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だから市場はやめられない。ローカル市場の魅力 <海外自炊旅 1>

観光名所よりも、まず市場

旅先でどこに行くかときかれたら、わたしは真っ先に市場と答える。
近代的なスーパーマーケットでもいいけれど、できれば生鮮食品がたくさん並んでいて、売り手と買い手が個人でやりとりしているようなところがいい。観光名所ではわからない、地元の人のふつうの生活が見えるからだ。

カンボジアの市場は、地面の上に広がる。客も腰をかがめて品を選ぶ。

何が売っているのか。
来ているのはどんな人か。
品物はどのように選んでいるか。
店の人と客はどんなやりとりをしているか。
値段はどうか。
常設の市場なのか、曜日市なのか。
市場の規模や店の数、出店するための免許の有無などがわかれば、その国や街の様子も何となくわかってくる。

早朝のタイの市場には、必ず花を売る店がある。
仏像や祠に捧げる、お供え用の花や花輪が多い。

「買い物に参加」する市場体験

旅のあいだも自炊をするようになってからは、品物を見る目が一層真剣になった。観光客だったときは、市場で珍しいもの、面白い風景に出会ってカメラを向けるくらいだったが、今は違う。自分や家族が食べるつもりで買うので、値段はやはり気になるし、鮮度や質はもっと気になる。

インドネシアの市場には、ハーブやスパイスが多い。
売っているものから地元の食生活が見えてくる。

農業国なら国産の農産物が多いはずだが、より安いものなら外国から輸入することもある。時間をかけて運ばれてくるのだから、当然値段はそれなりのコストを反映しているはずで、地元の農産品とは何か違う特徴があるかもしれない。そうなると、自然と地理や気候、農産物の貿易統計にも関心が向くので、調べれば旅先の情報も増えてくる。

そうでなくても、市場で出会う人は、飲食店を含めて自分で料理をする人がほとんどだから、やりとりから教えてもらうことも多い。よい品はどんな風に選ぶのか。この食材はどんな料理にして食べるのか。相場はいくらなのか。

市場を歩くことで、ガイドブックや本で読んだだけの情報が、中身のある実体となって立ち上がってくる。

ひとの暮らしに近いから、市場の魅力は尽きない。


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