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[意地悪な季節]

意地悪な梅雨どきなんて
知りたくなかったよ

ほんの間違いで
摩天楼の陰コバンザメ
靴ん中ドロドロ
洗いざらい諸々

どんな道を通った日も
本音を打ち明けてよ
今日みたいな日のために
指切りしたのに

紫陽花が咲いたみたいだ
花びらが雫で濁ってる

だから
意地悪な梅雨どきなんて
知りたくなかったよ
始まりのドキドキだって
湿り気に成り果てる
思い出を嫌うままに
しまい込む欲深さが
明日の朝を雨をまた降らせる

「どうしょうもない人ね」って
赦してやるんだろ
お利口じゃない僕だって
待ってたんだよ

零れるような恋のあざとさでも
2回結びは解けない

だから
意地悪な梅雨どきなんて
知りたくなかったよ
まえがきとあとがきを繋いだら
針金が出て少し痛んだ

同じ高架下
最後のひとしずく輝いて
永遠を秘めて見えた
前線に追い出されてしまった

聞こえてる?
意地悪な梅雨どきなんて
知りたくなかったぜ
彼方海辺をなぞるように
終わりは曖昧に
春の陽気が続いたなら
牢獄だって構わない
君は違ったみたいだね
叶わない

どんな道を通るのだろう
本音にまだ傷ついている
指切りした言葉は
今日を過ぎてくためのもの
意地悪な梅雨どきなんて
知りたくなかったよ
熱気すら望んだ夏も
どんぐりを数えた秋も
距離を寒く思った冬も
伝えられず散りゆく春も
僕の切なさつゆ知らず
梅雨どきが洗い流す
日々の儚さつゆ知らず
梅雨どきが四季めくる

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