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「だ、大丈夫!僕には耐えられる」

世界一周183日目(12/28)

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インド人100%のこのドミトリーとも今日でおさらばだ。

「エクストラ・チャージ」と称してお金を要求してくる以外では、壁際の電源コンセントがある場所に移動させてくれたり、突然やってきた外国人にそれなりによくしてくれたと思う。シラミもいなかったしね。

チェックインした時間にうるさかったので朝6時半には目覚め、薄暗い中でパッキングを済ませた。あとはデポジットの60ルピーをちゃんと返してくれるかだな。

スタッフは受け取ったレシートを見せるとすんなりとお金を返してくれた。

いつもご飯を注文すると「一時間半かかるぞ!」となめくさったことを言ってくるオヤジのいる宿の近くのメシ屋で20ルピーのプリーを注文して朝食をとった。


時刻は7:30。これからやらなくちゃならないことがあるぞ!


バックパックを背負って駅に行き、自分の持っているWLのチケットの順番を構内にあるタッチパネル式の機械で確かめる。順番は「54」。くそう…やっぱりダメだったか…。

となると、このWLのチケットをキャンセルしなくちゃならない。そして当日発券のジェネラルチケットを購入してチェンナイ行きの列車に突入するのだ。

まずはチケットのキャンセルなのだがー…、

何人かのインド人にチケットのキャンセルについて訊いたのだが、情報が錯綜していた。

ここに来る前に会った立ち乗りガールは「オンラインで自動的にキャンセルになる」と言い、この街のカフェの店員は「窓口に行けばキャンセルできる」と言う。

このWLのシステムのファッキンなところは席が完売しても、同じ料金でキャンセル待ち(WL)のチケットを販売するところにある。キャンセルしないとお金が請求されてしまうのなら、僕は前の街からここへ来るのにWLとジェネラルチケット、寝台への移動で3回分のお金を払わされたということになる。

あ~!もうややっこしい!キャンセルすりゃあいいんでしょ!

でも当日キャンセルでキャンセル料を差し引いたお金が戻ってくるのだろうか?マジこのシステム、ウゼェ…。

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キャッシュバックができるか窓口に行く。

WLは何回かたらい回しにあった後、分かったことは「ネットで購入したチケットはネットでしかキャンセルできない」ってこと。

ちくしょー!次はジェネラルチケットだ!

プリントアウトしたWLのチケットを見せて同じ列車のジェネラルチケットを購入しようとすると「5時にならないと売ることはできない」とのこと。チェンナイ行きの列車が出るのは17:20分。ほんと直前の販売なんだな。



朝8時。この時間じゃネット屋はまだ開いていないし、てか何時に開くんだ?

バックパックをネット屋の横におろして少し考える。

まだ涼しいインドの朝。

『カフェに行って漫画を仕上げてしまおうか』という気持ちになった。

駅のクロークにバックパックを預けることも考えたのだが、ここはインド。どうも信用できない。まぁパックセーフにくるんでおけば大丈夫だろうとは思うけど、預けること自体にめんどくささを感じてしまった僕はそのままカフェに向かうことにした。
作業場として使っているカフェはセカンデラバード駅から15分ちょい。

まぁ、余裕っしょ。と思ったが、やっぱり27キロの荷物は重い。

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涼しいインドでもバックパックを背負って歩くと背中が汗で湿る。これが中東とかになったら一体どーなっちゃうの!?



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カフェは営業前だった。

店員の女のコが私服でレジを開いて作業している。

店内はなぜか暖房が入っていた。インド人は寒がりなのだろうか?

とりあえずオーダーは受けてくれるとのことだったので、80ルピー(133yen)のアメリカーノを注文して外のテーブルについた。

お客さんは僕だけ。汗で濡れた体が風を受けるとここがインドだってのに爽やかな気持ちにれた。日陰のテーブルに座って砂埃と排気ガスと朝もやが混じり合うインドの通りを眺める。また同じ様なハイデラバードの朝が始まるってわけだ。

フォームのよくたったアメリカーノをすすりながら、iPodでRADWIMPSの「有心論」を流す(僕のiPodの中の曲たちはけっこう古い)。自然光を頼りにベタを仕上げた。

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ここのカフェはWi-Fiが入るのだが、接続できるのはお店のページのみ。いやぁ、良い商売してますね!

店内に移動してからは日記を書いた。



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14:40分。

そろそろ駅に戻るか。今日はこっからが勝負だぞ!

さすがに帰りはローカルのバスを使う。駅まで7ルピー(12yen)。
10ルピー札で支払ったがイスラム帽子(キッパ)をかぶったビールっ腹の集金係放った一言は「ノーエクシチェンジ!(お釣りなんかねえ!)」集金係のくせに小銭を持ってないのかよ。マジ使えねえな。あんたそれで仕事やってんの?

駅に着けば残りの3ルピーを返してやるとのことだったのでおとなしく駅までバスに乗っていたのだが、どうやら他の乗客がお金を崩して僕に返却してくれる段取りだったらしく、バックパックが出口に挟まってその乗客と一緒に降りられなかった僕は3ルピーを回収し損ねた。

「えっ!?3ルピーは?」
「知らん!」
「まじうぜ~~~♪(日本語)」

たかだか5円だろうと設定された金額があって上でのお金のやり取りなんだから、返してもらえるはずのお金が戻ってこないといい気分ではない。



列車の出発まで残り2時間。

ネットに接続するとついつい無駄なことをして時間を潰してしまう。おっと!忘れてた!WLのチケットのキャンセル!キャンセル!

自分の使っている「Cleartrip」のアカウントからキャンセルは簡単にすることができたのだが、キャッシュバックがあるのかどうかは分からない。

「15分くらいしてメールが行くと思います」
Cleartripのページに表示されるメッセージ。

「おい!1時間って言っただろう?延長するのか?」

いつも「えっと…何時からネット使い始めた?」とか訊いてくるネット屋のおっちゃんもどういうわけだか今日はちゃんと僕の利用時間をチェックしていた。

列車の時刻まで1時間半。

ぬぐ…、しかたない。駅に向かうとしよう。


(てかキャンセルするじゃない?自分の銀行のアカウントで請求金額が確定するのって2ヶ月後じゃない?ぶっちゃけキャッシュバックできたかわからなくない?くされめんどくせえな

まぁ後日ちゃんとキャッシュバックしたっていうメールが来ました。一件落着です。)



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残り約1時間。

当日発券のジェネラルチケットの販売開始は5時。窓口前で並ぶことを想定して5分前から並び始めよう。

30分、駅前でバスキングすることに決めた。

開始10分でカーキ色の制服を着た警備員に止められる。
き、昨日の夜は止められなかったのに!!

ギターケースの中には100ルピー札と10ルピー札1枚と小銭数枚。この短時間での160円分はデカい!

ボられた分は稼ぐ。これでWin-Winだ。てか3年前の1万3千円は忘れたわけじゃいから!(レスポンスくれた人には感謝です♪)

「さっさとここからどこか行け!パーミッションがないと演奏してはダメなんだぞ!それにお前チケット持ってるのか?」

「持ってますよ(WLだけど)!これからチェンナイ行くんですって!」
「チケット持ってるならとっととこ構内に入れ!」
「その前にちょっとご飯食べてきますね♪」

めんどくさいのはごめんだ。


ブッキングカウンターから少し離れた売店の脇で待機する。左手にしたパチもんのCASIOの時計で時刻を確認する。

5時5分前。今だ!

高校時代にハンドブール部で培ったサイドステップでインド人をかわしチケット売り場の列に並ぶ。最近思うんだけど、そこまで窓口並んでないよな。ここ数年でアナログなところがぐっと進歩したのはどこの国も同じなのかー。みんなスマホ持ってるしな。

チェンナイ行きのジェネラルチケット190ルピー(316yen)だった。

なんだ。当日でもチケットは買えるんだな。それなら次からチケット取れなかった時はジェネラル買えばいいんじゃない?

時間通りにやって来たチェンナイ・エクスプレス。プラットフォームの電子版に「GNR」と表示された車両に乗り込んだ。


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「席がねえ…」

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話には聞いてたけど、外国人が席にありつけるほどジェネラルコーチは甘くなかった。

通路の狭い車両に座席は寝台のようにして二段用意されている。(いや、あれは荷物を置く台なのか!?)

置くを覗くと通路にも人が座っているではないか!

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日本の通勤満員列車ほどの人口密度ではないにせよ、この狭い通路をバックパックを背負って行くのは無理だ。

だっ…大丈夫。これくらい予想していた。

入り口のスペースに荷物を置いてこれから始まる長期戦を思った。

13時間の列車の旅。僕には席がない。タバコ買っとくんだったな…

同じように席にありつけず横に立っていた少年たちに冗談めかして「タバコ吸いて~」と言ってたら、一本くれた。10ルピー支払おうとしたら

「プレゼント!Good relationship!!でも気をつけてね。ポリスに見つかったら罰金だからさ」と言った。
そういえば時々トイレにタバコを吸いに行くヤツがいる。可愛いな笑。ここには車掌も警察もこないだろうに。

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前回の列車と同じように床に座るとこの前ほど不快な感じはしなかった。

ちゃんとした席はないけど座れるし、この決められた席にずっと座ってなくちゃならないよりこっちの方がいいのかも。寝台があるに越したことはないけどね。



2時間くらい経った頃、側にいたインド人が僕に尋ねたきた。

「あれ何?」
「ギター」
「ちょっと弾いてよ」
「(めんどくさいなぁ…)」

と言いながらも残り10時間あることを考えてギターを披露してあげた。


「ちょっとこっち来い!」

耳当てにヒビのはいったサングラスのおっちゃんが食い付いてくる。

「や…荷物あるし、ここでいいでしょ?」
「いいから!いいから!」
「ほらここに座って!」

列車のガタガタ言う走行音とインド人の声でガヤガヤとした車両で僕の声は向かい合う席のエリア分にしか届かない。

それでもうるさく思っている人がいるだろうと4曲ぐらい唄ってパフォーマンス終了。

自分の席(って言っても入り口/トイレ前のスペースに戻ろうとしたら)おっちゃんは「ほれ!ここに座れ!」と僕にスペースを用意してくれた。

4人掛けの席に僕を含めて5人。狭いけど座れるだけありがたい♪

「それ何!?」
「ラッシーだよ?知らないの?」
「いや、知ってるけどさ、そんなの初めて見た」

今日のアガリその1☟

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「へ~…サラダなんて売りに来るんだ…」
「ほら!喰え!どうだ?」
「ちょっとすっぱいね!」

今日のアガリその2☟

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「ほらさっき3杯も飲んでただろ!」

今日のアガリその3☟

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「これあげるわ」

今日のアガリその4☟(ラスト一口分)

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気づいたらサモサを入れる新聞紙の切れ端で折り鶴教室みたいなことをやっていた。

イスラムの黒い衣装に身を包んだ女の人たちが電車の揺れに苦戦しながら不格好な鶴を折る姿は見ていてなんだか微笑ましかった。

なんにせよ今日の一番のアガリはジェネラルコーチで席にありつけたことだろう。

「シミ!みんなからいっぱいもらったな!」
「へへへ。まあね♪でもそれは"Power of Music"のおかげさ」

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。