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「深圳のIKEAでアイスクリーム」

世界一周49(8月15日)


「喜太郎くんは遅くできた子供だから
君が遊んであげたら林先生、きっと喜ぶんじゃないかな?」

IKEAで朝食をとっている時に先輩は僕にそう言った。

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どうして中国にまで来てIKEAに来たのかというと、先輩(モンゴルと中国の国境で出会った玄人バックパッカー)が「IKEAのアイスクリームを食べに行きませんか?」と誘われたからだ。何やらIKEAでは安くモーニングセットにありつけることができるらしい。そしてそこのアイスクリームが美味しいのだとか。

日本ではおしゃれなイメージを持つIKEAだが、先輩曰く、海外では「お金のない夫婦が生活用品を揃えるような場所」というイメージもあるらしい。

「貧乏だけど夢と希望に満ち溢れた夫婦がそこで朝食を取る」なんて聞くと、ちょっと映画のワンシーンを想像するよね。

それと、IKEAのアイスクリームはこってりして美味しかった。



これから夜行バスで向かう桂林には老寨山旅館 (ラオジャイ山旅館)というゲストハウスがある。日本人オーナーの林さんが私費を投じて建てた展望台があり、地元では有名なのだそうだ。そこから桂林の風光明媚な山水画の風景が見ることができる。

僕は元々は桂林には行く予定ではなかったけど、周りの人の桂林の話を聞いたり、「世界なぜそこに日本人」に出演された時の映像や、世界一周をされていたご夫婦で南米でマラリアが発症し運悪くお亡くなりになられた「旅ロック」(ブログです。書籍化された)の二人も訪れたことのある宿だということを知り、先輩とツインルームをシェアすることにした。

オーナー林さんには一人、喜太郎くんという息子がいるらしい。中国も今は夏休みということもあり、もしかしたら喜太郎くんの遊び相手になってあげられるかもしれない。


香港から中国に戻ってきて早速「次の目的地」ができた。

前回は用意されたルートをなぞるのは嫌だなんて書いていたけど、やっぱり誰かが誘ってくれるのはうれしいし、何よりルートを考えなくて済むので楽だ。

時には「旅の成り行き」に任せてもいいのかもしれない。

まだ旅を始めて二ヶ月ちょっと。だんだん自分の旅ができてくるだろう。今は焦らなくてもいい。そう思った。





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IKEAでソフトクリームを食べた後、夜行バスに乗るまで時間があったので、僕は深圳の中心へ行った。無印良品に行こうとしたのだ。

…えっ?
お前、そんなに無印が好きなのかって?

いや、だってさ、
お気に入りのパタゴニアのシャツなくしちゃってテンションガタ落ちだったから香港で5000円のオーガニックコットンの白いシャツ買ったじゃないですか?5000円ですよ。5,000円!!!

これで深圳にもMUJIに同じ商品が売っててさらに香港よりも値段が低かったら泣きたくなるよね。これで深圳には同じシャツがおいてなかったら『あぁ、これは香港でしか買えなかったんだなよしっ!おれの購買行動は間違っちゃいないぜ!』って思えるじゃないですかっ!

いつものようにGoogleマップで住所を調べて向かった。

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深圳は世界有数の電気街だ。
日本の秋葉原みたいな。(秋葉原そんな行ったことないけど)

なにやらiPhoneの工場だかなんだかがあるみたいで街中至るところにスマホショップが所狭しとひしめいている。


『こんなところに無印良品があるのか⁈』
深圳の繁華街に足を踏み入れた僕はそう思った。

あのシンプルでお洒落な無印良品がこんなごちゃごちゃした電気街にあるとは思えない。無印良品があるところにピンを刺しておいたのだが、お店のあるはずのビルにはスマホ製品しか売っていなかった。

無印良品のあると思われるビルの中にはフロアの上から下までびっしりと電化製品のブースで埋め尽くされていた。そのほとんどがスマホ関連だった。

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競合他社とか需要の喰い合いみたいなことは一切おかまいなし。売ってりゃ誰かが買いに来る。需要はいくらでもある。イケイケドンドン。まさにバブルなんじゃないか。これは。

ビルの中はうざったいぐらいに人が多く、店員たちは自分のお店の中でご飯を食べていた。多分、ご飯を食べに行く時間も場所もないのかもしれないな。

この日は雨が降っていたけど、そんなこと感じさせないくらい電気街は賑わっていた。

僕は2時間周辺を探したのだが無印良品は見つからず、諦めてバスでユースホステルに戻った。



20:30にバスは少し遅れて桂林、陽朔(ヤンシャオ)に向けて出発した。

外は蒸し暑くてジメジメして、Tシャツが肌にまとわりついたけど、バスの中は冷房が効き過ぎていた。

僕はサブバッグのせいで体を伸ばしきれないまま備え付けの布団を頭まで被り眠りに就いた。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。