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褒め言葉の変化とモラトリアムの終焉

20歳を過ぎたとき、初めて「歳をとったなあ」と思った。
そう思ったきっかけは、当時住んでいた賃貸マンションに何かの調査で来た作業員の方に
「20歳を過ぎてるんですか。お若くみえますね」
と言われたことだ。

その瞬間はお世辞だろうと適当に受け流したのだが、ふと
「あれ?、見た目が実年齢より若いと褒められたのは初めてだ。これまでは、大人びているというように見た目が実年齢を上回っていると誉められていたのに」
と気がついたのだ。
そして、これは今まで年上の人たちが、「お若く見える」だの「とても⚪︎歳には見えない」だのと言い合っていた世界と同じだと思った。

そのとき、ついに自分も、「大人びている」ことではなく、「若く見える」ことを誉められる年齢(フェーズ)になったのだなとしみじみと思ったのだ。

正直なところ、だからどうということもないし、日常は何も変わらずに過ぎていく。けれど、数年経った今でも、そう気がついたときの、モラトリアムが終わりかけている寂しさと、大人に近づいているという少しの高揚感が混ざった感情を忘れられないのだ。


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