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「バイバイ。ゴア」

世界一周204日目(1/18)

「明日の夕方のバスでムンバイに向かうんだけど、バックパック預かってもらってくれないかな?」
「じゃあここに置いておけばいい」

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と交渉した昨日。
荷物をまとめてチェックアウトしなければならない9時には部屋を空けた。

「4時にはバックパック取りに戻ってくるんで」
「ほい。50ルピー(84yen)ね」
「えぇぇえええ!!!なんで!!!???ちょっと高いってそれ!せめて30!」
「わかったわかった。いいよ。」

このゲストハウスにチェックインした時も400ルピー(675yen)から300ルピー(507yen)に簡単に折れた。ここの宿のおっちゃんはインド人にしてはすぐに折れる。まぁ、本当はもっと低い金額かお金がかからないんじゃないかとは思うんだけど、旅人に値下げ交渉は必須!

バックパックのメインの取り出し口は外から取り出せないように付属の南京錠でパックセーフを閉めた。サイドポケットに入っている物はシャンプーや圧縮袋のスペアとか。盗られてもダメージの少ない物を入れている。パソコンやパスポートはいつもサブバッグに入れているし、バックパックの中に入っていて盗られたくないものと言ったら旅の写真のバックアップをとっているHDとかかなぁ?バックパックには他にも漫画製作の道具も入ってるけど、盗ったってしょうがないものだしね。それなりに上質な紙とペンさえあれば漫画は描けるし。

そして向かった先は「Cafe Coffee Day」

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インドの中規模以上の街だったら必ずと言っていいほどあるコーヒーチェーン店。僕、ここのチェーン店のお得意さんだよ。オーダーするのはいっつも一番安い60ルピー(101yen)のサモサとコーヒーのセットだけどね。

テーブルに旅ノートを広げてちょこちょこ落書きをした後、漫画製作に取りかかった。

お客さんは僕の他に英語で会話するおじいちゃん二人。静かなカフェはいいもんだ。2階のガラス越しにゴアの町並みが見える。この街もゆっくりと一日の活動を始めるのだ。

最初の2時間はよかったのだが、すぐに変なヤツがやって来た。(そういう僕も相当な変なヤツなんだけどさ)インド人なのかどうかはわからない髭面。20代後半から30代前半くらいにいちゃん。アディダスのブルーのジャージ、手にはバイクの半ヘルメット。

僕は自然光の一番届くお店の一番すみっこにある二人がけのテーブルに座って漫画を描いていたんだけど、ガラガラにすいているお店でソイツは僕のすぐ後ろに座った。近くに置いてあったサブバッグやギターを指差して。もそもそと「ここ座ってもいいか?」と英語で訊いてきた。あぁ、そういえばその席にいらなくなった番号札置いてあったんだった。

なんと説明していいか分からないうちにソイツはさっさと自分のパソコンをテーブルに置いてオーダーをしにいってしまった。まぁ、お客さんがどこに座ってもいいんだけどさ、わざわざ人がいる近くに(それもすげえ狭いテーブルの配置なんだよ)座るのはどうなの!!?寂しがり屋さんかなんかなの!!?

僕はソイツに背中を向けて座っていた。

『よし、下描きも終わったし!ペン入れいきますか!』って時にみょうな音が聞こえる。



「あ~うあ~うあ~…」



うわぁ~…なんか後ろのヤツ、ホーミー(モンゴルの遊牧民がやるうなり声みたいなもの)みたいなのやってるよぉ~…。

し、集中!集中!だが、ペンがノらない…

5分くらいしてホーミーが止んだと思ったら、今度はパソコンでトランスを垂れ流しにし始めた。マジ迷惑だよぉ~…音楽かけるんだったらせめてイヤホンしてくれよっ!

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「Cafe Coffee Day」自体も割と大きめで店内音楽をかけるお店なので、我慢して作業していればホーミー(今あだなつけてやった)のトランスもそれほど気にならなくなった。それにしてもこうして周りのことを一切気にせず、自分テリトリーを作ってしまうヤツは嫌い。僕だって何時間も作業するけどさ!周りのお客さんに迷惑かけないように意識したり、混んできたら席をはずすくらいのマナーはわきまえてるつもりさ。

ホーミーはその後もトランスを垂れ流しにし続け、トランスが途切れ、やっと静かになったかなと思うと再び「あ~うあ~…」とホーミーしていた。後からやって来た離れたテーブルに座った欧米人の家族たちは周りを気にすることなく、子供向けにパソコンでアニメを垂れ流しにしていた。カフェの秩序はいずこに…?

僕はペン入れしている時には極力イヤホンで音楽を聴かない。ペンと紙がこすれる小さな音もペンタッチに関わってくるからだ。

ホーミー星人の間接攻撃に耐えつつ4時間カフェで作業して、昨日約束した通り、同じ場所にギターを抱えて向かった。



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3時前の昼下がり。

「明日もここで唄いなよ!」と言ってくれたCITIZENのオーナーに挨拶をして、ギターを構える。人通りは全然ない。唄うのが楽しめりゃいいかな?時折、木陰に涼しい風が吹き抜ける。唄ってないと声出ないなぁ。


「Good memories makes me relief still now.
Sometime I want to go back that time.
But We have to keep on moving foward.

(よき思い出たちは今でも僕をほっとさせてくれる
時々、あの頃に戻りたくなるよ
でも僕たちは前に進み続けなくちゃならないんだ)」


そんな歌詞を書いた自分の歌を唄った。語法だとか文法とかグロービッシュにはあまり関係ない。聴いてくれる人たちがちょっとでも理解できるような旅の歌を作っていこう。

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4時半にバックパックを宿に取りに戻った。
ギターを見た宿のおっちゃんがこう言った。

「ギターは荷室に預けない方がいいぞ。盗まれてしまうぞ!」

マジでっっっ!!!?

ビビリの僕はバスターミナルまでの道のりで車内に持ち込めるようにギターをはずし、パックセーフを南京錠で締め直して上からレインカバーをかけた。

そして18時にムンバイ行きのバスに乗り込む。窓からゴアの別の顔が見える。ゴアにはこんな一面もあったんだなぁ。

遠ざかっていくゴアの町並みを横目に
CARAVANの「Kay of Life」がよく合った。

バイバイ、ゴア。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。