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「なぜキャンセル待ちのチケットを売るのだ?」
世界一周178日目(12/23)
この街での滞在も一週間目を迎えた。
触れると白い塗料がつく壁。
ごうんごうんうるさいファン。
シラミよけのブルーシート(持ってきてよかった)。
近所の人たちのささやかな暮らしぶり。
行きつけのネットカフェ。
宿の前のごちゃごちゃした感じ。
DFC(Deccan Fried Chicken)へ行くために横切る道路。
ここにきてからほとんど漫画製作しかやっていない。
そこには仲間から依頼された漫画だったり、スマンスからのウォールペイントの原案依頼だったり、自分のためになった一週間だったと思う。
でも、そろそろ先に進まなくちゃ。いつだってここにいるわけにはいかない。
シングル3ヶ月ビザ。僕に残されたインド滞在日数を数えると残りは45日だった。他にも行きたい場所は沢山ある。
一カ所に長く留まるのもまわりがよく見えて面白いと思うが、僕は色んな景色を見てみたい。
ここで頭を悩ませている問題がある。
「WL(ウェイトリスト・リスト)」だ。
インド国内の移動は列車がメインなんだけど、僕はオンラインで自分でチケットをとるようにしている。ネットカフェにはだいたいプリンターもあるしね。もしくはプリント屋さんにUSBを持って行けばいい。だが、いくら代理店を通さずコミッションなしでいくつもある列車の中から自分の好きな時間を選べるとしても席が埋まってしまったら話は別問題になってくる。今回がまさにそれだ。
クリスマスなんだか年末なんだか知らないけど3日前にチケットを調べたらここから次の街Hyderabad(ハイデラバード)へ行く列車のチケットは本の3本くらいしかなく、そのすべてが「ウェイト・リスト」だったのだ。
このWLという仕組みがめちゃくちゃややっこしい。
インドの列車は座席が完売しても、「ウェイト・リスト」ということでチケットを販売するのだ。これはどうやら「キャンセル待ち」のようなものらしいのだが、このチケットのキャンセル料が安いためインド人はとりあえず自分の分もチケットを買い込む。
WLが100であることなんてザラだし、直前になって「どばっ!」とキャンセルが出るようなのだ。(絶対出るんだよ。なぜか)
自分のウェイト・リストが消化された場合は駅のチケット売り場で予約確定した券に取り替えてもらえばいいらしいのだが....。僕にはこのシステムがいまいち理解できない。
「座席が埋まったのならチケット売るなよ」と。
そしてこれは一種の「チキンレース」のようにも思える。
WLの今の状態で果たして自分の番に届くのか?ということを読み、他の人間がいつチケットを手放すのかキャンセル料をやみくもに払ってしまう恐れと戦いながら持つWLのチケット。まったくもって馬鹿げている。アホらしい。
っていうか自分の好きな時に移動できないのがほんとうにストレスだ。好きな時にあっちにいったりこっちに行ったりできないじゃないか。まぁ場所や期間によるんだろうけどさ。
インド人の先を行き、彼らがチケットを買い始める何日も前からチケットを手に入れておかなければならないのか?
今の段階でWLは「34」。微妙な数字だ。
だが、ネットで調べてみたところ直前にキャンセルがいっぱい出るらしい。
それにもし仮にWLのまま列車に乗ってしまったとしても、賄賂袖の下を渡せば空いてる座席を探してくると言うじゃないカ!
なんとかなるんじゃないか?
よしっ!買いだ!
不安な気持ちを抱えたままこの日もDFCで漫画を描いた。
何か不安材料があると、今している自分のことにも自信が持てなくなってくる。
果たして俺は1週間もここで漫画を描くべきだったのか?
もっと他の場所にサクサク移動して行くべきだったんじゃないか?
てか「旅漫画」って何?誰か読んでくれるの?
今俺がしている旅はなんなんだろうか?
考えてもしょうがないようなことなかり考えてしまう。
過去の有名ブロガーたちが何事もなかったかの様に快適に旅を続けている姿が脳裏に浮かぶ。
そんなこと考えてても前に進めねえんだよ。とりあえず今は漫画を描くんだ…!!!
不安を頭から追い払うように原稿用紙に向かったが、昨日のウォールペイントデザインもあってかまったく集中できなかった。
まさかこの後、WLの先例を受けることになるとは...
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。