので、18個入れればよいということになる

ちなみにチュートリアルでは、前もってイオンを挿入して蛋白の電荷を中和してから、各種イオンを追加してました。

方法2

Note2にMatias Machodoさんが書いた「お手軽で良い方法」を書いていました。

1)イオンの数Noを見積もる

設定する塩のモル濃度をCoとし、水分子の数をNwとする

このとき、イオンの数Noは

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となる

2)溶質の電荷Qを考慮して、実際の陽イオンの数N+と陰イオンの数N-を得る

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なお、Qが奇数のときは、Q/2の値を繰り上げる

ただし、この手法は以下の場合に限り適切である

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例)Lysozyme

溶質の電荷Qは+8eで、セル中の水分子数Nwは7000、塩のモル濃度はCo = 0.15Mとする

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No>Qなので問題ない

各イオンの数は下記のとおりになる

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こちらの方法が簡単で良さそうですね。

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