[終わりを知る眼]
路面電車の線路脇の溝を
やけに細い雨筋が叩くよ
春先の冷や水が僕のあんよを
濡らして寄り添ってくれるみたいよ
君は本当のとこ どう思うの
まぁ丁度いいよ 山が隠れてるから
四季を問わず人の世は無情
やけに細い首筋をなぞるよ
雨傘を持って駆け寄るよりも
隣でずぶ濡れが 良かったのかも
君は本当のとこ どう思うの
五系統の床板は 涙で朽ちてしまいそう
春の雨 見慣れないMonday
郷を哀しむより いっそのこと君と
帰れたらね その先をなんで
窓の靄は霧か 吐息だったかな
ばっちいね
五系統は白壁だらけの間を
彼だけが華 それも剥いたら灰色
うんと前はそんなの 気づかなかったよ
フランチャイズが彩る わがまち
君も本当のとこ 鈍い色なの
僕の知らないとこで 塗りつぶしたの
君は本当のとこ どう思うの
本町で人は入れ替わり 香りは立て篭もる
春の夢 逸れゆくLady
郷に絆されるように いっそのこと君も
幻だったなら その先でいつも
離した手より 遠く鳴る汽笛のように
確かだよね
この手を何度伸ばせど
触れても掴めぬもの
全ては昔のことと 上げた顔を
君は初めて おもむろに撫で
息を詰まらせて声を荒げた
終わりを真に知る眼がいた
春の雨 止んでなお燦然
水面を疎むより 常世の軒並みを
数え上げて この街をうんと
おとぎ話のように 大団円と呼べば
嗤われるかな
嗤ってくれるかな
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