分子動力学計算で使う力場まとめ

はじめに

個人的に学習した記録を残しています。
英語情報を見て書いていて、ところどころ日本語が変ですが、ご容赦ください。

参考情報

Biomolecular Simulation


CHARMM

CHARMM36CHARMM36mが最新の力場である

全原子のパラメータの大元となったのはCHARMM22
生体分子と水のinteractionにQMのエネルギーを使って、部分電荷を決定している。
これにCMAPを加えたのがCHARMM22/CMAP
CMAPはφ、ψの二面角に対するポテンシャル関数であり、二面角のポテンシャルを補正する。二面角の分布を良好に再現することができる
最近のバージョンはCHARMM36であり、CMAPはrefitされた。
また、側鎖の二面角のパラメータも高精度なQM計算によって最適化されている
CHARMM36を改善したものがCHARMM36mであり、天然変性蛋白(IDP)などdisorderした蛋白あるいはペプチドの構造サンプリングを改善している



AMBER

ff14SBff19SBがスタンダードである。
水モデルはff14SBがTIP3Pを前提としているのに対し、ff19SBはOPCを前提としているので注意
https://ambermd.org/AmberModels.php

新しいff19SBのほうが精度は良いと思いますが、3サイトモデルのTIP3Pから4サイトモデルのOPCになるので、計算コストなども考えて選ぶと良いのではないでしょうか。

以下、余談

最初の全原子パラメータはAMBER ff94
RESPフィッティング(QM計算による気相状態の静電ポテンシャルを再現する)により決定された点電荷が特徴。
ff96、ff99、ff99SBなどがあるが、これらは二面角の修正である
ff99SBが長い間スタンダードな力場であったが、ff14SBがこれにとってかわった
ff14SBはペプチドの高精度なQM計算や実験データを参照して、バックボーンと側鎖の二面角パラメータを改善した。

ff14ipqはよくわかりません

ff99SB-ILDNはff99SBを改善した力場で、側鎖のtorsionの値を変更し、側鎖の配座を改善した。とはいえ、これらの改善はff14SBへ統合されたので、今この力場を使う理由はないのかも。

ff14IDPは天然変性タンパクのようにdisorderした状態の配座サンプリングを改善。実際、天然変性蛋白の研究論文を見ていると、ff14IDPが使われている印象がある

これ以外にも無数の力場が存在している。

GROMOS

最新のバージョンはGROMOS 53A5, 53A6である。

GROMOSは全原子の力場ではなく、United Atomの力場である。
したがって、非極性の水素は露わに表現されていない
非結合相互作用のパラメータは熱力学特性を再現するようにフィッティングされている


OPLS/AA

最新版はOPLS3である

ドラッグデザインを見据えて、小分子の結合に注力されている。

オリジナルのOPLS-AAは二面角のパラメータをAMBERから借用していた
OPLS-AA/LでジペプチドのQMエネルギーでフィッティングした
OPLSーAA/LはおそらくOPLS力場で最も使われている


水分子への力場

前述の力場のおおくは3サイトモデルの水の使用を前提として開発された。
AMBERやOPLSではTIP3P(※ff19SBはOPCモデル)、
CHARMMでは修正したTIP3P、
GROMOSではSPCモデル
を使用する

つまり、生体分子の力場にあった力場を選択すればOK

イオン

塩濃度が低いときはデフォルトの力場で十分である
高濃度であれば注意が必要となる
なぜなら古いパラメータは急速、自発的に塩のペア、ときには結晶を形成することがあるからである。
近年はこの問題が解決されつつある

一般分子を対象とした力場

工事中

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