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「メコン川に沈む夕日を僕はみた」

世界一周107日目(10/13)

前日の夜に「試してみたいこと」があった。
名付けて「ブルシでテント」。

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ブルーシートにビニール紐を通して吊り、Pennyを重し代わりにテントの形ができた。やばい!僕のクリエイティブのセンスマジハンパない!

これは「Into the Wild」に出てくるヒッピーの夫婦が浜辺に布と骨組みだけの簡易テントを立てているのを発見したのと、小学生の時に折りたたみ布団を三角形にして秘密基地を作った経験を基にして製作した。向きによるけど167センチの僕のサイズならなんとか収まる使用だ。雨が降って来た時のためにもうちょっと増長したいかなってとこ。まあ創意工夫でなんとかなるだろう。これで野宿できる!(なんてね)。

僕はビビリなのでよっぽど安全な場合、例えば「日本人の旅人と一緒にキャンプ」とかそういうシチュエーションじゃないと野宿なんてやりませんよ。

ブルシテントの完成に満足した僕は日本でやった野宿予行練習ぶりに「おうち de 野宿」をやって眠りに就きました(いや...、全然眠れませんでした)。

 


翌朝は朝7時に目を覚ました。

広げた荷物をのそのそとパッキングした後僕はアムンタントさんから借りたアパートを後にした。結局、アムンタントさんとはウドンターニー初日で会った後、一度も会っていない。僕はお礼のメッセージを書いた置き手紙を残して外に出た。

外に出ると隣りの犬がガラス戸越しに僕を吠えてきた。

この4日間、ヤツらに吠えられっぱなしだったなぁ...。外に放し飼いにされてる時は僕のこと噛み付かん勢いで吠えてくるからアパートに戻る時ヤツらに出くわすと困ったよ。それも今日でお別れ。バイバイ!犬ども!

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ハイウェイに出た僕はこの日やってみたかったことがあった。ヒッチハイクだ。

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近くのバスターミナルへは行かず、ノーンカイ行きのハイウェイをバックパックを背負ったまま最大限の笑顔と一緒に親指を立てる。

「いや、待てよ。これじゃあ行き先が分からないかな?
でも、ノーンカイへ続くハイウェイだしな...。大丈夫だろ?」

親指を立てながら歩くが、後ろから通り過ぎる車はフルスピードで僕を追い越して行く。気づいて何かサインを送ってくることもない。15分くらい歩いてガソリンスタンドに到着した僕は今度は横の露店で待ち構えてみることにした。ガソリンスタンドに入った人も露店に立ち寄る人も気づいてくれるだろう。そんな狙いだった。

だが反応は同じだった。果たして僕の姿にドライバーは気づいているのだろうか?笑顔で手を振ったり、「Nong Khai」と書いたノートをかざしてみても全くと言っていいほど手応えはなかった。

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しばらくすると一人のおじちゃんが英語で僕に話かけてきた。
「ここでヒッチハイクなんてやっても無駄だぞ。そもそも親指を立てるサインの意味を分かっていないんだからな」とおじちゃんは言う。

『いやぁ...そんなことないっしょ!きっと誰か分かってくれる人が僕を拾ってくれるはず!それよりおっちゃん、邪魔しないでくれるかな?こっちも車を捕まえようと必死なんだから!』
と僕はおっちゃんと会話しつつも、ガソリンスタンドにやってくる車に親指を立て続けていた。車の走行音に会話が上手く聞き取れない中おっちゃんは「どこから来たんだ?どこへ行くんだ?何してるんだ?」と同じ質問を何度も僕に投げかける。
僕がちょっとイライラしてきたころおっちゃんは唐突にこう言った。


「ノーンカイまで送ってってやらんこともないぞ?」


ちょっ...、、、えっ!?マジですか!!!?

「い、いいんですか!?」
「朝飯は?」
「まだです!(間髪入れず笑顔で即答!)」
「じゃあ一旦うちまで行くぞ」

僕はSUZUKIの車にバックパックを押し込みおっちゃんの家に向かう事になった。

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ハイウェイ沿いのガソリンスタンドから車で2分の距離におっちゃんの家はあった。

「お前さんがヒッチハイクしてる姿を女房が見てな。他の人間じゃお前さんが何をしてるのか分からないだろうと戻って来たんだ」とおじちゃんはどうして僕に声をかけてくれたのかを説明してくれた。なっ...、なんてありがたいんだ...!!!ここ数日タイのみなさんにお世話になりっぱなしだ...。

家では奥さんと娘さんがモチ米とソーセージとお肉を出してくれた。色々な国でお米を食べてきたけど、タイのお米がダントツに美味しい。モチ米は赤飯につかうそれのように弾力があって食べ応えがあった。

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一通り自己紹介を済ませ、自分が旅する漫画家だと彼らに伝えると、おっちゃんは奥さんの顔を描いて欲しいと言ってきた。テーブルもなかったのでこのクオリティだったけど、喜んでくれた。

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途中、近所の高校の校長先生もやってきて日本語の単語で僕に話しかけてくれた。


「わたし、にほんごべんきょうしたいです」と言う校長先生。

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手には日本語の教材。

何が日本語を学ぶ原動力になるのだろう?日本語ってすげえ複雑で曖昧な言語なのに「勉強したい」って言ってくれる校長先生にちょっと嬉しくなる。

おっちゃんのご家族や校長先生とのひと時を楽しんだ後、いよいよノーンカイまで送ってもらうことになった。

NISSANの軽トラックの荷台に僕は乗り込む。

車が家を出る前、娘さんがパンを3つほど僕にくれた。

「You are Lucky!」と娘さんが言う。ほんとにそのとおりだ。でも、僕がツイているというよりかは手を差し伸べてくれる人がいてくれるそういう感謝の気持ちの方が今はある。

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ハイウェイを走る事30分。ラオスとの国境の町ノーンカイに僕はやって来た。宿にチェックインして近くのカフェで漫画を描いた。辺りが夕焼けに染まる頃僕は漫画を一旦切り上げた。

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宿への帰り道、ラオスへ架かる橋の向こうに夕焼けが見えた。

『夕日ってこんなに綺麗だったけ...?』

そう思えるほどノーンカイで見る夕日は美しかった。

オレンジ色の夕日が国境に沈む。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。