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「インドに旅慣れててもインド人がウザくなる」
世界一周180日目(12/25)
さ、寒すぎるっっっ!!!
ジェネラルチケットから寝台のチケットを買わされ、自分の席を確保したのはいいが、窓から入ってくる夜風が冷たく眠ることができない。パタゴニアのアウターを着ていても寒さが伝わってくる。
次の目的地ハイドロバードまでは3時間くらいで着くだろう。このまま寒さに耐えることもできなくもないが…。
人間は体温が低下すると体力が奪われてしまうという。たまらず座席の下からバックパックを引っ張りだし、パックセーフの隙間からサバイバルシートを取り出した。
寝台列車には僕の他に数組しか乗客がいない。さっき車掌が「ここから他の乗客がいる車両に移動するか?」と訊いてきた時は
「はっ?何を好き好んでインド人でいっぱの車両に移動せにゃならんのだ?」と思って車両を移動せずにいたが、まさかこのことだったのだろうか?
人口密度が高い方が確かにあったかいよね?
サバイバルシートのおかげでなんとか眠りに就くことができた。
だが、6時前になってギャーギャーうるさい子供たちの声で目覚めた。
乗っていた3組くらいの家族の子供たちが空いた寝台をジャングルジムのようにして遊んでいる。ったくこんな日も昇る前からうるさいったらありゃしない。
頼むからもう少し寝かせてくれないか?親はどこにいるんだ?子供たちを注意しないのか!?
と思ってサイドアッパーの寝台から子供たちの親を捜すと、親は親同士でぺちゃくちゃとお喋りをしながらご飯を食べていた。僕は眠ることを諦めて寝台から降りた。
ガキ共をこれでもかというくらい睨みつけて舌打ちをかましたが、ガキ共が静まる気配を見せなかった。
とりあえず車内販売のコーヒーを買い求め血糖値を上げる。窓から入ってくる冷たい風に温かいコーヒーが体に染み渡った。
15時間の移動を経てようやく辿り着いたハイドロバード。駅はセカンドラバードという駅。
駅の外に出てタバコを一本買って吹かす。
すぐにやってくる物乞い。
「いや、お金はないよ」とバクシーシを拒否しても、しつこくいつまでも僕の目の前でお金をくれという手のひらを差し出す。
一人が去ってもまた次の物乞いがやってくる。今度は子供連れだ。インドには酷い話、バクシーシを受けやすくするために子供の手足を切る親がいるという話を訊いたおとがある。本当かどうかはしらないけど。
少なくとも今目の前にいる女性からは結婚しているような感じは全くしなかった。もしかしたら今脇に抱きかかえられている赤ん坊もバクシーシのために生まれてきたのかもしれない。真相は僕にはわからないけどね。
駅の近くで売っているパイを一切れ食べて僕は宿探しを始めた。新しい街に着いらまずはそこからだ。
この街は昨日までいたヴィシャカパトナムよりも大きい印象を受けた。バスは何台も駅から走り出し、さらに多い数のトゥクトゥクが道路を走る。それに増して人が多い。朝からあわただしい街の喧噪。砂煙と朝日が混ざり合う。見上げると至る所に「ロッジ」や「ホテル」の文字。とりあえず泊まるところはありそうだな。
僕は安そうな宿をかたっぱしから当たっていった。
まず「Delux」と書いたホテルはダメだ。ふつうに7~800円くらいする。ここでも何件かは「インド人オンリー」の宿もあった。
僕はしかたなくドミトリーを当たってみた。
東南アジアと違い欧米人の観光客が少ない土地のドミトリーはあまり信用できない。設備もよくないし、もしかしたら盗難もあるかもしれない。
できることなら200ルピーくらいのシングルがよかったのだが、どうやらこの街にそんな宿はなさそうだ。250のシングルなら後で見つけたんだけどね。
建物の2階にあるドミトリーはレセプションの脇に置かれたベッドが8台ほど、ガラス戸を挟んでACつきのベッドが同じくらい見えた。
僕はとりあえず一泊ということで140ルピーのACつきのドミトリーに泊まってみることにした。パスポートをスタッフに渡し、自分の名前をサインする。
あとでパスポートの顔写真のページとビザのページをコピーして来いと言う。ちぇっ、そのくらい宿でやってくれよな。500ルピーを支払って自分のベッドに荷物を置いた。60ルピーはデポジットだそうだ。
割与えられたベッドは部屋の中央。部屋にはインド人の男たちがもぞもぞと毛布にくるまっている。
そういえばいつお釣りが返ってくるんだろう?忘れないうちに言っとかなくちゃ。
「えっと…、お釣りの300ルピー返してもらえない?」
「何言ってるんだ?さっき返しただろう?」
「?」
あれ…?そうだっけ?そんなことを言われるとお金を返してもらった気がしなくもない。
「あれっ?そうだっけ?ごめん!返してもらったよね?」
ベッド脇でお財布を確認してみたのだが、そこには300ルピーなど入っていなかった。
何枚かの10ルピー札と今朝方ジェネラルチケットから寝台分のチケットに変更になった際に車掌に払った500ルピーのお釣りの100ルピー札4枚。これ以外に出費はない。あんにゃろう!ごまかしやがったな!
「やっぱりさ!300ルピー返してもらってないよ!」
財布の中身をぶちまけて説明するももう一回退いてしまった手前、説得力がない。
「いや、確かに渡した」
「いや!もらってない!」
宿には監視カメラがついていてそれで確認をとったのだが、監視カメラの画質が悪く自分がお金を受け取ったのか分からない。スタッフとパスポートのやり取りなのかサインを書いているのか。
ただ、映像を見る限り、僕がお金を受け取っているようなモーションが映っていたため、最終的には僕がお金を受け取ったことになってしまった。宿側からしてみたら訳の分からないことをわめく迷惑な客。
じゃあその300ルピーはどこにいったんだ?
僕はスタッフがお釣りの300ルピーを手にしているのを見て『いつ返してくれるのだろう?』と思っていたのだ。だからこうしてキャッシュバックを求めたというのに…。
『絶対明日になったら宿を変えてやる!』
そう強く心に決めて1時間半ふて寝をした。
この街にはこの街独自のエネルギーが渦巻いている。コルカタとも違うし、ヴィシャカパトナムとも違う。
道路はなかなか横断することができない。
車は他の都市同様ひっきりなしに走っている。
巻上る砂煙。
地球温暖化なんてそんな言葉あったの?と言わんばかりに吐き出される排気ガス。
どこを見回しても人人人。自分のペースで歩くことができない。
そしてちょいちょいウザい。
せ、せっかく新しい街に来たんだ!今日は来たばかりだし周辺を探ってみようじゃないか!
駅のすぐ側にあるローカルな通りに行くと、机の中をひっくり返したようなインドがそこにはある。もっと心がクリーンな状態で見ていればめちゃくちゃ楽しいんだろうなぁ…だが、今の僕の荒んだ心ではこの旅を楽しむことができない。
『おれってこんなに心の狭い人間だったっけ?』というくらいこの短時間で些細なことにイライラするようになった。日本の常識なんて通用しないのは分かってる。ここはインドなんだ!
そう自分を納得させて苛立を払おうとしても、また次の「ウザさ」がやってくる。
プリー屋の若造はまるで小学生みたいなからかい方で僕にお釣りを渡そうとしなかったし、
漫画を描きに行ったメシ屋ではソッコー追い出された。
ついでに言うとコーヒー頼んだのにチャイが出てきて(いや、苦い粉末が浮いていたからあれがコーヒーなのかもしれない)
しっかりとコーヒーの代金を払わされた。もう二度と行くかあんな店!
漫画を描くのにテーブルを探し求め、ガラガラの店でチャイをオーダーしようとしたら、メシ屋だっていうのにチャイもコーヒーもなかった。えっ?じゃあドリンクの注文できねーじゃん。水オンリーかよ…。
ネットカフェでは「いつもそこのテーブル使ってるんだよねぇ..」と後ろからおちゃんがウザったいプレッシャーをかけてきた。そんなこと知ったことではない!
漫画道具を入れた手さげバックがひったくられそうになった。
(あれがからかっているのならタチが悪いぞ!)
ドミトリーは24時前まで大きな声で同室のインド人たちが会話している。
一応次の街に行く列車のチケットは早めに入手しておいた(4日前でWLだったから、自分の番までまわってくると踏んだのだ)
次の出発は3日後の22:15発。あと4日もこの街に滞在しなくちゃいけないなんて!
やゔぁいよぉおおお~~~!!!
ここにきてインドウザいよぉおおぉお!!!
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。