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「ヒッチハイクでデンマークからドイツへ」

世界一周438日目(9/9)

友達と旅が始まって5日目。

朝7時半には各々目覚め、
パッキングをして出発の準備を整えた。


今日はもう行けるところまで行ってしまおう!
なんてったって、たった二週間の旅だからね!

しばらくするとジェイクが家にやって来た。

この家は現在ノルウェイを
旅行中のお兄さん夫婦のもの。
それを貸してくれたジェイクにはほんとうに感謝だ。

いいヤツに巡り会うことができた♪
またデンマークのことが好きになれたよ♪
ありがとう。

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ジェイクはガットギターを持って来ており、
それでオリジナルの歌を聴かせてくれた。

エリック・クラプトンのカバーの曲が
朝の空気にぴったし合っていた。

僕たちも出発の支度が整うと、
みんなで途中までの道を歩いた。
ジェイクは今日も執筆活動だそうだ。



「じゃあ、
おれたちはこっちだから行くね。
ありがとう。
すっげーいい体験ができたよ」

「そうか。またな。
こっちも楽しかったよ」



僕たちは、ジェイクに
ハグをしてお別れを言った。

旅は出会いと別れの繰り返しだ。

だけど、そのうちの何人かは
今後の人生に交わってくるかもしれない。
もしかしたらジェイクも僕にとって
そうなるかもしれない。





ヒッチハイクポイントまでは
歩いて向かった。

友達は「風邪引いた」とか言って、
鼻をすすっている。

おととい、ロフトで寝た時に
寒い思いをしたようだ。

ジェイクのお兄さんの家には
ベッドとロフトがあったが、
ロフトの方はマットに寝袋という簡素っぷりだった。



オーデンセの町はほんの2kmくらいを歩くと
あっという間に静かな郊外へと代わった。

今日中にはドイツへと行ってしまいたい。

デンマーク・クローナを持っていても
しかたがないので、バスキングで稼いだ小銭は
全て消化してしまうことにした。

スーパーはほどよく安く、
僕たちみたいな貧乏バックパッカーでも
十分に食べ物を買うことができた。


特売のスニッカーズを4本と
500mlのコーラを二本を僕たちは買った。

支払いのほとんどは小銭だったが、
レジのお兄さんは嫌な顔ひとつしなかった。

ここはいい町だ。

買ったばかりのスニッカーズを食べながら歩いた。



今日のヒッチハイクポイントは交差点だ。

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車の止まれるようなスペースを残して、
僕たちはヒッチハイクを開始した。

目的地の書いたボードを掲げて、
親指を立て、デンマークの国旗を振った。

行き先は僕たちが今いるフィン島を
抜けたところにある大きな町。
コールディングという町だった。

ドライバーからのレスポンスは好調♪

前回のヒッチハイクで、だいたい
ヒッチハイクがどんなものか飲み込んだツレは、
ボードを持ったまま車を追いかけ始めた。


ドラバーを楽しませるような
パフォーマンスじみた
ヒッチハイクを続けること30分。

僕たちのパフォーマンスとは関係なしに、
ヒッチハイカー歓迎とでも言うように
一台のセダンが止まった。


「ハロー、コルディングまでね。
乗せてあげるわよ♪」

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僕たちを乗せてくれたのはニコニコしたおばちゃん。

二人の息子さんと一人の娘さんを持つお母さんで、
子供たちはそれぞれに暮らしているそうだ。

娘さんはバックパッカーをやっていたそうで、
ヒッチハイクの経験もあるのだとか。

娘さんが誰かの車に乗せてもらったように、
お母さんもヒッチハイカーを乗せてあげる。
たぶんそういうことだと思う。

しかも幸先がいいことに
行き先がコルディングより先の
ドイツに近い町だった。


「英語があまり得意じゃないのよ。ごめんなさいね」

「いえいえ。日本の学生に比べたら
ずっと上手いと思いますよ」

「あら、ほんとう?」

「クー…スピピ、クー…」

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ツレは英語が喋れないので、
こういう時は早々に眠る。
ドライバーに対する気遣いなんてない。

まあ、さっきのヒッチハイクで
テンション上げ過ぎたのかもしれない。

僕たちはどこだか分からないけど、
ドイツに近い場所まで送り届けてもらった。

ありがとうございます!
娘さんによろしく!





降ろされた場所はマクドナルドの
パーキングエリアだった。

僕たちははとりあえずマクドナルドで
コーヒーを注文した。

トイレを済ませ、いつものようにWi-Fiにありつく。

ドイツは目の前。
もしかしたら今日中にキールまで
行けるんじゃないだろうか?

そう僕は思った。


「キール運河」は
彼(友達)のお父さんが
しきりに勧めていた場所だった。

彼のお父さんは、昔、
船乗りだった。

高校卒業後、貿易船に乗り、
世界中の海を旅したそうだ。

今は司法書士だかなんだかで働かれているそう。

そんな彼の父親が勧めるキール運河。

せっかくだから立ち寄ってみようと
僕たちは計画を立てた。

時刻は13時。
うまくいけばキールまで行けるぞ!

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コーヒーで目を覚ますと
僕たちはマクドナルドの側にある
ドーナッツ状の交差点でヒッチハイクを開始した。

僕がいつも参考にしている
「Hitchwiki」によると
(なんかいっつもこのサイト名前出してるな。
けっして正解ばかりじゃないのでご用心)

このドーナッツ状の
「roundabout」と呼ばれる交差点は
ヒッチハイクに最適らしい。

見たところ、
車が止まれるようなスペースはないけどー、


「ハーイ。
途中までだったら
乗せてってあげるわよ?」

開始わずか15分で車ゲット!


ほんのすぐそこのフレンズバーグという
ドイツ側の国境の町まで行く車に
乗せてもらうことができた。

運転手のアーニャは質問に対して
「イエス!イエス!」と歯切れのよい
返答を返してくれる女のコだった。

そんなドライバーのアーニャは
デンマークで働くヘルパーさんだった。
学生時代はデンマーク語を勉強していたそうだ。

僕はヒッチハイクができそうな場所で
降ろしてもらえないかとアーニャにお願いした。

アーニャは「任せておいて!」と
別のサービスエリアで僕たちを降ろしてくれた。


降ろされた場所は絶好の
ヒッチハイクのポジションだった。

車さえ
来ていれば。

お昼過ぎのこの微妙な時刻が悪いのか、
それとも今さっき降り出した雨が原因なのか、

どういうわけだかサービスエリアには
ほとんど車が止まらなかった。


「ど、どーする?」

「ここじゃ車は止まらないね…」

「ちょっと歩いてみる?」

「そうだね」


マップアプリで確認すると、
ハイウェイと一般道が交わる地点が
すぐ近くにあることが分かった。

ハイウェイを歩くのは禁止されているが、
ここは陸の孤島と言ってもいい、

せっかくここまでいい調子で進んで来たのだから、
すぐにでも車をつかまえたい。

僕たちは雨で濡れた
ハイウェイ脇の茂みを進んでいった。

後ろから車が過ぎ去ると、
道路の雨水が煙のように巻上った。



僕たちはなんとか一般道に出ることに成功した。

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次なるヒッチハイクポイントらしき場所へは、
このままハイウェイを突っ切って行く方が
最短距離だったが、リスクがあるのは分かり切ったこと。
急がば回れってね。

遠回りだけど、
一般道を迂回していくことにした。

ツレは「これも旅さ♪」と気楽に言った。

そういう旅を楽しむ気持ちが大事ってことね。


一般道を逸れると、
どこまでも続きそうな並木道へと代わった。

そこを歩いているだけで、
何かワクワクするようなストーリーが
生まれてきそうな道だった。

さなががら僕たちはそのストーリーの
主人公ってとこ。

ツレはiPhoneから
ノリノリの旅ミュージックをかけて、
iPhoneでムービーを撮り始めた。

ゴーイング・グラウンドのカバーした
爽やかな「イージュー★ライダー」が
雰囲気を盛り上げた。

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町から町へと移動する際の、
こういうひと時が旅している実感を
与えてくることもある。

今日はヒッチハイクで行ける場所まで行って、
『ここどこだよ?』みたいな展開でも
面白いかもしれない。


雨は何度も振ったり止んだりを繰り返していた。

雨濡れながら次なるヒッチハイクポイントの
手前まで行ったのだが、車線は2車線しかなく、
車が止まってくれそうなスペースはなさそうだった。


ハイウェイの手前にある
ショッピングモールに僕たちは逃げ込んだ。

バーガーキングなどがあるフードコートで
フランクフルトを食べて、僕らは英気を養った。

雨のヒッチハイクかぁ~…
車が捕まらなかったら
ここで野宿することになるぞ…。


雨が上がったのを見て、
僕たちは別の場所でヒッチハイクを開始した。

また雨が降り出しした。

僕たちは雨具を来て、車に手を降り続けた。


「あ!」

一台の車が止まってくれた。

バックで車道の脇に車を寄せてくれた。


「あ、ありがとうございます!
キールまで行きますか?」

「いいえ。行かないわ」

中には7歳くらいの娘さんを連れた
お母さんが車を運転していた。


「あなたたち、
こんなところでヒッチハイクしてるだなんて
どうかしてるわ。
私がもっといい場所に
連れて行ってあげるわ!乗りなさい!」

地獄で仏とはまさにこのこと。

急な展開と申し出に、
僕らは車に乗り込んだ。


雨がしのげることと、
キールまでのヒッチハイクが
うまくいきそうなことが分かって、
僕たちは胸を撫で下ろした。

現地の人が
「見込みなし」って行っている場所で
ヒッチハイクしてた僕たちって…

もしこの人が止まってくれなかったら、
ずっと雨の中でヒッチハイク
してたかもしれないな…。


「この子の名前はユキ。
ねえ、あなたたちに質問なんだけど、
ユキって日本語で
「雪の結晶」を指すのよね?」

「まぁ。そうですね」

「よかった。
これが中国語だったら
どうしようかと思ったわよ」

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何やらお母さんは何年も昔に
どこかに留学しており、
日本人のクラスメートと仲良くなったそうだ。

その子の名前も「ユキ」だったそう。

けっこうノリで名前つけちゃうんだな。
これでスノーフレークじゃなかったら、
けっこう落ち込んだろうな笑。


先ほど僕たちが途中で引き返した
ハイウェイへと続く道の先には、
ヒッチハイクに最適な
車の止まれるようなスペースがあった。

ここでヒッチハイクしている
バックパッカーを知っているようだった。


「それじゃ、あなたたち、頑張るのよ!」

そう言ってユキのお母さんは
あっという間に去っていった。

ゲームで言う「お助けキャラ」みたいな方だった。

 旅人英語なんで間違いは気にしないで!
ちなみにこれ、外国人に見せると、
フツーに分かってもらえるから!

車が僕たちに気づいて、
速度を落として止まる距離感を計算し、
僕たちはヒッチハイクを開始した。


「ブォォォーーーン…」

5分もしないで
ワゴン車が止まった。

ユキのお母さんが言った通りだった。

運転手さんは英語を話さなかったが、
とりあえずキールまで行くことが分かった。

車は僕たちはキールの郊外まで連れて行ってくれた。



そこから僕たちはバスに乗り、
町の中心地に着くころには、
どっと疲れが押し寄せて来た。

駅構内で売られている、
ケバブだかピザだか分からない
ロール状の食べ物を二人で半分に分け、
スーパーでビールを買った。

キール運河の見渡せる場所で
ここまで到着できたことに対して
ささやかな祝杯をあげた。

簡単な夕食を済ませると
野宿ができそうな公園まで歩いた。

僕が目をつけた公園はそれなりに大きく、
テントが立てやすい芝生の公園だった。

ドーベルマンを放し飼いにしている飼い主がいて、
僕たちに吠えかかって来たり、

ドイツ人の若者たちが
「マリファナあるか?」とか訊いてきたけど、
別に危険な場所ではなかった。

今日もなかなかに濃い一日だったよ…。

テントの中に入ると、あっという間に眠りに落ちた。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。