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「燈が夜に溶けていく」

世界一周115日目(10/20)

『こ、この部屋に「何か」いる!!』

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深夜2時。体の異変に気づいて僕は目を覚ました。体がゾワゾワして痒いのだ。これが噂に聞く「南京虫」ってやつか!!?

前日、ドミトリーの空きはあるということだったのでやって来たViengValley guest house。いざチェックインする段階になって宿のスタッフは「いや、満室ですけど」と僕をつっぱねる!
いやいやいや!ちょっと待ってくれよ!昨日別のスタッフさんがあるって言ったぞ?空いているのは50,000KIP(621yen)のシングルのみだとスタッフは言う。おいおい。そんなんだったら宿なんて移動しなかったよ。

切り替えの早い僕は、どうせ明日はルアンプラバンに出発することだし、たかが一日なんだったらと「レセプション前に寝かせてもらうよ」と、荷物はパックセーフにくるんでレセプション前の長椅子で昼寝をとっていた。すると宿も体裁があるのだろう。スタッフさんは仕方なしにシングルルームを3ドルで使わせてくれた。

まぁ、その部屋がここだったわけだ。
窓には全て網戸が入っているので蚊が部屋の中に入って来る事はありえない。それにあの「ぷわぁああああぁあ〜〜〜〜ん....」という殺意を抱かせる羽音も全くしなかったんだから間違いない。

僕は大急ぎで水シャワーを浴び、ベッドからバックパックやその他荷物を隔離し、電気をつけて思った。『寝れねぇ...』。
ルアンプラバン行きのバスの時刻は8時。それまでずっと起きてなきゃいけないのか!?誰かが「南京虫対策に電気をつけっぱなしにして寝る」ということをブログで書いていたのを思い出し、電気をつけてベッドに横になってみると、さっき襲われた不吉な痒みは感じなくなった。ヤツらは暗くなると活動するらしい。とりあえず、iPodで懐かしい曲を聴きながらベッドに横になった。



目を覚ますと7時34分だった。
あぶない...。バスを乗り過ごすのところだった。

半水没してしまい、ライトの消えなくなったiPhoneを回復させるため電源を落としてたんだっけ...?頭がボヤボヤするなか荷物をまとめてレセプションに出た。

出発前に食べた「ラオ・フー」と言うらしい食べ物を買った。5,000KIP(62yen)。プルプルした具入りの皮に甘いあんをからめ、乾燥ナッツ的なふりかけをかけて食べるもの。こういう甘ったるいのは好みじゃないんだ...。

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ちょっと遅れてやって来たミニバスに乗り込んでラオスの次の町ルアンプラバンを目指す。昨日バイクで行った道はルアンプラバンへと続いていた。

昨日引き返した先には一体何があるんだろうか?睡眠不足だと言うのに窮屈なミニバンのせいもあって爆睡せずに外の風景を楽しむことができたのは最初だけだった。

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バスはぐんぐん山を登り、登れば登るほど気温が低くなってくる。外の景色を見るために窓を少し開けておいたのだが入ってくる冷たい風におもわずパタゴニアのアウターを着込んだ。それに窓を閉めようと思っても前に座っている欧米ねーやんが頭を窓によっかからせて寝ているもんだから窓を閉める事ができない!わかるかなぁ?この状況。だって日本人ですもの!僕!!!こういときに「あのぉ、ちょっと寒いんで閉めてもらっていいですか?」なんて言えないのだ。

加えて山道のコーナーリングはこれでもかというくらいに右に左にくねくねしている。それを通過するたび体に「G」がかかる。うう...気持ち悪い...。バンビエンからルアンプラバンに向かうにはこんな難所を切り抜けなければならいなんて…

だが、山の上から見る形式は壮大だった。

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ミニバスは山頂のレストランで食事休憩のために停車した。案の定、こういう場所では材料を運んでくるのにコストがかかるため値段は高めだった。(もちろん僕にとってはだけど)

タバコで空腹を紛らわした後、再び乗客をシェイクするミニバスのドライブが始まる。一番後ろの部座席に座っていたのは僕しかいなかったので3座席全て使って横になると気持ち悪さは大分収まった。

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6時間のドライブを終え、15時にルアンプラバンのバスターミナルにミニバンは到着した。

すぐに町の中心地へは向かわず、バスの値段表を見る。国内の近場だったら約50,000KIP(621yen)。離れた都市なら100,000KIP、千円以上する。タイ、チェンマイへ行くには310,000KIP(3848yen)もする。数百円で列車でタイを移動して来た僕にとってはこれは高い値段だ。ちなみに所持金は残り647,000KIP(8,033yen)。これであと7日間をしのがなければならない。手持ちのドルはできるだけ切り崩したくない。

カンボジアでひと月のキャッシング枠ギリギリまでアメリカン・ドルを作ったのだが、くっそたれ楽天カードの設定ミスでキャッシング枠が戻るのは今月28日。これで戻らなかったらブチキレてやるんだから!27日に請求がきて引き下ろされるからあと7日はこれプラスアルファでやりくりしてかなきゃいけんのよ。

まあね、別にドル切り崩したってまた他の国のお金を多めに引き出しておいてどこかでアメリカン・ドルに両替すればいいんだけど、手数料もかかるし、なにより自分ルールがあったほうが楽しいじゃん?

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はいっ!というわけで今日のお宿はー...

バスターミナルです!

ちゃっかりWi-Fi飛んでて、受付のおばちゃんがすんなりとパスワードを教えてくれました。もちろんビビリな僕は極力リスクは避けたいと思っている。だから、このバスターミナルが監視カメラが設置されていて、野犬も入ってこないそれでいてすぐ上が高めのゲストハウスっていう環境を踏まえた上での野宿決行だ。

バスターミナルのテーブルで漫画を描いているといつのまにか外はすっかり日が暮れていた。

ターミナルのスタッフたちは楽しそうにお喋りをしながら外へ出て行く。何が始まるのだろうと、僕は彼らの後を追った。彼らはバスターミナルの外の広場に何かを持ってきていた。どうやらそれは紙でできた提灯のようだ。

それの提灯のようなものを縦に広げると、スタッフは中の蝋燭に火を灯した。提灯はだ熱気で膨らみ、ある程度のところまで大きくなるとスタッフの手から「ふっ」と離れた。

今日は後夜祭だろうか?満月の空に向かってろうそくを灯した日本の灯籠の用なちいさな気球がいくつも空へ向かって飛んで行った。

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やがてそれらは星と同じくらい小さな点になり、いつのまにか闇夜に溶けていったのだ。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。