見出し画像

「ウォッカをレモネードで流し込む in ジョージア」

世界一周341日目(6/5)

画像1

ここは公衆トイレの裏。

空き地スペースはトイレが施錠されると
「立ちションポイント」
となり僕をビクつかせた。

その後見回りに来た警察のお兄さんには
「ここで寝ていいけど8時までには片付けてね」と
思いもよらぬ優しい言葉をかけてもらったが、

蚊のヤローどもが僕の顔のまわりで飛び回り、
なかなか眠ることができなかった。

のじゅー、キャンプする時には
野生を取り戻さなくちゃいけない。

聴覚を最大限に研ぎすませ、
自分の半径10メートル以内に
何かが近づく気配を感じたら
起きて身構えるくらいの。

画像2

まともに寝られたのは
空がだんだんと明るくなってきた頃だった。

目を覚ますと当たりは早朝の明るさ。
うん。二度寝しよう。

撤収の時間もあるので
7時にはキャンプを片付けた。

画像3

ブルーシートからは
ウシュグリの復讐の塔の臭いがした。
牛の臭いだ。



さてー…
どうしうようか?
とりあえず海行ってみっかな。

20kg以上のバックパックと7kgのサブバッグ、
右手に1kgのギター、左手には1.3kgあるPenny Boardだ。

これを僕の「フル装備」。
活動限界は2時間。

だけど最近この時間も段々伸びてきた気がする。

設営場所の公園からビーチは近い場所にあった。

画像4

朝の時間帯は人の姿が全然おらず、
時々何人かのジョギングをしている人がいるくらいだ。

にしてもお腹へったな…。

日本だったらコンビニにかけこめば
すぐに食べ物にありつけるけどここはそうじゃない。


たまたま空いていたビーチサイドから
少し離れたところに売店を発見した。

中ではおっちゃんやおばちゃんたちが
朝のひと時を楽しんでいる。

画像5

リンゴとパンと1リットルの炭酸水だ。
2.6ラリ(151yen)。

画像6

おっちゃんは綺麗な目の色と
優しい笑顔が印象的だった。
今日はいいことあるぞ♪

画像7



そして僕が向かったのは
昨日と同じカフェ。

画像8

「……」

画像9

や、だって僕ブロガーだし。

うん。ちょっとね、
海外にまで来て何やってるんだって思うよ。

でもさぁ、別に僕はそこまで観光熱心じゃないし、
バトゥミの雰囲気ある町並みを歩いていたら
それで十分なんだよ。

ほら!それに次はトルコでしょ?

帰国後にやりたいと考えている
1日限りの雑貨屋企画もあることだし

仕入れのリサーチもしなくちゃならない!
(ちなみにビジネスとかそんなんじゃないです)


僕はコンセントがある席を確保して、
テーブルにパソコンを広げた。

もちろんたまった日記もガシガシ書いていく。

ここのお店もそこそこの値段で席数が多いもんだから、
お客さんで満席になるようなことはない。

ホールスタッフのお姉さんたちは
ヒマそうにしている時間は多く、
しきりに僕のオーダーしたアメリカーノの残量を
チェックしにくる。
長くいたい僕にとってはけっこうなプレッシャーだ。

ほんの少し残していても、さげようとしてくるから
「ちょっ!」といってストップをかける。

ふむふむ。なるほどね。

トルコの雑貨は産地によって別れてるけど、
一番はイスタンブールのバザールか。
モザイクライトとか絶対欲しい!

どんな雑貨を仕入れて行くのか
友達とLINEで意見をやり取りした。



画像10

がっつし、室内系男子を演じると
(や、実際にそうなんすけど)
僕はバスキングへとでかけた。

昨日はなんだかんだで似顔絵大会になっちゃったけど、
今日は稼ぐ!なんてったってここはビーチなんだ!
みんなの気分も浮かれているハズ!

釣りの入れ食いポイントを探るように
僕はビーチサイドに行ってみることにした。

画像11

やー、のどかなビーチだこと。

人の流れなんてない。
ためしに数曲唄ってみたけど、
なんか傷心アコギ弾きみたいになっちゃったよ。

近くにいたお兄さんからは
「別の場所でやった方がいいよ」
とまで言われてしまう始末。

『グルジアにバスキングする
場所はないのか???』

そうとでも言うように
空は曇り風が吹いている。


フル装備で歩きまわる範囲には限りがある。

もしかしたら他に
もっといい場所があるのかもしれないけど、
僕が見つけられたのは車の交通量の多い
トビリシ・スクエアだった。

画像12

今現在、僕のお財布の中に入っているのは
50ラリ札(2,903yen)一枚と
1ラリにも満たない小銭数枚。

この50ラリ札はトルコに入ったときの両替用にしたい。
小銭は両替してもらえないかもしれないから、
このお札はくずしたくはない!

明日の国境までのマルシェは1ラリ。
もちろん晩メシも喰いたい。

ぬっふっふっふ♪
稼げないとメシにありつけないなんて。
ナイスなルールだぜ!

画像13

風が吹く中僕はギターケースを前に置いた。

「ふぅ…」

ひと呼吸おいて気持ちを切り替える。

金じゃねえよ。お金は持ってるんだ。
50ラリのうち10ラリだけ使うってのもありだ。
必死にやるんじゃない。

下心で頭の半分は埋まっちゃってるけど、
忘れちゃ行けないことがある。

楽しんでやることが大事なんだ。
目の前を通貨、じゃなくて通過する人を
一人でも笑顔にさせられたらそれでいい。
そうすりゃ0.2ラリコイン一枚でもいい夜にならぁな。

ロケーション的にはそこまでよくないのに、
レスポンスは思ったよりも入った。

前の飲食店のおばちゃんが
窓の向こう側で僕に向かって手を振った。

驚いたのがグルジアで一回も
もらったことのないお札が入ったことだ。
5ラリ札(290yen)。

子供をおんぶしたお父さんがウインクして
僕に親指を立てた。

目の前の建物に住むおばちゃんから
「うるさいからよそに移ってくれ」
と苦情を言われてしまったので、
僕のパフォーマンスは終了した。

ま、らしいっちゃらしいですね。

画像14



トイレを借りるために
目の前のレストランに入った。

すると奥のテーブルに座っていた2人組に声をかけられた。
ジェスチャーで
「ギター弾いてたろ?こっち来い!」
と僕をテーブルへと招いてくれた。

画像16

「どっから来たんだ?ジャパンか!いいな!
ほらほら!食べた食べた!飲んだ!飲んだ!」

兄さんはお店の人にいいつけて新しいお皿をもらい、
肉まんのようなヒンカリを盛ってくれた。

そして目の前に置かれたのは
ショットグラスに入ったウォッカ。

画像15

ごくっ…。
よりによってウォッカか…。

僕はお酒が弱い。

だいたい飲み過ぎると眠くなって、
その先にいくと吐く。


「ほら!どした!さっ!」
と僕に飲むように促す兄さん。
こっちもジェスチャーで飲むとすぐに顔が赤くなって
吐いてしまうことを伝えておく。

ウォッカと一緒に別のカップに
緑色のレモネードがつがれた。

「いいか?まずはウォッカを飲んで、
すぐにレモネードを飲むんだ」

と僕にレクチャーしてくれる。
なんかこの飲み方、テレビでみたことあるぞ。


かんぱーい!みたいな言葉と共に
僕はウォッカを胃袋に流し込んだ。

そして間髪入れずにレモネードをグラス半分、
同じように流し込む。

そこまでアルコール度数の高い独特の辛さを感じない。
でもきっと後からくるんだろうな…。

楽しいひと時は続いた。


僕はお礼に二人に名刺をプレゼントした。

画像17

画像18

僕の描いた似顔絵を兄さんは大事そうに財布にしまった。

結局僕はその後2杯ウォッカを飲むことになり、
睡魔が襲ってきてあくびを連発し、自然と涙がにじんだ。

画像19



21時を過ぎた頃には気を利かせた兄さんは
僕を帰してくれた。酔って少しふらつく足。
フル装備でビーチサイドまで歩いた。

画像21

この時間になって、
ビーチサイドはにぎやかになっていた。

この時間でも若い子たちが
ベンチでお喋りしたりしている。

そうか、ここは夜の方がよかったのかもな。

夜風が気持ちいい。


今夜の寝床はレストランの脇にある
本日の営業を終えた露店の下。
ちょうど上に屋根があり、
囲いが目隠しの役割を果たしてくれた。

身を横たえ一時間ほど辺りの様子をうかがう。
ここは茂みの中なのであちら側からこっちは見えない。

昨日と一緒で立ちションする人が来たが、
ここまでは来なかった。大丈夫だ。ここなら寝れる。

となりのレストランからは
重低音のクラブミューックが漏れていた。

画像20


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。