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複雑性PTSD治療日記(試した治療法)

私は2023年末辺りに初めて複雑性PTSDと言うものを知り、2024年1月に複雑性PTSD専門の先生とお話しして、複雑性PTSDの治療を始めました。

結構沢山やってみたのですが、やっていて本当にびっくりすることやなんでこれ学校で教えてないの?義務教育で教えるべきでは?と思うことも多く、私のようによくわからない生きづらさに苦しんでいる人たちに届いてくれ…と言う気持ちでブログにしたためることにしました。

今までに私が試した治療法や読んだ本などをリストにし、随時更新していく予定です。

おすすめ順に並べておきますので上からどうぞ。


個人的に絶対に試してみるべき治療法

自助グループ


まさか自分が自助グループと呼ばれるものに参加する日が来るとは…。実のところ、一番最初に参加したのは不安障害の自助グループでした。今日日みんなオンラインでやってはいるものの、地元エリアのグループの方がいいのかな〜と最初は思い、複雑性PTSDのものがなかったので不安障害のものに行ってみようとなり。当時、人前で話すと体が震えてしまうという症状も出ていたのでちょうどいいな、と思ったんですね。しかし不安障害の自助グループは…個人的にそこまで助けにはなりませんでした。。これについては機会があったらまた詳しく書きたいかもしれません。

話がそれましたが、その後複雑性PTSD専門の先生がやっている自助グループに参加し、その経験はおそらく今までやったどの治療法よりも劇的な変化をもたらしてくれました。個人的には、自助グループに限らず他者に自己開示をし、理解が得られる環境複雑性PTSDの治療には欠かせないのではないかと思います。でも複雑性PTSDだと特にそんな環境に偶然恵まれることはほとんどないので、そんな環境ねーなと思う方は奇跡を待たず自助グループを探してみましょう…。

自助グループは本当に当たり外れと言いますか、同じグループですらその週のメンバーによって大分印象が変わりますので、とにかくいろんな自助グループを探してみることをおすすめします。正直に言いますと、自助グループだからといってどこでもきちんと安全管理がされているわけではなく、主催者さんも人間ですので管理しきれないこともありますので、心のバリアはきちんと貼って、最初はあまり期待せず参加してみることをおすすめします。ただ自分に合うグループを見つけられた時の治療効果はその他の治療法とは比べ物にならないレベルですので、多少つらくても頑張って探してみる価値はあると思います。あえて言うなら、出来れば毎回メンバーが全員変わるのではなく、数人は常連さんがいるグループの方が長期にわたって信頼関係を築くことができてより効果的と個人的に思います。自分で自分の成長に気がつけないときに時に周りから成長したねって言われると嬉しいですしね。

EMDR


EMDR…眼球運動ってやつですね。左右に動く指先とかを目で追いながらトラウマになってしまっている記憶を思い出したり話したりすることでトラウマを処理するという、魔法のような療法ですが、これは端的に効きます。びっくりです。何かしらフラッシュバックがある記憶を処理したい人にはおすすめとしか言えません。しかし一つだけ問題点がありまして…覚えていない記憶には使えません

覚えていない記憶??と思うかもしれませんが、複雑性PTSDに至っては本当に幼少期の経験というか、長期間身を置いた環境からなることが多く、フラッシュバックに至ってもいわゆる特定の出来事を思い出すものではなく感情的フラッシュバックという特定の出来事を思い出さないものが多いです。なので私も含めフラッシュバックをフラッシュバックと認識していないことも多い。

では何を持ってEMDRを効くというのか?と言いますと、私は数年前にトラウマになってしまった出来事があり、それはきちんと記憶があるのでそれに対してEMDRをしました。この出来事ですが、PTSDになってしまった理由が私の複雑性PTSDにあるのではないかと思っていまして、このリストにも加えました。この辺りの話はまた別のポストで話したいと思っています。複雑性PTSDの人はトラウマになりやすい体になっている説、ですね。

あと恥のフラッシュバックで思い出す出来事にもちゃんと効いて、本当につらかった時に助けられましたね…。

読書


本は良いです。
本は本当に良いです…。私は元々読書が好きなので沢山読んだのですが、あんまり読書が好きでないという人にはとりあえずこの一冊だけおすすめします。これ一つでいいです。私はこの本英語、日本語、お勧め用で3冊買いました…。興味があるという人たちに会う度にあげていたら5冊になりました。

なぜ数ある本の中でこの一冊をおすすめするのかと言うと、全体的なクオリティもそうなんですが、何より私が読んだ中では一番4つの防衛反応についてわかりやすく説明してくれている気がするからです。この4つの防衛反応が理解的できたら勝ったも同然、と自分に言い聞かせて読みましょう。ちょっと高めですが、個人的にこの一冊で他の本10冊以上の価値はあると思います。

ジャーナリング
ジャーナリングは非常にシンプルで、自分の思考や感情のパターンをひたすら書き出すと言うものです。シンプルでリーズナブルでどこでもできる気軽さなのにかなり効果が高く、おすすめ度はトップに近いのですが、基本一人でやらないといけないし単にモチベーション的に続けるのが難しいという難点があるのでこの辺りになりました。しかし繰り返しますが、特に恥のフラッシュバックへの効果はてきめん。書いている時は本当に気分が悪くなったり吐きそうになったりするのですが、終わってみると全然違った視点になっていたり、とにかくものっっっっすごくスッキリして、数週間後に書き出した出来事の恥のフラッシュバックが無くなったと気づいた時は空を仰ぎたくなります…。個人的にEMDRよりも成功率が高いのですが、EMDRの方がやってる時の苦しさは控えめなので、多分苦しいほど効くんだな〜と思ってます。良薬は口に苦しってやつですかね…。
ただジャーナリングに関しては、詳細を誤魔化したり守りに入ってしまうと効きません。どこまでも正直に、これと向き合いたくないんじゃ〜と言うことを苦しみながらひたすらに書き出しましょう…。大丈夫、書いてみると結構『こうやって読んでみるとなんでこんなことに長年苦しんでいたんだ?』みたいになりがちです。

内的家族システム療法(IFS)


内的家族システム療法(IFS)は複雑性PTSD界隈では『トラウマ治療ならとりあえずこれをやれ!!』という感じで至る所でおすすめされていて複雑性PTSD治療の王者の貫禄があります。IFSはよく知らなくとも、インナーチャイルドなんかは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。自分の中に沢山の人格(パーツ)がいて、それらと会話すると言う一見ちょっと怪しい療法ですが、かなり効果的ですし、やってみると意外にもとても論理的というか、ものすごく自己理解を深めてくれるツールだと思います。簡単そうに見えてとても奥が深く、今も勉強中なのですが…。

ちなみにIFSセラピーをやっているセラピストさんを見つけるとセラピストさんがいい感じにガイドしてくれますが、自分でも本を読んだりして知識をつけておいた方が成功率が高いと思います。セラピストさんとだけやっていると何ヶ月とか何年もかかることがあり、別に時間がかかってもいいのですが、単純に高くつきます

IFSについて書かれた本は結構あるのですが、IFSは経験してみないとどうにもならない治療法ですので、ここは具体的なエクササイズが豊富に紹介されているこちらの本をおすすめしておきます。私は寝る前に読んで、布団の中でエクササイズをやってみたりしていました。(寝落ちしがちな人にはおすすめできないやり方ですね…)しかしこの本の中で紹介されている『パーツにお留守番をしてもらって散歩に行く』エクササイズをやった日は、当時症状がひどく眠れなかった日が続いていたにも関わらず人生で1、2を争う安眠ができて心底びっくりしました。たまたまかもしれませんが…

ポリヴェーガル理論


ポリヴェーガル理論は自律神経と行動や精神状態の関連性を発見したもので、複雑性PTSDの治療に関しては非常に重要なコンセプトなのですが、学術的なことを理解しなくても自律神経の治療はできます。簡単に言ってしまうと人といる時でもリラックスできるようになろう、ということです。人と一緒にいる時に心底リラックスできるようになったら複雑性PTSDは9割回復してると言えるのかもしれません。

とはいえ言うは易し。治療には時間がかかりますし、そこに至る道のりも平坦なものではありません。自律神経の仕組みを理解すると治療もより効果的ですので、私はこの本がとてもシンプルにわかりやすくまとめられていてとても良いな、と思いました。

特にポリヴェーガル理論は各神経の名前がややこしいので、それを赤はアクセル青は急ブレーキ緑はいい感じにコントロールできてるブレーキ!と言い換えることでとても直感的になり、赤緑、緑青など色のグラデーションで考えることで自分の状態がわかりやすくなるのが素晴らしいな…と感嘆です。

青や赤を『悪いもの』と考えるのではなく、そこに緑を混ぜることで『やるかやらないか』『成功か失敗か』という強迫的な状態でなく『ほどほどに』『やってもいいし、やらなくてもいい』『やり始めてから、やめてもいい』と考えられるリラックスした状態になれるよ、という考え方が刺さりました…。こういった考え方が許されない幼少期だったな、と思い当たるところが…。

ポリヴェーガル理論がなぜ複雑性PTSDの治療にここまで重要かというと、複雑性PTSDの人は治療を頑張り過ぎて一時的に症状を悪化させてしまうことがとても多いからです。治療で重要なのは『何をどれだけやるか』ではなく『1日のうちどれだけリラックスして過ごせるか』『どれだけ神経を安定させられるか』だということを頭と体に叩きこみたい時に、ポリヴェーガル理論は空から舞い降りてきた天使のようなものです。

興味があるようだったら試しても良い治療法

ここまでのアイテムは出来れば全部やって欲しい、と言う感じだったのですが、ここからは余裕があったらやってみてもいい(個人の感想です)と言う感じです。

読書会


読書会は、一つの本をグループで読んで内容を議論したり感想をシェアしたりするものです。特にオープンスタイルの自助グループだとなかなか手を上げられない人におすすめです。大体毎週同じメンバーであることが多いのも安定していて知らない人に会うのが苦手な方にもいいですね。
大体の読書会は一週間で一章くらいのスペースでゆっくりと進みますので、本を読むのが苦手だけどこの本は読みたい、と言う時にもいいですね。
非常にオススメなのですが、一冊読むのに数ヶ月かかるので読書会開始のタイミングや個人の本の好みなどを考えると、なかなかすぐに良いグループが見つからないという理由でこの順位になりました。しかしもしちょうどいいグループが見つかった場合には自助グループ以上の効果も期待できますので、たまに新しいグループなど検索してみるといいかもしれません。

ガボール・マテ 『体がノーと言うとき』


ガボール・マテはトラウマ研究の第一人者で、ホロコースト生存者でもあります。トラウマとALSやがんなどの病気の関連性について問題提起をしていて、昔は「科学的でない」と医学会から批判を受けることも多々あったそうです。

ガボール・マテは私にとっては『自分の中の全ては自己の生存のために動いている』と言う治療の基礎を築いてくれた人でもあります。依存症の治療でも知られていて、複雑性PTSDを知る前にたまたまパートナーと一緒に依存症とトラウマに関する講座を見たのがきっかけで、日本語にも翻訳されている『体がノーと言うとき』を読みました。

闘病』と言う言葉からもわかるようにがんや病気は敵とみなされることが多く、排除しようと言う考え方が主流ですが、ガボール・マテは病気も自分を守ろうとする体の働きに過ぎないのだと指摘します。

個人的に『悪い「私」はいない』と言う、例え自分や他者を苦しめるパーツでも根底では自分も守ろうとしているのだ、と言う考え方の内的家族システム療法に通じるものがあると感じています。

個人的にびっくりしたのが、喘息とアトピー性皮膚炎に関しての研究でした。喘息の子供は、自分に期待されたことは全てこなさないとダメだと感じ、ノーと言えない傾向があり、愛着に問題があり知らない他人の声を聞いた時よりも母親の声を聞いた時の方が不安を感じたそうです。私も喘息持ちだったので、当時の私に同じ実験をしたらどんな結果だったのだろうか…と考えさせられました。

自分に期待されたことは全てこなさないと…に関しては、今でも確かに強迫的なところがあり、記載されている典型的なプロフィールが怖いくらい自分に当てはまっていました。

ちなみに子供が喘息になる家庭の特徴は、子供をがんじがらめに縛っていること、過保護であること、厳格であること、そして紛争の解決がないことと記載されています。紛争の解決がない、とはおそらく家庭内で対立があった時に話し合いをして問題解決に繋げない、ということだと思われます。まさに我が実家

強皮症、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症等の自己免疫疾患をはじめ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、がん等の病を持つ方、またはそれらをもつ方の家族や友人におすすめですが、今特に疾患がなくとも複雑性PTSDは後々何かしら出てくる可能性がとても高いので、治療への意欲を高めたい方にもおすすめ。

ちなみにガボール・マテは様々なトラウマ関連の講座も持っています。(英語のみ)

フォーカシング


多分複雑性PTSDの治療として一番認識されていない療法だと思います。私はどこにもお勧めされているのをみたことがありません…。

フォーカシングはユージン・ジェンドリンさんという方が考案したもので、自分の体の中で起こっていることに注意を向け、それと一緒にいることで体の中で起こっている感覚が変わっていく…みたいな不思議経験をすることができます。

複雑性PTSDの人は、幼少期から自分の感情を表現するのが危険な状態にいると、感情を深く感じることを避け、恒常的に感情を抑圧する状態に入ります。幼少期からずっと絶え間なくその状態なので感情を抑圧していない状態だと自分が世界をどのように経験することになるのかを全く知らない場合が多いです。詳しくはまた別のポストで詳しく書こうと思うのですが、簡単に言うとフォーカシングは感情を感じられるようになるためのトレーニングとしてほとんど最適解だと個人的に思っています。

こんなに信頼しているプロセスなのになぜこんなにリストの下なのかというと、悲しいことにあまり認知されていないからリソースに欠けるからと言うどうしようもない理由です…。IFSなどは本も動画も専門にやっているセラピストさんも一定数いますし、感情に深くアクセスするという複雑性PTSDの人にはとても怖い行為もしなくて良いですのでそちらの方がやはり手を出しやすいと思われます。あとIFSだと一回のセッションでものすごくスッキリすることもあるのですが、(まあフォーカシングでもあるのですが)基本的にフォーカシングは半年なり一年なり一定期間続けた方が効果が出ますし、一人でもできますが基本パートナーが必要になりますのでそういったところも多少面倒くさいところかもしれません。セラピストさんにお願いしてもいいですが、そうなるとどうしてもお値段が気になるところではあります…。
ですが個人的にはリストのかなり上に入れたいほどのオススメ度ですので、興味がある方は是非!

ブレインスポッティング


ブレインスポッティングは興味はあったものの、やってくれるカウンセラーさんがいなかったため保留になっていたのですが、実は自分でもできると知りやってみました。

やり方は、ワークしたい対象を思い浮かべて、その時に生じた身体的な感覚(胸の辺りがモヤモヤ、など)に集中し、指を上下左右に動かしてその感覚が一番強くなる場所を探し、その一点を見つめ続けると言うものです。トラウマでもできるらしいのですが、ちょっと怖いので私は悪夢に出てくるくらい苦手な人のイメージでやってみました。

結論から言いますと、感情が揺さぶられたり身体的な変化は感じられるので多分効いているのだとは思うのですが、私は個人的にEMDRの方が良かったです。なぜかと言うと、私は以前ADHDと診断されたほどの注意力散漫。動いているものを目で追いかけることはできても(ADHD的にこう言った単純作業はありがたい)、じっと一点を見つめていることがとにかくつらくて…。15分くらいやった方がいいと聞いてタイマーを使って15分やったのですが、恐ろしく長く感じました。

しかしちゃんとカウンセラーさんにやってもらったら違ったのかもしれません。経験ある方の意見お待ちしております…。

タッピング


タッピングは、トリガーとなるものを考えながら体のツボを簡単にタッピングすると段々どうでもよくなってくるというものなのですが、これは正直自分でも効いたのかそうでないのかさっぱりわからないです。しかし今でもよくやります。と言うのも、タッピング自体は効いているかわからないのですが、ウッてなった時にただ逃げるのではなく何かをする習慣?みたいなもの自体は非常に効果的だと感じているからです。アスリートが試合前にやるおまじないにある効果みたいな…。何かしら立ち向かえる手段があると言う安心感ですかね。道具とかいらないしパパッと終わるので良。でも別にタッピングでなくてもいいのでは…?とたまに思います。

私の場合は、フラッシュバックとまで行かなくても、たとえば仕事中にやらなきゃいけないタスクがあるのにそのタスクに苦手意識がありウッとなってしまった時などにタッピングをしてから取り掛かるとそのウッとした気持ちを無視して仕事をするよりも集中できる気がします。ウッとなる度に何度もやっているとウッとなる頻度も少なくなりタスクに取り組みやすくはなるな、と思ってますが、単に慣れたとも取れますね…。



このリストは新しい治療法に手を出すたびに更新していく予定です。
それではみなさま良い治療ライフを!

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