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居酒屋たつみ 【京都四条河原町|立ち呑み・居酒屋】

河原町通を一本入った裏通り。京都の町に詳しくない私でも呑み屋が好きなら自然と耳に入ってくる“居酒屋たつみ“。店構えからして年代物。ここで立ち呑みできる日がやっときた。

入って手前が立ち呑みスペースとちょっと椅子。奥に小上がりのお座敷とテーブル席がある。

“どうぞ〜“とどこへでもと言われた気がしたので、コの字カウンターの真ん中よりちょい入り口寄りで呑むことにした。修行僧かというほどの荷物を持ち歩く私にとって荷物フックやカウンター下の棚はかなり重要。無事リュックをかけれたところで、よし呑もう。平日の昼間とは思えないほどのお客さんの入りにワクワクする。壁や柱、ショーケースにびっしり貼られたメニュー。この黄色い短冊メニューが“たつみ節“であり呑み欲を掻き立てる。“ビールください。“というと“生か瓶か〜。キリンかアサヒかサッポロ〜。“と誰に言ってるのかというほど動きを止めず声も張らない店員さん。でもちゃんと注文したものが出てくる。育ったお店というのは流れがあり、その流れに身を委ねて好きに過ごすのがいい。何にも動じないのでは?と思わせる店員さんと常連さんの安心感は一見客にとてもやさしい。

なんて考えたりテレビを見たりしていると料理が届いた。もろきゅうと焼き椎茸、追加でこんにゃく田楽としそニンニクを頼んだ。ハシゴする気まんまんなので1軒目はこのくらい。ちびちびつまみながらゆっくり呑む。量もちょうどいい。1人でも何品か食べれる少なさというのはとてもありがたい。どうか立ち呑み屋は量より質であってくれと願う。

生ビールをお抹茶でもいただくように手を添えて幸せそうに呑む常連さんや、広げたおしぼりに枡を置いてたっぷり注がれるお酒を待つお父さん、瓶ビールをおじさんのように呑むお人形スタイルのおばさんに、ハイリキをキメる仕事できますなおねえさん。いろんな人の立ち呑む姿は日常だった。この店が長く愛されるのは立ち呑みムーブメントなんてゆうものに巻き込まれない、生活の一部という強くあったかい位置を築いたからに違いない。はず。

今日の合間に、道を歩く途中に、“居酒屋たつみ“があるこの町の人たちに嫉妬しながら、ここを特別と思うよそ者の私もなかなか乙ですな、と意味のわからないことを考えながらニヤニヤ店を後にする。次回は“たこぶつ“と“小芋の竜田揚げ“寒い時期だったら“おでん“にしようと、心に決めた。

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