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21歳学生がビジネスクラスの無料アップグレードの対象になった話

初めてビジネスクラスに乗った話。

私の学校は、1年目の冬に長期学外実習という課程がある。いわゆるインターンシップと呼ばれるものだ。3〜4ヶ月程度の実習を行うのだが、海外での実習も認められていた。この貴重な機会を逃すのは惜しいと、私はフランスでの海外実習を決意した。幸い、私はアルバイト代を必死に貯めて海外で3か月生活できるほどのお金を有していたのもあって、決断にそう時間はかからなかった。

実習の日程を決め、早々に航空券を購入した。使用したのは、ETIHAD航空という、アラブ首長国連邦の首都アブダビに本拠を置く国営の航空会社である。ETIHAD航空は、旅行の際に何度か使用したことがあり、エコノミークラスでさえも快適な空間を提供していた。例に挙げると、電源が100Vで用意されていること、USBポートおよびモニタ、リモコン、ラジオが各シートに付いていること、映画が豊富で新作映画が日本語でラインナップされていること、食事やCAの対応が素晴らしいこと、出てくるスナックのレベルが高いこと、機内が心地よい香水の匂いで包まれていることなどである。1度搭乗してからリピートしたいと思った路線であった。

今回はエアトリで航空券を予約した。アブダビAUH経由、パリCDG着の往復便で108,420円。エールフランスでの直行便より4万円ほど安い。

フライト当日、成田空港から遠く離れた田舎町から電車と高速バスを駆使してバスタ新宿まで向かう。家を出てから5時間、ようやく新宿に到着する。そこから贅沢に成田エクスプレスを使い、約3時間前に成田空港に到着する。ちょうど、チェックイン待ちの長蛇の列があったので、早めにチェックインを済ませたい気持ちで最後尾に並んだ。30分ほどで自分の番まで回り、チェックイン後は滞在先のお土産でも見ようと思っていた矢先、いつもとは異なる言葉を投げかけられた。

「貴方様あてにメッセージがあります、DCに確認しますので少々お待ち下さい」


完全に予約ミスか、なにか問題が起きたと思った。すると、奥から少し偉そうな男性が歩いてきた。

「〇〇様、申し訳ありません。当便がオーバーブッキングしておりまして、もしよろしければ、羽田からの直行便に変えていただけないでしょうか?エールフランスの直行便で、明日の朝4時に到着予定の便なのですが…」

私は少し渋った。なぜなら、朝4時にCDGに到着しても、始発までの数時間空港で待つ必要があったからである。ただ、エールフランスを使用したこともないので、協力しようと思い、チェックインの終了時間の17:00まで待つことにした。離陸予定時間は17:55だった。

ロビーで自由時間が数時間あるということで、航空会社から1000円分の食事券をもらった。成田空港内ならほとんどの店で使えるらしい。こんなものを貰うのもはじめてのことだった。

お土産と変圧器を買って、最後の日本食を堪能した。出汁が効いた親子丼にした。ゆっくり、ゆっくり食べても時間が余る。いつもはチェックイン後にすぐに出国してしまうから、ロビーでこんなにゆっくりしたのは初めてかもしれない。

そんなこんなで、時間になり、カウンターから告げられたのは、なんと


「そのままの航空券でご搭乗できます。お待ちいただいてありがとうございました」

まあ、これが普通。エールフランスの話も何もなかった。表情は笑顔で内心は残念がりながら、急ぎ目に荷物検査の列に向かい、飲み物を捨て……としていたとき、駆け足で男性職員が近づいてきた。

「〇〇様。いい席が用意できるかもしれません!」

いい席とは?駆け足でカウンターに戻ると、1人遅れてチェックインに来たような女性が立っていた。その人が来たからなのか、自分のエコノミークラスの席がなくなり、エールフランスの直行便ではなく、同じ便のビジネスクラスに昇格することとなった。(NRT-AUH間のみ)

「お待ちいただきありがとうございました。良い席をご用意しました。お気をつけて。」

と満面の笑みで言ってくださった。ありがとうございます。っていう言葉が自然と出た。

振り返ってニヤケ。超ニヤケ。口角が下がらない。こんなことあっていいのか?初めてのビジネスクラスをこんなにも若くして乗れるとは思わなかった。

機体に入っていつもは右に曲がるところを左に曲がった。そこにはビジネスクラスが。まるでホテル。シートの隣に付いている縦長のお洒落なランプが高級感を醸し出す。いつもとは違うことすぎて、シート番号がどこに書いてあるかも分からない。それぐらい未知の領域。周りのお偉い様に気を遣いながら自分の席に着くと、いいサイズの個室が。足を伸ばせるなんて…。横になって寝れるなんて…。感無量だった。

ここからは、実際に体験したビジネスクラスの特典を箇条書きで紹介。

・20型くらいのモニタ、もちろんタッチパネル
・毛布が大きい、布団として機能
・シートベルトがジェットコースターかよって思うくらいしっかりしている
・トイレにハンドソープが数種類置いてあった
・食事メニューがあり、エコノミーで出されるような食事は食べ放題
・ディナーはフルコースで前菜、メイン、デザートを1種類ずつ選ぶことができた
・シャンパン、ワイン、日本酒、ビールなどの酒類などが飲み放題
・グラスがちゃんとしたガラス製で、スナックはカシューナッツやアーモンドなどのミックスナッツが付いてきた
・マーマレードとクッキーは金ピカなお皿に乗って提供
・ディナーはいつ頼んでもOK、前菜のカリフラワーのスープは余韻が残るほど旨い、付け合わせのブレッドもほんのり温かく、バターをたっぷりつけて食べると絶品であった(前菜のサーモンは品切れ)
・メインの牛フィレはそこそこ、中はウェルダン
・デザートはレモンのシブーストとゆずのコンポート


あとで調べてみたら、同じ便のビジネスクラスの値段は570,000円。東京-アブダビ間のビジネス料金で、パリへの往復が5回分乗れる(笑)。

ビジネスクラス、おそろしく快適で、また乗りたいと思わせるようなサービスだらけだった。

また、いつの日かビジネスクラスに巡り会えますように。


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少しでも気になっていただけたら幸いです!今後もよろしくお願いします。