ふらりメキシコ

よく寝た、実によく寝た。
10:30に目が冷めて慌ててシャワーを浴びた。11:00にホテルを出て、やっぱりメキシコに行こうと思った。サン・イシドロまで一時間車を走らせ、ボーダーパーキング、というネーミングがまんまの駐車場に車を入れる。平日は9ドルなのに、週末は18ドルとなかなか高い料金設定。12時間でその料金なので、24時間だと二倍である。着替えやら必要な道具をバックパックに入れて、身軽に国境へと向かった。

メキシコに入国する前に、「パスポートさえあればすぐ帰ってこれるよね？」と警察官に聞いてしまった。帰ってこられなかったら洒落にならない・・・「Yes！」と言われたのでいざメキシコ。さくっと国境を超えると、いきなり路上でタコスが売られている、完全なメキシコだった。一番最初にここティファナに来たのはもう23年前とかではなかろうか。ティファナ川にかかる橋の上の物乞いや、本格的タコスのあまりの不味さ（今は好き）に衝撃を受けて、そそくさとアメリカに逃げ帰ってしまったものだ。

ストリートを歩き土産物屋を冷やかし市場を覗き、タコス屋に入った。たった1ドルしかしないタコスは今回は絶品だった。観光ストリートにはオサレなクラフトビール屋なんかもできていて、日本の1/3くらいの価格でパイントのビールが飲めた。

アメリカが近くて観光客が比較的多いと言っても、それはこの街の人口にしたらごく僅かなもので、だれも観光客なんて気にしていない。ここにはここの生活があった。

アメリカに帰ろうと思ったけれど、夕方になったし泊まっていくかと適当な宿を探した。最初は50ドルくらいの比較的高級な宿を見たのだが、その後に入った宿がたったの10ドルで、ここはひどかったけれど、安い宿でいいかと気が変わり、20ドル程度の安宿で落ち着いた。どうしてこういうバックパッカー気質が抜けないんだろうか。久しぶりにひどい宿だなーと思ってたのに、なぜか猛烈な眠気に襲われ、一眠りして起きたら21:00だった。

賑やかそうなレボルシオン通りへと向かいたいのだが、安宿のエリアはあまり安全そうではない。暗い通りはちょっぴり怖い、なんせ去年の殺人事件件数2万5千人である。ひええ・・・行きは緊張しながらさささっと早足で歩いた。

さすがに週末だけあって、ディスコテックだらけでたいそう賑わっていた。夕方に入ったクラフトビール屋さんをお代わりしてると、深夜ともなるのに子どもたちがいろいろなものをバーの中に売りに来た。全部買って早く返してあげたいけど、するとさらに売れることを期待されて翌日のノルマが増えてしまうんだろうか。ここで何かしても、なにも明日には繋がらないんだろうな、酔いながらふとそんなことを考えた。

屋台のタコスを食べて帰った。
翌朝は早く起きて、ゴミだけが散乱して昨日の宴の賑やかさなんて微塵も見られないレボルシオン通りを眺めてアメリカの国境へと向かった。

こっちがUSAという看板が続く。アメリカ人も外国人もするっとこうやって簡単にメキシコにやってくる。でもここに住む人達はするっとアメリカにはいけない。しかも変な高い壁が作られようとしている。理不尽すぎるよなあ、ここに住んでいたらどんな気持ちになるんだろうか。