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仕事を始めて気づいた建築学生時代の価値(講義編 その1)

 大学に入ると、様々な講義が準備されていますよね。大学のカリキュラムによりけりではありますが、主に計画(意匠)系、構造系、環境系などに大別されるかと思います。

 また、自分の専攻を絞り込んでいくうちに、各講義内容もより具体的に、より専門的なものになっていくかと思います。受講する講義を決める時期に、私は決まって次のような会話を友人とよくしていました。

「講義どれ取る?」
「専攻と必修全部合わせても〇〇単位足りないから、環境の△△と構造の□□を取っておこうかな〜。」

 大学の頃、私は計画(意匠)系を専攻していました。友人には構造系もいましたし、環境系もいましたが、やはりそれぞれ専攻に関連する講義には積極的なものの、自分の専攻に直接関係ない講義は単位のために受けている雰囲気がありました。

大学を卒業するため
には、それで十分だったんです。

しかし、このような考え方を悔いる瞬間は、突然訪れました。

 それは、大学卒業後、建築士試験を受験しようと書店でテキストを手に取った瞬間でした。
パラパラパラ…とページをめくると、環境や構造の科目の部分には見覚えはあるがもう使い方も使うタイミングも分からない「公式」や「単位」の数々…。

確実に講義で見た記憶はあります。先生が解説していた記憶もあります。
ですが、こんな風に、建築士の試験に直結するとは想像していませんでした。
つまり、

テスト期間中覚えておけば、もう公式を使うこともないでしょ!私の専攻は意匠系だし!

という驕りが私の中にあったのです。
(私は大学の講義を見限っていたな…。)と反省しました。

テキストを買って帰って、大学の頃の教科書を引っ張り出すと、かつての自分がきちんと公式にアンダーラインを引いていて、この頃の自分は何も考えずに線を引いていたな〜と改めて痛感しました。

この後悔は、主に建築士試験の勉強を始めてからの後悔と言えますが、仕事の中でも設備(環境)や構造の話題は当たり前に出てきます。「私は計画(意匠)専攻だった。」など関係なく、設備図面や構造図面にも目を通さなくてはなりません。

そして、その時に理解できていないとコソコソ急いで調べたり、学び直したりしなければならず、苦労します。私はこのコソコソ調べる作業を仕事中に何度もしてました。大学生でも分かる基本的な事さえ上司に質問してました。

私は、大学生の間、建築士試験の勉強や仕事に就いた際のイメージをあまりしていなかったために、いざ受験勉強!とテキストを開く瞬間まで大学で受けた講義の価値に気づいていなかったんです。

また、私は一級建築士の学科を独学で受けたため詳細を述べることはできませんが、資格学校に通う知り合いに尋ねたところ、資格学校の授業でも公式の解説があり、その後問題を何度も解いて自分のものにしていくという段階を踏むそうです。

ちなみに、その知り合いは大学の頃かなりの勉強嫌いでしたが「今、大学生に戻れたらめっちゃ勉強すると思う(笑)」と言ってました。

環境や、構造の講義に関する卒業後の後悔は、上記のようなことが主に大部分を占めていました。
一つ一つの授業、そこで出会った公式、させてもらった実験、見せてもらった解析データなど、本当に、建築士試験の問題に出てきます
そして、仕事中に再会します。
たわみの模型を見せてもらったり、コンクリートを練り混ぜさせてもらってスランプ値を計測したり、ただただその瞬間「ここに荷重がかかるとこんな変形するんだ!」「これでコンクリートの硬さが分かるんだ〜!」と楽しんでいた講義が、全て建築士試験を受ける自分や仕事をする自分に繋がってました。

特に、意匠系専攻だった私は、環境系や構造系の友人とは異なり、実験に参加できる機会が講義しかなかったので、本当に、今思うと、その時の自分の横に立って「目に焼き付けておきなさい」と囁きたいです。

 もし、この話が響いている方が居るのであれば、その方は一度、本屋さんでテキストや過去問を開いてみてください。
 もしくは、実際の建築士試験の過去問が「建築技術教育普及センター」のHPに掲載されているので、軽い気持ちで見てみてください。

大学でやってるやつじゃんと感じる問題にたくさん出会うはずです。

ひとしきり、環境系、構造系の講義に関する後悔を述べたので、一旦まとめます。

  1. 建築士の資格を取る気でいるなら、専攻外の科目も気を抜かない。(建築士試験は専攻など関係なく意匠・環境・構造の全てを解かなければなりません。そして全ての科目がその年の「足切り」という最低点を超えないと、合計点だけでは合格できません。)

  2. 教科書の公式は、実際に建築士試験で出題される。(出題される公式はある程度決まっているのでテキストや過去問でチェックしてみて下さい!)

  3. 授業で行う実験は、建築物に関するイメージ形成の有難い機会。(ここに荷重が掛かる もしくは熱が加わると建物にこのような変化が起こる、というイメージができないと仕事や建築士試験で苦労します。大学の講義は、それを友人と楽しく学べる絶好の機会です。)

 大学を卒業して社会人になると、そこからの学び直しは主に自分1人で行うことになると思います。自分で自分を律しながら学ぶって、想像以上に体力も気力も使います。

仕事の中で学んだり、資格取得を目指して学校に通う人もいて方法は様々ですが、やはり、大学の友人や講師と楽しく講義や実験をしながら学べる環境って、貴重です。

ではでは、話を変えて、意匠系の講義に関する後悔についても述べていきますが、長くなると読むのが大変と思うので、一旦この記事は閉じさせて頂きます。
※私自身が意匠系専攻だったこともありますが、意匠系の講義に関する後悔は、環境系や構造系の講義に関する後悔とは少し毛色が異なるので別にさせて頂きました。

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