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乳房再建の手術当日から翌朝まで


■手術の日の朝


私の手術は、午前8時15分から開始の予定です。当日の朝は、もちろん朝食なし。午前6時までに麻酔科の先生から指示された経口補水液を全て飲み終わり、絶飲食の状態で手術を待ちです。

その間、歯を磨いたり、顔洗ったりします。手術当日のスキンケアは禁止されていたので、洗顔後の顔はちょっと乾燥気味です。とはいえ、顔にクリーム類を塗ってしまうと、手術の際に貼るテープなどが取れてしまうそうなので、我慢です。

前日に担当の看護師さんが準備してくださった、術衣に着替え、着圧ソックスを履きます。と、ここからやる事がなくなってしまい、とりあえず読書。

午前7時30頃、家族が手術前に面会に来てくれたので、談話室で少しお話しをしました。そして、お手洗いを済ませ、再び病室へ戻ると、担当医と看護師さんが迎えに来てくれました。

先生と看護師に連れられ、歩いて手術室の前に向かいます。手術室の前で、家族とはお別れです。

■手術室に到着


手術室に入ると、手術台に上がり、本人確認などのチェックがありました。そして、術台に横になると、担当医をはじめスタッフ間の確認が行われ、手術のための準備が手際よく行われていきます。しばらくすると、酸素マスクが私の口元に強く押し付けられ、3呼吸から4呼吸したのち、深い眠りに入ったようです。

■手術終了


約12時間後。長時間の手術だったため、身体に圧迫されてできた跡がないかの確認が手術台らしき上で行われました。麻酔が薄っすらと効いている状態とはいえ、右に左に体勢を動かさなければならず、痛みを覚えた記憶があります。確認が済むと、ベッドへと私を移してくれました。

術前の検査で、私のお腹の血管はとても複雑で、お腹の脂肪がないことよりも課題であるといわれていました。その結果、お腹の筋肉を少し切ることになったということでした。そして、胸の血管にお腹の血管を繋ぐ時にも、通常よりも時間を要したと担当医から家族に伝えられたようです。

とはいうものの、手術は無事に終わりました。

■HCUでの一晩


手術が終わり、HCU(High Care Unit)と呼ばれる一般病棟よりも看護師さんの数が多い高度治療室へ移動しました。

私の左胸の創口は、繋いだ血管の血流を確認するために、お腹の皮膚を少しだけ盛り上げた状態で縫われています。

この皮膚から血流を2時間置きに確認します。

HCUに移ってすぐに、血流チェックが先生や看護師さんによって行われました。その後は、2時間置きに看護師さんがチェックしてくれました。

全身麻酔による吐き気やめまいはありませんでしたが、お腹の痛みはありました。

2時間置きの血流チェック、そして、チェックとチェックの間で痛み止めが切れて、お腹が痛くなるという感じでした。ただ、痛み止めの点滴や薬を飲めば痛みは治まっていました。

不思議なことに、左胸は全くといっていいほど、痛くはありませんでした。ただただ、お腹が痛いだけでした。

そして、何より辛かったのは喉の渇きです。

私は、全身麻酔による手術を乳房全摘の手術も含めて人生で3回経験しています。しかし、一度も喉の渇きを感じたことはありませんでした。

ところが、今回は、喉がカラカラ。水分の枯渇感が凄かったです。

夜22時まで、水分を取れなかったので、看護師さんが大きなスポンジに水を含ませたもので、口の中を拭ってくれました。水は飲めなくても、口を拭ってもらっただけで枯渇感が激減。少し楽になりました。

そして、いよいよ、水分摂取が可能の時間。

看護師さんが、私の首に首輪のようなものをつけ、シリンジでお水を段階的に口の中に入れ、飲み込み具合を確認しました。3段階のチェックを終え、やっとお水を飲ませてもらえることになりました。

この時のお水が、なんと美味しかったことでしょう。

人間には、お水が必要不可欠だと実感したとともに、自分の口から喉を通して飲むことの大切を改めて感じました。

■手術翌日の朝


こんな状態で朝を迎えました。

乳房全摘の手術の翌朝は、朝ごはんをたべることができましたが、今回は、お腹の痛みで断念。

しばらくすると、病棟へ移動するために、キレイな病衣に着替えることに。痛み止めを飲んで挑んだのですが、悶絶するほどの痛み。一気に体力を消耗しました。

しばし休憩をし、担当医の先生とHCUの看護師さんがベットごと一般病棟へと運んでくれました。

12時間の手術をし、夜も22時頃まで私の様子を見に来てくれた担当医の先生。当番でもないのに、朝早くから私の様子を見つつ、病棟まで私をは運んでくれました。

看護師さんとの会話で、先生は、自分が乳房再建の手術をした患者さんの様子は必ず手術の翌日も見に来るようにしていると。とてもありがたいことです。

■医師ってタフ!


そして、何よりも、長時間に及ぶ手術を終えた後だというのに、その精神状態は、まったく手術前と変わらないことに驚きました。複雑で細かい作業を何時間も集中して行い、術後も夜遅くまで私の状態を気にかけ、早朝まできてくださった。普通の人なら疲労困憊です。少なくとも、私だったら、数日間は使い物になりません。

私の担当医が医師として当たり前の行動をしただけなのか否かは、わかりません。どんな状況でも、安定した精神力があるから、長時間の手術や複雑な手術をこなせるのだろうと思いました。少なくとも、私は自分の担当医はすごい人なんだと感じました。

そんな先生が自分の街にいてくれて、本当に良かったです。

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