「ノールーム・ノークライ」
世界一周191日目(1/5)
ホテル・カーニャをチェックアウトしてバスで向かった先はナーガコイルという町。
カーニャクマリは観光地ということもあり安宿が全然なかったけど、隣町のナーガコイルまで行けば安宿があるんじゃないだろうか?
ここがどこだか分からないバスターミナルで降ろされて、とりあえず近くにあったロッジに入って行った。
ドミトリーが一泊いくらか尋ねる。
「150だよ」
やすっ!
「でも満席だよ」
くそぅ…
ナーガコイルの滞在は一日でいいかなと思っていた。とりあえず、この町がどんな雰囲気を持っているのか感じられればいいなと。
これからやらなければいけないことは列車のチケットを取ることだ。宿が確保できても次の町に進めないんじゃ意味がない。駅に向かいながら安宿を探すも、シングルは満室。ダブルしかないとかもうやってらんないっすよ。何を好き好んでベッドを二つ使わにゃならんのだ?
宿にありつけないまま駅に到着した。
「もう、次の町に
進んでしまおうかな?」
駅のインフォメーションで次の町までの列車はあるかと尋ねると「10:50」とスタッフは教えてくれた。お~!夜まで全然時間あるじゃなか!それならこの町をプラプラ散策できるぞ!肝心のチケットも主要都市じゃない小さい駅なので余裕でゲットすることができた。
寝台で155ルピー(260yen)。
「あれ?車両と座席のナンバーが書いてないけど」
「あ~、うん。3番か4番の車両だよ」
超テキトー…。チケットには列車の発車時間も書いていなかった。駅を離れ、売店でタバコを吹かしていると「嫌な感じ」がした。旅人の勘ってやつだ。
現在の時刻は10:30分。
果たしてこのチケットは22時の列車のものなのだろうか?
自分はてっきり夜の便だと思い込んでいたが、これがあと20分後の列車だったら不味いことになるぞ…でもここからまた駅まで戻るのはダルい…だが、リスクは最小限にしておいたほうがいい。
「だぁ~~~っっっ!!!くっそう!」
僕は駅までもう一度引き返した。
インフォメーションのスタッフにこのチケットが夜の便か尋ねると「もう列車が到着するぞ!急げ!」と言われた。マジで危なかった…。
時間通りにやってきた列車に乗り込む。
念のため他の駅員にチケットを見せ自分の車両がどこか尋ねると「あ~そこらへん」と超曖昧なことを言う。
乗り込んだのは6番の車両。きっとそこまで乗客がいないんだろう。
走り出す列車。1秒以内に横切っていく景色たち。
田園にいる牛と白サギ。川で泳ぐ子供たちや線路沿いの小さな家の庭でボロボロのサッカーボールを蹴る子供たち。線路脇にぼうっと立たずむ巻きスカートの老人。踏切ではバイクやトゥクトゥクが列車が通過するのを待っている。カメラを構える前にあっという間に通り過ぎていってしまう愛おしき風景たち。
これらの景色をいつまでも頭に残しておきたいけど、それはきっと無理なんだろうな。
「その席はリザーベーションだ!」
4時間くらい経った頃に座っていた寝台を追い出された。
こういうインドの列車のテキトーさが厄介!あと2時間どうしたもんか…。
すると近くの席に座ったお兄さんが僕に席を分けてくれた。
ありがとうございます…。ほっ。食べ物も分けてくれたり優しい人だったな。
6時間の列車の旅を終え、やってきたのはErnakulam(アーナクラム)という駅。
目的地はKochi(コチ)という町なんだけど直接アクセスはできないので隣町にやってきたのだ。現在の時刻は夕方5時過ぎ。微妙な時間だ。
たかだか半日分のために宿に泊まりたくはないのだがー…とりあえず探してみるか。ここには安宿はあった。ドミトリーで150ルピー。だがどこも満席。
駅周辺には至る所に「LODGE」の文字が書かれた看板があるのだが、安宿とは到底呼べない。400ルピーならままだいい方で、500~600とかザラにある。
こんなこと言ってたらこの先の旅に「安宿」なんかありつけないよ?と思われるかもしれないが、インドの宿のクオリティで東南アジア以上の値段の宿には泊まりたくない!
仕入れた商品で重たくなったバックパックを背負って何軒も何軒もあたる。肩にずっしりくるバックパック。おかーさーん!もう泣きそう!
『おっ!ここにもYMCAがあるじゃないか!』
マップアプリ先生が僕に教えてくれた。
方向音痴の僕はGPSの精度の落ちたマップアプリを頼りに同じところをぐるぐる回ったりしてようやくYMCAに辿り着いた。
「は、ハウマッチ、シングルルーム?」
「あっ?満室だよ。」
愛想のないおっさんスタッフが放つ一言。
も、もう嫌だ!!!!
ここから一歩も動きたくないよぉぉおおお!!!
「一晩だけでいいのでレセプション前のソファで寝かせてもらっていいですか?」
「なにを言うとるんだね?無理に決まっておるじゃないか」
ですよね〜〜〜…。
よく見たら「YMCA」ではなく「YWCA」だった。えっと、何が違うんだろう?とりあえず高いってことは確かだ。
時刻は20時。駅までの道を引き返す。
ど、どうする!!?駅で野宿するか?いや、このベトベトの体をどうにかしたいし、
落ち着いた場所で体を休めたい。
駅付近の当たっていなかった宿もトライする。当然のようにドミトリーは満席。わかった…。安宿にはインド人がいる。
「はぁ、は、ハウマッチ?」
「まぁまぁ、とりあえず部屋見ていきなよ」
「僕の予算、250ルピーなんですよ」
「え~!そりゃないよ!だってうち500だもん!」
「わかりました…。帰ります…。」
「待て待て!400でどうだ?」
「いやぁ~…300でどうっすか?」
最後に当たったロッジでいつもの駆け引きを繰り返した。
350ルピー(588yen)までしか向こうも折れず、最終手段の「帰るフリ」をもってしても効果を発揮しなかった。
「あっそう。じゃ~あね~」的な!
ぐぬぬぬぬ…
「ひ、一晩お世話になります…」
一日散々歩き回って疲れたからだろうか?
この日の夜、僕は熱が出た。体が火照って、額が熱い。
明日の朝から移動できるのだろうか…?
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。