(2/9)初の九州横断に狂喜乱舞し、広島まで足を伸ばす。 2015年11月28日(土)-12月2日(水)
初の九州旅行の続きとなります。フライトトラブルを乗り越え、福岡空港へ到着したわれわれ一行は、宮崎の友・イグチさんに迎えられ、博多・中洲の夜へダイブしたのでした。イグチさんと初対面となったイクヤさん、初見ですぐに仲良くなり、愉快な旅の仲間は3人から4人になりました。
注)2015年11月の記事になります。
◾️宮崎の友・イグチさん
2時間のフライトののち、無事、福岡空港に到着しました。朝から呑んで食べて移動し続け、さすがに疲れました。そして、九州の地を踏めて、ほっとしました。
空港では、いつもにこやか九州男児、豪快なエピソードを山ほど持つ宮崎の友・イグチさんが待っていてくれました。17時ぐらいに合流する予定が、フライトトラブルで20時に着いてしまいましたので、何時間か空港で待ってもらっていただいたことになります。
遅れしまったことを詫びますと、笑って「いえいえ、無事到着してなによりです」と言って許してくれました。あとから聞いたところ、イグチさんはイグチさんで、待っている間にお気に入りの店で一杯呑られていたようです。
ちなみにイグチさんとツッチさんとは前にも会ったことがあり、三人で盛岡から仙台に自動車旅をしたこともありました。
一方で、イクヤさんはイグチさんと初対面でしたが、FBでだいぶ前から今回の旅行の件でやりとりしており、スムーズにお互い近づけたようでした。まったく、酒がつないだ不思議な縁は、ありがたいものです。
イグチさんは、まず、宿泊先となるカプセルホテル「ファーストキャビン」にチェックインのために連れて行ってくれました。
イグチさん曰く、学会か何かの関係か、はたまた昨今のインバウンドの関係かで、タイミング的にホテルがなかなか取れなかったといいます。
ここ何日か空きがないか注視していたものの、ちらほら空きは出るものの、宿泊費が高くてとても泊まれたものではないとのことでした。
◾️福岡老舗酒場「こが屋」
一軒目、イグチさんが連れて行ってくれたのは中洲の酒場「こが屋」です。イグチさんに言わせると、「まあ一般的な酒場ですわ。酒場らしい酒場」とのことで、今年で20年になる脂の乗った店のようでした。
瓶ビールで乾杯していると、お通しが次々と出されます。空腹のわれわれは、素早く手を伸ばし食欲を抑え込んでいきます。
一度食べてみたかった「おきゅうと」を注文してみます。佐渡から伝わったという説もあり、エゴノリという海藻を加工した郷土料理です。酢醤油でつるりといただくと、ところてんのような趣もあります。
「ほほーー、これはこれでなかなか旨いものですねぇ」と交互に箸を進めます。メインというよりは、箸休めに欲しくなる酒の肴、といったところでしょうか。
鶏酢もつは、茹でて脂を抜いた鶏皮や内臓を酢醤油で食します。こちらでは当たり前に食べる肴でしょうが、これが旨いのです。ぷりぷりとした鶏皮は、さっぱりとしていつつコクがあり、病みつきになりそうな一品でした。
「アッハハハ、なんだコレ、うめーぞ」といって酢醤油を最後の一滴まで飲み干したのは、イクヤさんでした。
福岡の郷土料理ごま鯖が出されます。新鮮な鯖を生姜や白胡麻、小口葱といった薬味に酒・醤油・味醂などの調味料で和えて食するもので、わたし個人的にはこれが一番旨かったです。鯖が抜群に新鮮だということもあろうが、薬味と調味料との組み合わせが絶妙でまったく飽きがきませんでした。
九州の地酒をずらりと並べてもらいました。わたしは、近年手に入りづらい「鍋島」をいただきます。ここ数年で一気に業界で注目されるようになったこの一本は、佐賀県鹿島市の「富久千代酒造」で三代目当主である飯盛直喜氏が醸す酒です。
ここは年間500石醸すか醸さないかといわれる小さな蔵でありますが、この天才杜氏とも言われる三代目当主が「鍋島」の名声を一気に上げたといわれます。
爽やかな甘さに潔いキレ。鼻先には果実の香りが漂い、その余韻は静かに静かに消えていきます。
さらに出された地鶏たたきは、引き締まった腿肉が旨味たっぷり。冷えた清酒とよく合います。
九州、特にも宮崎・鹿児島では鶏肉をよく食べるとイグチさんから聞いていましたが、さすがに鶏料理はレベルが高いのです。先ほどの鶏酢もつといい、酒場の肴は、鶏だけで十分勝負できるのではないでしょうか。
「宮崎、鹿児島の人間はカンピロバクターへの耐性がついてる、ともいわれてます(笑)」と、あとからイグチさんが語っていました。つまり、宮崎・鹿児島の人たちは、“生でもイケるカラダ”ということになりますか(笑)
「刺身でも喰いましょうか」とイグチさんは「黒鯛とヤズを」と女将さんに注文しましたが、黒鯛は切れていたようで、「ヤズ」だけ出してもらいました。
「ヤズ?」
「なんの魚すか、イグチさん」
「え、ヤズはヤズですねえ」
「???」
「なんかイナダみたいだなあ」
「うん、イナダだ」
あとから調べたら、やはりイナダと同じ魚のようでした。九州では出世魚ブリを「ワカナゴ → ヤズ → ハマチ → メジロ→ ブリ」と呼び名を変えるのに対し、われわれが住む東北では「ツベ → イナダ → アオ → ブリ」と呼びます。
さてさて、味わいはというとやはりイナダなのですが、九州特有の甘い醤油が新鮮で、まったく異なる味わいに感じられます。脂が乗り切らないイナダは旨いのですが、どこか物足りなさがあると感じることがありますが、イナダ、というかヤズに関していえば、甘い醤油でその点がカバーされ、とろりと甘くていい感じでした。
で、この瞬間からわれわれは九州の甘い醤油に魅せられたわけです(笑)
◾️日本酒バー「ネッスンドルマ」へ潜入
二軒目にイグチさんに連れられた「吟醸酒肆 ネッスンドルマ」は、西中洲にある完全禁煙の日本酒バーです。
ビールも焼酎もない、純粋な日本酒バーでした。
京都出身だという女性オーナー芝さんが2005年にオープンさせた店とのことで、芝さんはほかにシャンパーニュバーとオーセンティックバーを経営されているそうです。
まず、一人では入ることができないでしょう、とてもわかりづらいところにある店で、場所がわかったとしても、どうやって入れば良いのかについてもわかりづらく、そこは常連のイグチさんの導きで店内へ進みます。店内はカウンター席のみ、予約必須なのでしょうか。
お通しは、黄身醤油漬けとクリームチーズにドライフルーツを和えてクラッカーに乗せたものです。イグチさんが早速、「オススメの燗酒をお願いします」と注文です。もちろん、われわれも異論はありません。
一杯目に出された「冨玲 生もと仕込にごり酒 しろ 26BY 山田錦80%」は鳥取の酒であり、非常にミルキーなのですが、キレが抜群。
続く「玉櫻 生もと純米 改良雄町65(酒造年度不明)」は島根の酒で、生もとらしい落ち着きとしっかりとした熟成感。バランスの一本です。
さらにさらに「杜の蔵 七 七 七」は福岡の酒。7号酵母・7割磨き・7年熟成のやや濃いめの旨口かつ深みのある一本でした。
最後、鳥取の「日置桜 生もと純米 玉栄 25BY」ときまして、こちらも生もとらしい酸がキレを生み、かつ冷め際に複雑な表情を見せてくれます。
きもと・にごり・熟成酒などをぴたりの温度帯で供され、すいすいと盃が空いていきます。
セラーが完備された店内、そこに並ぶ酒を眺めながらカウンターの向こうに立つにこやかな女性店員に「(日本酒は)なにがお好きですか?」と尋ねるわれわれ。
その女性は、「割烹着かおる」さんといい、全国的に人気の方だとイグチさんから教えてもらいます。
「はい、磯自慢とか高いお酒ですねっ」と明るく、かつ艶やかに返してくる割烹着かおるさん。すっかり割烹着かおるさんの魅力に取り込まれる東北人3人(笑)
その後、九州からの帰り際広島まで行のです、と着物姿が見事に映える芝さんに話しをすると、「広島から玉櫻の蔵までは比較的近いですよ」などと教えてもらい、「え! じゃ、せっかくだから蔵にお邪魔しちゃいましょうか!」などという思いつきを口にし、「わかりました。蔵に連絡してみます」と芝さんが言ってくださり、広島での急展開か、といったことに話が進んだのでした。
(その後、芝さんから蔵に連絡をとってもらいましたが、今まさに仕込みの真っ最中で1月まで対応できないという返事をいただきました。)
◾️オーセンティックバー「バー オスカー」から屋台の豚骨ラーメンを
続いて、オーセティックバー好きのわたしのためにイグチさんが連れきてくれたのは中央区大名にある「バー オスカー」。イクヤさんは、「ハードシェイクで有名なバーだな」と認識していたそうです。
この日のオススメだという、福岡の苺「あまおう」を使ったシャンパーニュカクテルをいただきました。岩手から福岡まで移動し続け、少々疲労した体に苺の甘さが嬉しかったです。隣では、イクヤさんがそのハードシェイクでたっぷりフレークが浮いたカクテルをこれまた旨そうに呑んでいました。
福岡の紳士淑女の社交場になっているのであろう「バー オスカー」、さすがの風格でした。ぜひとも、再訪したいオーセンティックバーです。
最後の最後に、中洲の屋台で、瓶ビールを呑み、餃子を食べ、豚骨ラーメンをすすり込みました。そして、深夜2時をまわり、この日の宿「ファーストキャビン」の寝床に到着し、やっと眠りにつきました。
前の晩呑み過ぎていたイクヤさんは、屋台で半分眠っていました。起こしてみると寝ぼけていて、「携帯がない、屋台に忘れた、やばいやばい」と騒いでいましたが、結局ちゃんと自分で持っていた、というちょっとしたハプニングもありましたが(笑)
(3/9へつづきます。)
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