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「バターロック」

世界一周185日目(12/30)

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バイト時代にモチベーションを保つために読んでいた世界一周ブログ「チェカマメロディ」に旅の集大成を編集したミュージック・ビデオをYouTubeで見ることができる。

ブロガーの方が元DJということもあり、リミックスされたノリノリの音楽を聴きながら一眼レフで撮られた世界中の美しい写真を見て自分の冒険に胸を躍らせていた。

『世界にはこんなにワクワクするような場所があるなんて!』


ここチェンナイにやって来た理由のひとつには「あるもの」を見たかったからというのがある。

チェカマメロディのMVに出てくる写真にもちろんインドも入っているんだけど、その場所へアクセスするためにはチェンナイからバスで行けるらしい。

詳しい行き方は全く調べていなかったので宿のあんちゃんたちに「この場所に行きたいんだけど」と尋ねるも、あんちゃんたちは「どこそこ?」と行った感じ。そこまで有名じゃないのかな?
ちなみにいつも僕の指針となってくれるマップアプリ「MapWithMe」でそれらしき場所を調べると「アトラクション」のくくりになっていた。
アトラクション?観光名所じゃなくて?

まぁ、海岸沿いを一直線なのでバス停にいけばなんとかなるだろうと宿の周辺で情報収集がてらトゥクトゥクのおっちゃんにも尋ねてみた。

「おー!それならママーラプラムだよ!2000(3322yen)ルピーでどうだ?」うん。おっちゃん、情報ありがとう。絶対にトゥクトゥクなんか乗らないけどね!

チェンナイ・セントラル駅の前にあるバスターミナルでママーラプラム行きのバスを探す。バスの運転手に外から大声で「ママーラプラム?」と叫ぶが運転手たちは手をヒラヒラさせる。

カーキ色の服を着た駅の警備員のおっちゃんに尋ねると「おい!ママーラプラムまで行くバスはあるか?」とバスの運転手をソッコーで捕まえ、ママーラプラムの近くまで走るバスに僕を乗せてくれた。サンクス!警備員さん!

銃を持って威圧的な彼らだが(制服は同じでも職種は違うんでしょうね)、行儀よく道を尋ねると丁寧に教えてくれることが多い。

「道を尋ねるなら交番で」カッチリした職種の人たちは職務外でもしっかりしてるぜ。バスの料金は15ルピー(25yen)。トゥクトゥクなんて誰が使うものか。



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インド人で満員のバスに乗って走ること2時間弱。

立ちながらサブバッグを前にかけ、ガタガタ揺れるバスの手すりに捕まって窓の外にあるチェンナイの街並みを眺める。ケンタッキーやマクドナルドも見かけた。外国車を扱うお店の多いリッチな通りやオフィス街を通り抜けた。

分かったことはチェンナイという街がけっこう規模の大きな街だということだ。トゥクトゥクやバイクや乗用車がクラクションで自己主張をし合う。そういう場所をバスが抜けるのにはけっこう時間がかかった。


ママラープラムに着くまえに運転手から「ここで降りな!」と言われた。どうやら乗り換えのようだ。言われるがままにバスを降りるもここがどこかわからない。土地勘なんてあるわけない。ママラープラムまでの次のバスはどうやって見つければいいんだろう?

近くの売店の男の子に「ママラープラム!バス?」みたいな感じの英語を駆使してバスがどこに停まるかを教えてもらった。

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案外すぐ近く。目の前に停まったバスの集金係が大声で行き先を叫んでいる。なんつってんのかわかんねー。

「ママラープラム?」こちらも大声で訊き返す。「そうだ!そうだ!」と手招きする集金係。走ってミニバスまで行き乗り込んだ。

さっき乗っていたヨレたバスよりもちょっときれいな小型のバス。座席は20席くらいしかない。ただ、音響がすごがった。後部座席の上にもスピーカーが取り付けてあり、社内全体がミュージックボックスと化している。運転手のチョイスでインド・ミュージックが重低音を響かせ爆音で流れる。ノらない曲は早送りしてしまう(笑)

隣りに座っている女子学生たちはお互い会話するのも大変そうだった。

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ミニバスが走ることおよそ1時間。

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ママーラプラムってけっこう遠いな…。だけど窓枠の手すりに肘をかけて外の景色を眺めていると感じるのは自分が世界を旅をしているということ。にしてもインドの大学ってでっけーなぁ…。

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そして辿り着いた場所には僕が日本にいる時から見たいと焦がれていたシルエットがあった。



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バター・ロック(または「バター・ボール」)

絶妙なバランスでそびえ立ち、
後ろにまわるとまるでー…、

….。

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なんか文章で書くとダメね。ネタバラしみたいになちゃわない?ロンリープラネットとかは文章オンリーで読者の想像力をかき立てるって言うけどさ。

まぁバターロックは地球の歩き方にも載ってるんですけどね。もし仮にバターロックのことを調べていて『あ~なんだ。そんなものか』って行く気がなくなってしまう人もいるかもしれないしね。


バターロックのある場所はまるで日曜日に家族でピクニックに行く様な公園だった。

芝生ではお父さんと小さな子供がクリケットをして遊んでいる。木陰ではカップルが静けさを求めるように並んで座ってお喋りしていた。

敷地内のにある岩山は、なんでこの場所にこんな材質の岩があるのだろう?と思うくらい異質な感じがする。天然のアスレチックだ。

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海沿いには欧米人が好きそうなカラフルな建物が並び、宿やお土産屋さんがいくつかあった。

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通りを抜けると海が見える。少し波に勢いがある。海に入って遊ぶ人の姿は見れれなかった。

お互いに写真の撮りっこをしていたカップルは間合いに入ると僕に「写真を撮って!」と声をかけてきた。

うん。そんな気がしてたんだ。『くるかなぁ~』って笑。こっちも撮ってもらったけどね!

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さぁてと!またチェンナイ・セントラル駅に戻りますかね!

仕入れたお店のおちゃんんは「ERC」ってバスに乗ればチェンナイまで帰れるって言ってたな。チェンナイ行きは何本も出てるよって。バスがどこに停まるか分からないのでちょいちょい「ERC?」と尋ねながら進んで行った。

やって来たバスはちょっとリッチな感じ。

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中に入ると乗客たちはシートを倒し気持ち良さそうに寝ている。

僕は棚にサブバッグを上げ、iPhoneから流れるCaravanの「FREE BYRD」を聴きながら海を眺めた。

海沿いを走るローカルバス。潮風がココナッツの木の葉を揺らす。

立ちっぱなしがそこまで疲れないのは、
そうだ。僕は立ち仕事をしてたんだ。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。