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【函館】(2/3)暴風吹き荒れる函館で、美唄焼き鳥と朝市名物小皿料理を食べた 2019年12月14日(土)-15日(日)

「美唄焼き鳥」を食べに函館へやってきたわたしとムスメは、函館駅につくや「函館朝市」に向かい、どんぶり横丁で魚介を堪能します。
夜は夜で、お目当ての「美唄焼き鳥」を食べに一軒の居酒屋「炭火串焼きやまと」を目指しました。
注)2019年12月の記事になります。


⚪︎その「美唄焼き鳥」を堪能

さて、焼き上がった「美唄焼き鳥」ですが、下に貼ったリンク「ヒトサラ」の記事を読むと、こちらでは、焼き鳥には「老鶏(ろうけい)」のみを使うというではないですか。一般的にスーパーなどで購入できる鶏肉は若鶏ですから、老鶏とは珍しいですね。
なお、老鶏というのは、排卵期間を終えた雌鳥のことで、若鶏と違って引き締まった食感や深い旨味があると言われています。

肉肉感が最高です

そしてこちらでは、「美唄焼き鳥」発祥の地である岩見沢市からわざわざ老鶏を取り寄せて、そのモツをも余すことなく串焼きとして提供しているとのことでした。

「サッポロクラシック」を呑み干し、地酒といきます。北海道栗山町の小林酒造「北の錦 まる田 特別純米 無濾過生」を選んでみます。販売本数限定の希少な酒のようでした。

地酒、そして美唄焼き鳥

濃醇ですが口当たりは柔らかく、クセがなくキレがあり食中酒としてとても良い味わいです。

レバー、砂肝、内卵、ハツ、皮、そして玉葱と一緒に炭火で焼いたモツ串がとても美味しく、これは想像どおりの味であって、そして想像以上の味でした。クセになりそうです。

次々とムスメと5本ずつ食べましたが、「ぜんぜんまだイケるね」「もう10本お代わりできるわ」と二人ともまだまだ食べられそうでした。

⚪︎素材の良さが光る酒肴がまた美味い

箸休め
炭火で炙ったエイヒレ

いったん落ち着こうと、新漬けとエイヒレ炙りを箸休めに注文しましたが、箸休めのつもりが、白菜の旨味がしっかり詰まった新漬けと、分厚いけれどしっとり柔らかいエイヒレが実に旨く、箸が止まりませんでした。

次の地酒は、北海道旭川市の「蛍雪」をいただきます。こちらも強さはありますが、重さは感じさせず、米の旨味を備え、そしてキレる酒でした。

北海道の「やきとり」

結局、お目当てとしていた「美唄焼き鳥」は、追加でお代わりはせず、北海道のいわゆる「やきとり」を食べてみることに。
注文した「やきとり」は、事前学習どおり豚肉であり、三枚肉を玉葱で挟んで塩胡椒で炭火焼きされていました。

こっちはこっちで脂と玉葱が甘くてとても良いもので、北海道の串焼き文化の深さを、少しずつわかってきます。

ぱりぱりの皮目

また鶏に戻って注文した手羽先焼きは、皮がぱりりと焼き上がっていて香ばしく、そして肉は噛み締めるほどに旨みが滲み出て、負けじと美味しい一本です。

岩手・盛岡では焼き鳥(やきとり)というと、もちろん漢字かひらがなかで、鶏か豚かと違いはありますが、せいぜい肉の大小やタレか塩か、変わった部位があるかどうか、が多少差別化しているぐらいで、あとはあまり代わり映えしないスタンダードなスタイルですが、北海道の焼き鳥(やきとり)はバリエーションが豊富で興味深いです。

ともあれ、お目当ての「美唄焼き鳥」や地酒を堪能し、満腹になったところで店を後にしたのでした。

⚪︎函館の名物バー「舶来居酒屋 杉の子」へ

19時開店「舶来居酒屋 杉の子」

函館で人気のバー「舶来居酒屋 杉の子」は、「やまと」から歩いて数分のところ、同じ松風町にありました。

その松風町の「大門」と呼ばれるあたりは、かつて函館一番の歓楽街だったといいます。2月に函館を訪れた際に、乗ったタクシーの饒舌な運転手から「最近では大門より五稜郭だね」と聞かされていましたが、大門地区も駅前の再開発で一時の衰退から立ち直ったとも聞きました。

事実、駅周辺には大型商業施設が出来ていたり、函館駅前横丁なる複合商業施設が、つい最近12月にオープンしたりと新しい開発があることが見受けられました。

大門地区には「函館ひかりの屋台 大門横丁」なる東北以北最大規模の屋台村があり、「杉の子」が開店する19時まで、ぶらぶらと屋台を眺めてみます。暴風のせいでしょうか、屋台村に人はちらほらしかいませんでした。

どこか店に入ってみようかとも思ったのですが、そろそろ「舶来居酒屋 杉の子」の開店時間となったので、大門横丁を後にします。

連絡船シリーズ「摩周丸」
燻製盛り合わせ

老舗バー「舶来居酒屋 杉の子」は14年ぶりでした。ジントニックを呑みながら店主の青井元子さんと話をしていると、「あら、じゃあ移転する前の店にいらしたわけですね」と言われました。

前の店が載っているという雑誌を見せてもらうと、そうそう、確かにここに載っている店に覚えがありました。14年ぶりとはいえ、まったく今の店に見覚えがないと感じていましたので、納得でした。

⚪︎山形酒田市で生まれた傑作「雪国」をいただく

酒田「ケルン」井山バーテンダーのオリジナルカクテル「雪国」

オリジナルカクテル、連絡船シリーズ「摩周丸」「八甲田」をいただき、そして最後に「雪国」をオーダー。そういえば、外は暴風の中で雪も降っていましたので、「雪国」は、こんな夜にふさわしい一杯でした。

「実はわたし、家の事情で酒田に住んでいたことがあるんですよ」とシェイカーにカクテルを注ぎながら青井さんは話し始めました。

「でも、その当時はこのカクテルのことを知らなくって、、、」と残念そうに笑ってみせました。知っていれば、きっと青井さんも酒田市のバー「ケルン」へ井山さんが作る「雪国」を呑みに行っていたのでしょう。

広い店内はカウンター席のほかにテーブル席、ボックス席、2階席があり、青井さんの他に、若い男性店員もシェイカーを振っています。

青井さんがその様子を見守りながら、「うん、オッケー」と声をかけると男性店員はシェイクを止めました。学生アルバイトでしょうかか、少しほっとした表情を浮かべて、カクテルグラスにカクテルを注ぎ入れました。

いい店です。実に、すごくいい店です。観光客も当然いるのでしょうが、常連客の質がすごくいいです。店と客が一体となっているのがわかります。

青井さんも楽しそうに常連客と会話しながら、慣れた手つきでシェイクしていきます。聞くと、明日61年目の節目だとのことでした。

「明日は店が休みなので、今日、お客さんがお祝いに来てくださってるんですよ」と言って、高価なバーボンをショットグラスに一杯、青井さんが注いでくださりました。

「今日だけの特別サービスです」と青井さんが言うと、同じくカウンター席に陣取っていた常連客が「いい日に来ましたねー」とわたしに向かってにやりと笑ってみせました。

「舶来居酒屋 杉の子」は、あったかい店でした。飾らないけれど、人々に愛され、大門で60年以上歴史を紡いできた函館の名店中の名店といえましょう。わたしも最高の気分で「舶来居酒屋 杉の子」を楽しみ、そして次々と訪れる客に席を譲る形で店を出ました。

もう少し呑みたい気分でした。風も雪も、酔いで気にならなくなっていました。ムスメに電話してみました。まだ起きてるか、と。
まだ起きてる、と返事があったので、安心してもう一軒酒場へ足を向けたのでした。

(3/3へつづきます。)

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