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[5月のハニー]

すみずみまで敷き詰めたら
幾何学調のタングラム
1ピースだけ君と僕で
満たすのが夢だった

まじり気のない
パステルカラーのような卯月色
たられば許してね
今日も拾い集めてる

風に変わる
風に変われば
離れてゆくけど
思い出になる
思い出が香れば
泣いてしまうよ
いついつだって

ねぇハニー
こっちを見て笑ってよハニー
あっちゅーまに散った菜の花に
よく似た重たく濡れた恋だったね
ハニー
どうしょうもない辛さに
寄り添うような雨上がりの曇り空

たぶん…でもない
抱きとめた体の温さはもう
歴史からも消えて
君の型だけが残されて

たどりつけない
夢から覚めて歩くはぐれ道
「こっちが早いよ」って
嘘だよ僕も気づいてた

重ねてゆく
重ねてゆけば
きっとみえなくなるから
沈んでゆく
沈んでゆく針のような
厚みを増す腫瘍
てかげんしてね

マンデリン
染みついたほろ苦さに
これ以上なんてあると知ってて
それでも僕だけがまだ迷ってるよ
ハニー
どうしようもない辛さに
寄り添うそぶりがずっと辛いよね

どこにいったの?おしまいと
決めたのは2人のほうなのに
墓標は雨と風とにとけて
見当たらなくなってる
1ピースを壊したい
さよならも叶わない
キラキラのカラオケボックス
朝日にくたびれてゆく

ねぇハニー
こっちを見て笑ってるハニー
あっちゅーまに散った菜の花に
よく似た笑い顔を上手く忘れられずに
ハニー
タングラムに僕らはいない
知ってるよ
ただにじんでいたいだけ
君のことで
まだ傷ついていたいだけ

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