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トラウマがないのに複雑性PTSD? 複雑性PTSD治療日記2

私が複雑性PTSDという概念と出会ったのは、たまたま複雑性PTSDの本を読んだことからです。
読む前は、自分がまさかその複雑性PTSDというものだとは思ってもいませんでした。
なぜなら私には、いわゆる『トラウマ』というものに全く心当たりがなかったからです。

それまで私は、トラウマというのは命に関わるような、ものすごく恐ろしい経験をしたことから発生するものと思っていました。私は命に関わるような事故にあったこともないし、誘拐されたこともありません。家には両親揃っていましたし、食べ物も着るものもあり、私が当時思い描いていたような『虐待』を受けた記憶もありません。

なので複雑性PTSDの診断を受けた後も、多種多様な症状に苦しみながらも毎日のようにこう思いました。

『本当は自分にはトラウマなんてないのではないか?
自分の人生の責任を誰かに押し付けようとしているだけなのではないか?
甘えているだけなのでは?
私は頭がおかしいのではないか?』

今これを書いているだけで結構つらいです…。それだけこの声が、自分と一体化してずっと長いこと自分を責めていました。

この自責、そして被害の矮小化こそがPTSDの主な症状の一つなのですが、それ自体幼少期に学び、そしてずっと使い続けた防衛反応の一つなため、この防衛反応を外在化、可視化するのは本当に大変で、五ヶ月経った今も実際奮闘中です。特に私は家族のことを考えるたびに罪悪感と恥に苛まれこうなりがちです。

親は私を育ててくれたのに。食べるものも着るものもあり、いい教育を受けさせてもらったのに。自分は恐ろしい親不孝ものなのではないか…。

そんな私が私が自分の複雑性PTSDを受け入れるに至ったのは、自分の幼少期に起こったことについてはいくら疑えても、自分の体が複雑性PTSDになっていたというのは物理的に否定できなかったからです。

ピート・ウォーカーはその著書で『愛着障害としての複雑性PTSD』について語っています。誤解を恐れずものすごくシンプルに言うと、

一定期間誰からも感情的に理解されず、助けを得られないと感じる状態が続くと、自分の体がその環境に適応し、それが複雑性PTSDと呼ばれる状態になる

と言うことです。

ピート・ウォーカーによると、複雑性PTSDは例え酷い虐待を受けていたとしてもたった一人でも安心して話ができる存在がいたら発症しないそうです。(これを初めて知った時の衝撃!!!!)なので、ほぼ同じような境遇でも複雑性PTSDを発症する人としない人がいるわけですね。同時に、私のように嗜虐な虐待を受けていなくても長期間危険を感じる状態で、自分の感情を安心して吐露できる相手がいないと複雑性PTSDになりうる

これはまた別のポストに詳しく書こうと思うのですが、私の場合は兄弟から精神的虐待があり、そこに両親の精神的ネグレクトが重なり複雑性PTSDになったのではないかと今現在(治療五ヶ月目)は考えています。ただ私は10歳以前の記憶がほとんどなく、その頃にはすでにゴリゴリに症状が出ていましたので、この辺りは本当に憶測が多くなってしまっています。

ついでに言いますと、この兄弟も親からのネグレクトでやばい感じになってしまった上に適切なケアを受けられず育ってしまった可能性が高いので、最終的には親になってしまうのですが、まあその親も自分の親から適切なケアを受けずに育ってきているので、ネグレクトの世代のループですね。

話がそれましたが、複雑性PTSDという状態とは何を指すのかと言いますと、ものすごく簡単にいうとこんな感じです。

  1. 誰も頼れる人間がいない状況で長時間過ごす

  2. 体が危険を感じている状態を『正常な状態』と認識する

  3. その『正常な状態』に適応するために防衛反応が過剰に発達する

具体的にどうなるかというと、

  1. 人といるときにリラックスし、わかり合ったり愛し合ったりする神経が発達しないままなので人と深く繋がることができない

  2. 危険を感じている状態を『正常な状態』と認識するので安全な状態が怖い、落ち着かない

  3. 安全な環境にいる時も危険な環境に適応するために過剰に発達した防衛反応が過剰反応してしまう(闘争、逃走、フリーズ、迎合)

  4. 自律神経がうまく働かず疲れやすかったり休めなかったりする

ここからさらに細分化して、多くの場合ADHDや双極性障害と似通った症状が出てきます。この辺りの症状は主に使われる防衛反応によるところも多いので、そちらで詳しく書いていこうと思いますが、どの防衛反応でも基本的に自律神経がうまく働かない、というところは同じなので、私の場合は自律神経の働きである程度回復の程度を測っているところがあるのですが、はっきり言って最初はどの自律神経が優位になっているかなんてさっぱりわかりません。なので、どうやってそれを知るのかもまた別のポストで書きたいと思っています。





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