自由詩『黄色いバケツ』
連絡がついたとしても、
結局何の連絡にもならない。
ただ朧気に互いの存在を確認し合うだけ。
それが一体、何だと言うのだ?
メッセージはいつも、
頭の中では明確な色彩を帯びているのに、
外に出してしまった途端、
あっという間に薄まって、
跡形もなく消えていく。
それはまるで、
絵の具の付着した絵筆を、
筆洗バケツの水に浸した瞬間、
スーッと色が拡散して、
元々何色だったのか、
判別出来なくなってしまった時のようだ。
連絡がついたとしても、
伝えたいことは薄まって、
何色だったのか分からなくなってしまうから、
それは連絡がつかなかった時と、
大して変わりがないように思う。
ただ朧気に互いの存在を確認し合っているだけなのだ。
📝2007年作、2023年筆削
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