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【合気道】アレクサンダーテクニークで毎日の身体が変わる その3

 ATは、日ごろ癖となっている余分な自然ではない、動きの癖を修正するもので、一時的に直したり痛みを緩和するものとは違います。言うなれば、自然な動きを習慣化し、それが当たり前となるようにするものだと思います。
 前回までの記録はこちら。

凡例 太字=課題 〇施術者 ●私(体験者)の感想や気づき ◎ATによる修正結果の事実

7回目(6/16)

課題 四股立ちをしながら、前に手を出し、沈み込む動きがスムーズにできない。(合気道の型の中の動きの一つ)無理やりやると、太ももの裏が攣ってしまった。

⇒解決のアプローチ
・膝の動きや腰の動きよりも、まず上半身の身体の使い方、バランスに注目する。上腕をフリーにさせ、体幹のみで動かせるようにする。

〇指導
・これまでやったような胸鎖関節を開くことをする。そのときに、肋骨の中の肺に空気が充満し、前にも後(背中側)にも、肋骨の下方にも全体に大きく風船のように広がるようにする。これは、イメージではなく実際に背中側が膨らむようにする。こうすると胸鎖関節が開く。
・この状態で、少し視線を上に向け、胸をそらすようにすると鎖骨がロックされ、肩から上腕がぶら下がった状態になる。ぶらぶらで力が抜けた状態になる。
→肩回りの筋を無意識に固めてしまい、腕に緊張がある。ブラブラにならない。
・肩を挙げて、肩甲骨を背中でぶつけるようにしてはどうか。
→それでもうまくできない。
【ワーク】
・ヨガのロールワークをやってみる。

 ロールダウンの際に、上腕がぶらぶらとなるので、その感覚のまま先ほどの胸を反らす態勢にもっていく。
●ロールダウンでのぶらぶら感覚は分かる。ロールダウンからならば、肘のこわばりを抜いて、胸を広げた形が作れる。

・広がる、伸ばす、上げるという言葉を使って説明する方がいい。
 縮めるや下げるは、そこに付随して動いてしまうところが多数ある。
 例:肩を下げて→首を引っ込めたり、身体を曲げてしまう。相対的に肩が下がらなくなってしまう。
 言い換え:首を伸ばして、背中を丸く伸ばすのを許してあげて。など

●上腕のぶらぶら、肘の力抜きが出来ているかは、施術者やパートナーに触れて確認してもらうのがよい。自分ではわからない。

・胸を開いて、上腕をぶらぶらにしたまま、四股立ちを行ってみる。この時、若干前に頭が倒れてもいい、お尻が後ろに突き出してもよい。

◎結果
 なかなか上腕のぶらぶら状態や胸を前後左右に膨らますことができないのですが、その状態を施術者に確認してもらい、ある程度できた状態で、四股立ちを試してみると、驚くほどスムーズに沈みこむことができました。
 最初はできなかった、前で手を組む(法印を組みながら)形で、手が地面に着くまで沈む形もできました。
 あまりにも軽く、深く沈むことが出来るので、驚いたくらい。

●応用で、合気道の原理の一つである重みをかける技がこれで上達できるのではないかと思い、施術者にかけていただく。(合気道的な説明は一切しない)すると、私が技が出来ている人にかけられたときと同じように崩されました。施術者には、「相手の手の重みを感じる」というフレーズが出たので、その共通に驚きました。
 私も上記の身体の使い(頭を浮かせ、背骨を揺らし、首を伸ばして、胸鎖関節を開いて、肋骨の前後左右を膨らませて・・・)を行ったうえで、施術者(この場合 受け)の手をつかんだところ、驚くほど明敏に相手の腕の重さを感じ取り、また自分の重みを感じることもできました。
 この状態であれば、あとは体幹部の上下の動きだけで崩すことが容易でした。次回もこの動きの精緻化、自分がいつもこの状態になれるための、言語化をこころみたいと思います。

8回目(6/18)

課題 股関節を前後に動かすという感覚が分からない。
下半身の動きを上半身に伝える感覚が股関節辺りで薄くなってしまう。
下記動画と同じことが、少しできるのだが精度がイマイチ

⇒解決のアプローチ
・股関節のかたち、股関節のどこから大腿骨が出ているか、つながっているか、どこが動いているのかを正しく認識する。

〇指導
・骨格模型を見て、股関節と大腿骨がどこで接続しているのかを確認する。
 次に、実際に施術者の大転子や転子窩に触れて場所を確認。
 さらに、被験者の転子窩の場所も探し出させ、自分で確認できるようにする。
 →大腿骨は、自分の思っているところよりも、指4本分ぐらい下につながっている場所(大腿骨頭)があった。


・腰椎や仙骨は、若干は上下に動くが、基本的には横方向の回転を司るところ。ここを上下に動かそうと思っても、無理な動きになる。
・背骨を意識するには、前回やったロールダウンのワークをやりながら、5つの腰椎、12の胸椎、7つの頸椎の骨を一つ一つ数えながら上がっていくようにするとよい。
【ワーク】
・股関節周りを整えるワーク
 前で足の裏を左右、後ろで足の裏を左右みる×2
・胡坐をかく。この時できるだけ、膝がしらが下を向くように、そして足の裏を上に向けながら寄せる。この状態から、前方に上半身を倒す。この時に、股関節が上下に動く。これが股関節が上下に動くということ。

◎結果
 前よりも、股関節を前後に動かすと骨盤を前後に動かすの違いがわかりました。骨盤は前後に動きにくいので、股関節の接点を前後するようになるのですね。

9回目(6/29)

課題 胸を開く(胸鎖関節を開く)や立ち方について、日常でも気を付けているが、改めてできているか確認してほしい。

⇒解決のアプローチ
・実際に立ってもらって確認、足に裏に重みをしっかり感じているか。
・歩いてもらって確認

〇指導
・大体できていると思う。頭と背骨の関係(上半身)はよい。
・膝や股関節に改善点があるため、ワークを試してみる。

【ワーク1】
 長座となり、膝蓋骨(いわゆる膝のお皿)をぐりぐりと動かす。
 片方のみを動かし、立ち上がってみて左右差を感じてみる。動かした方が軽くなっているはず。両方やってみて、膝の緊張を少なくする。
【ワーク2】
 後ろ向きに歩いてみる。この時、前を見ながら同時に後ろに世界の半分が存在していることを意識しながら、後ろに出した足に体重をしっかり掛けてから足を継いでいく。
 こうしてから歩いてみる、または立ってみると足と地面の接地面がよりしっかり意識できる。
 ※施術者が後ろの安全を確保する。
→やや踵よりに重みの意識が増えたと思った。
【ワーク3】
 再び長座となり半跏趺坐をしてみる。できない場合は次の手順を踏んで足を組んでみる。
1 長座から片方の爪先を外側にコロンと倒す。すると、股関節(骨盤と大腿骨の接点)に空間ができるのが分かる。その空間をつぶさないように足を引き寄せる。
2 反対側の足も同様に行う。
3 足の裏がしっかり返って股関節が楽な状態で足を組むことが出来る。
4 そこから少しストレッチ。

◎結果
 【ワーク1~3】を行った後、再び立ち上がってみると、足にあった緊張がほぐれているため、姿勢がよくなりました。
 下半身の緊張は実は意識しにくいです。下半身に知らず生じているこわばりをワークで低減あるいは意識することで、上半身にまで良い影響がでてきます。いわゆる上虚下実とはこのことをいうのか! という感覚がありました。

課題 杖術で杖を前に突き出す動作があるが、この時意識していないと、背筋が曲がったよくない姿勢になってしまう。これを直すのにはどれくらいかかるのか?

⇒解決のアプローチ
 どのような姿勢が悪い姿勢と考えているのか。
 悪い姿勢をあえて作っているようなら、それはすぐに脇に置いたりスルーしたりしてみる。

〇指導
・「今、あなたは、わざと悪い例と良い例を示演されましたね。」
 自分で自然と良い姿勢ができていれば、悪い姿勢をあえて例示する必要はない。悪い姿勢だと思ったらそれを直ぐに脇において、直せばよい。その繰り返し。

◎結論
前段のワークで身体が整ったせいか、悪い例を演じること自体が難しかったため、上述のような指導をいただきました。身体が整えば、自然と「できてしまう」ようです。

課題 居合術で至近距離の敵に対して抜刀する動きがある。この稽古では、壁に柄頭をつけたまま抜刀するのだが、これがうまくできない。

⇒解決のアプローチ
 抜刀までの最大距離は、股関節を開くことで稼げる。今日たまたま行った【ワーク3】の股関節の空間、足首を外に倒すが役に立ちそう。

〇指導
・柄頭を押さえるので、まずは今まで通りやってみる。
 次に、爪先を開くことで、股関節の空間をつくる先ほどの【ワーク3】の感覚にて、股関節を開いてやってみる。
・柄頭を押さえるのを止めるので、その動きをやってみる。

◎結論
 今までもなんとか抜刀できていたが、鞘の中で引っかかっていることがありました。今回股関節の開き、空間があるイメージ、足首を外側に向ける動きを取り入れたところスムーズに抜刀が出来ました。
 思えば、古伝の絵巻物においても、このように腰を深く割り足首を外側に向けた絵があったことを思い出しました。稚拙な絵だと思っていたのですが、しっかりと型の特徴を捉えていたのだと改めて思い知ったところです。

#日々の大切な習慣


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