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「こんな街でも星は見える」

世界一周181日目(12/26)

はぁ…どうしよう?

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このウザい街であと3日もどうやって過ごせばいいんだ?

だけど列車のチケットはもう取ってしまった。WLだけど(笑)。

4日前の状態で順番は「119」
さすがに4日もあれば一気にキャンセルが出ると予想したのだが、今のところ変化は見れない。

昨日ネット屋(てかネットカフェの「カフェ」って感じのお店はインドにはねえ)で自分の順番を確認したところ「94」番だった。

全くキャンセルが出てないけど…大丈夫なのかな?




『明日には絶対ここから出てってやる!』

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と心の底から思っていた宿に気づいたら今日の分の宿代を払っていた。

理由のひとつはネット屋が近くにあること。もうひとつは画像が荒いせよ、監視カメラがついていることだ。これなら盗難の恐れもないだろう。油断は禁物だけどね。

ロッカーには自分の錠でロックをして貴重品を保管する。

てかパックセーフってドミトリーじゃあんまし役に立たないな。ここに来てパックセーフを使ってみたけど、荷物を取り出し忘れるとめんどくさいし、そういう時は金網の隙間からジッパーを動かして中の荷物を抜く。そういう動作を自分でしてみて、これは意味ねえなと実感した。

宿でパックセーフを使うのならレインカバーをかけてさらにその上からパックセーフをかけるか、中には金網の隙間から抜き取れないくらいの大きさの貴重品を入れておく場合に限る。

今のところここではパックセーフを使う必要性はなさそうだ。

充電器やポータブル・ハードディスクとかあるけど盗られた時はしょうがないか。



『こんな店二度と来るか!』

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と固く心に誓っていたはずなのに気づいたら同じ店に足を運んでしまった。

サービスは最低だが、提供しているフードのバリエーションが豊富なのだ。ここ以外でメシにありつくことはできるのだが、どこもいまいちパッとしない。それいつからそこにあるの?ってくらい冷たそうなサモサやどこでも見かけるプリーなど。

お店を構えているところのご飯は露店に比べてちょっと値段が高いのだが、このお店は比較的ご飯が良心価格なのだ。

僕は25ルピー(42yen)のベジ・フライド・ライスのハーフサイズを頼んだのだが、クソジジイ店員は「一時間半だ!」とかアホみたいなことぬかしてきやがった。うん。さっき作ってる人に訊いたら「13分でできる」って言ってたよ♪

ソーサーにチャイがこぼれているのなんて当たり前で店員たちに愛想のかけらもない低サービスのお店なんだけど、ご飯の味とボリュームはかなりあった。

出てきたハーフサイズのフライド・ライスに思わず「これ?ほんとうにハーフサイズなの?」と訊いてしまったくらいだ。

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「もしかしたら街を探索しているうちに作業場にぴったりなカフェが見つかるかもしれない!」

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腹ごしらえを済ますと僕は漫画を描く道具一式を持って街に出た。



そういえば、
ヴィシャカパトナムでお腹を壊して以来、今までパクパクパクパク安い物を沢山食べてきた食欲が驚くほど落ちついた。

あれだけ『我慢しなきゃ!我慢しなきゃ!』と自分をコントロールしようとしても難しかったのに、今は全く『食べたい』と思わなくなったのだ。漫画製作に時間を割くようになってあまり動かなくなったからかもしれないな。

僕の食欲が爆発したのはモンゴルで馬のミルクを飲んで下痢になってからだ。モンゴルだから旅を始めて一ヶ月くらい。7月の終わり頃だ。ここから「食べること」に意識がもっていかれるようになった。

僕の使っているモレスキンの手帳には7月25日(世界一周25日目)の欄に「今回は体力回復!精のつくもの食べると決めた!それと漫画完成の自分へのごほうび!」と無駄な出費に言い訳するように書き込みがしてある。

この時はなんとか体調を元に戻さなくてはとカップヌードルなどの加工食品を食べるようになり、中国に入ってご飯の美味さにバクバクバクバク食べまくり、4キロ体重が増えた。

その後、東南アジアでもっと安くご飯が食べられるようになり、一日3食は欠かさず食べていたし、それに加えてアイスやらクッキーも毎日と言っていいほど食べていた。『食べ過すぎて気持ち悪い』なんて何回経験したことか笑。そんな5ヶ月も続いた食欲が今はだいぶ収まった。

日本でもがっと食欲が沸き起こる時があれば、ピタッと収まる時もあったんだよね。そういうバイオリズムがあるのかなぁ?

それと、サンダルのかかとの部分がまた壊れちゃったよ…。ウゼェ…。

日本で買った1万3千円のKEENのサンダルは温かい国では常時履いているようなサンダルで、Penny Boardにもガンガン乗れるような頼れるサンダルだったのだが、機動性の要でもある「かかと留め」がどんどん痛んでいき、一度コルカタで修理してもらったんだった。丈夫な糸で縫ってあるんだけど今度は別のところが壊れた。今のところ歩くのに支障はない。



漫画道具一式を持って向かった先は昨日とは反対方向。

線路を越えてマップアプリを頼りにお寺が複数まとまっている場所を目指す。

線路を挟んで街の反対方向に行くと宿のある側の様にごちゃごちゃした感じはしなかったが、道路はまだ工事途中だったり未舗装の部分があったり、何台も通り過ぎる車が絶えることなくモクモクと砂煙をあげている。

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歩きながら思った。
『おれー、そんなにお寺に興味ないや…』
てかなんで僕こんなロンリープラネットの隅っこに載ってるような街でトボトボ歩いているんだろう?

いや!それはインドの、世界中の色々な景色を見てみたいからだよ。

でも、ガイドブックでの扱いの小ささは「見所があまりないよ」ってことなのかもしれないな。かと言って、旅人が必ず訪れる様なメジャーな場所を巡礼的に旅しても面白くない。

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自分の旅の在り方を考える。

僕の旅はもっと身近にある物を拾い上げて行く旅なんじゃないか?見所なんてなくたっていい。自分の旅アンテナがどれほど感度を上げているかだ。ただ、このウザい街ではめちゃくちゃ下がっているのだけど…。

テンションも上がらずにデコボコ道を歩いていると道路の脇に一見のカフェを見つけた。

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目の前に大きな病院があるが、まわりにお店なんかないし、カフェのあるような立地ではない。ガラス戸の向こう側では空調で温度が調整されているのが分かる。貼られたポスターにはオシャレな都会の若者の雰囲気を感じさせる。

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こういうモデルさんってインド人にしたら浅黒くないよなぁ。きっと裕福で学力とかもあるんだろうな。

カフェのメニューはもちろん高い。ちょっとお腹を満たそうと思ったら、宿代なんて軽く越えてしまう。

15ルピー(25yen)のチョコチッップクッキーを2袋買ってテーブルについた。

「注文はこれだけでいいの?」
「う、うん。とりあえず今はね。もしかした後で頼むかも!」

ここにやってくるのはそういうお金を何の抵抗もなく使える人たちだ。だが、ここはそんな彼らが集まる様な場所ではない。じゃあ何でこんなところにカフェなんか作っちゃったの?病院の先生たちがくるのかな?

いずれにせよ店内にテーブルは10台以上ある。お店にお客さんも2組しかいない。これなら3時間くらいいても追い出されることはないだろう。

3時間くらいいて2ページの短編の主線までペン入れした。

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サンダル修理屋を駅の近くで見つけた。

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大きな街だったらこういう修理屋さんが必ず一人はいる。インドの人たちはサンダルがメジャーだからね。

「サイドをもっと補強して!」と修理代20ルピー、加えて10ルピーで壊れそうな部分を補強してもらった。これでまたしばらくは使えるはずだ。


自前のパソコンを使える宿の近くのネット屋で2時間で列車のチケットを2つ先の予定分まで購入しておいた。今のところWLではない。やっぱり5日以上前じゃないとダメなのかもな。

それにしてもあさって乗る列車のWLがほとんど動かない。順番は「86」だった。これって「どばっ」とキャンセル出るかのか!?


2日目のバスキングで宿代分のお金を稼いだところで3弦が切れた。歯欠けのギターじゃ全然しまらない。

宿に戻って稼いだお金で翌日分の宿代を払うと、スタッフは20ルピーディスカウントしてくれた。300ルピーボッておいて…。ってまあいいか。

薄明るい星空の下、屋上でタバコを吹かしながら宿泊客のおっちゃんと話した。

こんな街でも星は見える。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。