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なぜ今"食品ロス削減"が必要なのか?これからの消費者は、環境に配慮した店から商品を選ぶ。

昨今「食品ロス削減に積極的に取り組むべき」と叫ばれるようになり、各企業における食品ロス削減の取り組みが活発化してきました。

とはいえ、

「食品ロス削減はまだ自社内で優先度も低いし、コストや時間をかけて取り組みたくない...」
「食品ロス削減って何からどう取り組めば良いの?」

と、悩まれている方もまだまだ多いと思います。

TABETEでは大手パン法人様を中心に、累計600社以上の食品ロス削減戦略の策定を実施し、飲食業界における食品ロス削減の効果やトレンドについて把握しております。
そこで今回の記事では、食品ロス削減の効果や現在のトレンドを実際に成果を上げている企業事例と共に紹介していきます。

具体的には、

・飲食業界における食品ロス削減とは
・食品ロス削減を実施するメリット
・食品ロス削減に取り組む際のポイント

などをテーマに、重要なポイントを重点的に解説していきます。

1. 飲食業界における食品ロス削減とは

「食品ロス」は"まだ安全に美味しく食べられる"ものであるため、食べ残しや消費期限が切れてしまったものは含まれません。
飲食業界における食品ロスは、主に以下の段階で発生しています。
「①調理前段階、②調理段階、③調理・陳列後」

外食業態では、①②の調理前段階、または調理段階での食品ロスが多く見られます。一方、中食業態では③の調理・陳列後の食品ロスが多く発生している状況です。

いま「食品ロス削減」が注目される理由

ではなぜいま、「食品ロス削減」が注目されているのでしょうか。 
それは、世界各国の環境問題の深刻化に伴い、食品ロスが抱える課題が大きいことがその要因の一つとなっています。

食品ロスが発生することで、その食品の廃棄や焼却にかかるエネルギーはもちろん、生産段階で消費した資源や水も無駄になってしまいます。

また、食品を処理する際に発生する温室効果ガスは自然災害の一因となり、農業に打撃を与える悪循環を招きます。

これからの消費者は"環境に配慮した店"の商品を選ぶ

また、食品ロス削減は環境問題として深刻な要因となっているだけではなく、今後の経済活動にも大きな影響を与えます。

フランスの市場調査会社イプソスの調査では、ここ数年のうちに気候変動を考慮して消費者活動を変化させた消費者は世界で69%にのぼると公開しました。

日本ではまだ他国ほど消費者行動に大きな影響が表れてはいませんが、ミレニアル世代以降は確実にサプライチェーン全体の情報を把握した消費をしていく傾向になると考えられます。

2025年には、国内の生産年齢人口の半分以上がミレニアル世代とそれより若い人たち、サステナビリティ・ネイティブ世代となります。

今後の消費者の需要に備え、そして環境問題に取り組む先進企業として、一部の企業から積極的に食品ロス削減に取り組んでいる状況です。

このように、社会環境の変化に伴い消費者の意識は確実に変化してきており、企業側にも対応が迫られています。

2.食品ロス削減を行うメリット

ここまで食品ロス削減が注目されている理由と、食品ロスに対する消費者意識の変化についてお伝えしました。

では、実際に外食・中食事業者が食品ロス削減に取り組んだ場合どのような具体的メリットがあるのか、について主な3点をお伝えいたします。

①廃棄コストを売上・利益に転換できる
これまで廃棄していた食材の廃棄コストが0になるだけではなく、これまでそのまま廃棄になっていた食材を活用または二次流通させることによって新たな売上・利益に転換することができます。

②消費者に食品ロス削減に取り組んでいる企業であると発信できる
テレビ等のマスメディアでも近年多数の食品ロス削減の取り組みや発信により、消費者は各社や各店舗の食品ロス削減の取り組みにこれまで以上に注目する傾向があります。各店舗での取り組みを発信することによって、イメージアップ、ブランディングの向上にも繋がります。

③離職率の低下・従業員満足度の向上につながる
食品ロス削減の取り組みは、コスト削減や利益率改善につながるだけではなく、従業員満足度の向上にもつながるケースが多々あります。飲食店で勤務されている方の中には「SDGsネイティブ」世代と呼ばれる1990年後半頃〜2012年頃に生まれた世代も多くいらっしゃいます。

SDGsネイティブ世代は環境意識が高い傾向にあり、勤務先などが食品ロス削減に取り組んでいるかどうかも基準の一つとして捉えている方もいるほどです。

世代に限らず、自分の手で食品を捨てる行為は誰にとっても心地良い行為ではなく、「どうにかしたいけどどうにもならない」という想いを抱えながら働かれている方もいらっしゃいます。食品ロス削減に取り組むことで、こういった課題の解決につながるだけではなく、採用につながる要素の一つとしてPRできる武器にもなります。

3. 食品ロス削減の手法

では食品ロス削減にはどのような手法があるのか。実際の事例を交えながらお伝えしていきます。

①フードバンクへの寄付

賞味期限が比較的長い商品を、NPO法人を通して子ども食堂等に寄付をする取り組みです。数日内に消費期限が切れてしまうような惣菜、パン等のフードバンクへの寄付は難しいですが、比較的賞味期限の長い加工食品、災害用備蓄食品等であれば、相性が良い方法です。

②従業員販売

商業施設内にテナントを持っている、または工場など生産現場をもっている法人の場合、従業員の方へ割引販売を実施されているところもあります。
フードバンクに寄付できるほど賞味期限の長い商品ではなく、かつ一般のお客様向けに割引販売を実施したくない場合、この方法を実施されているケースが多いです。

一方で、各店舗からの商品回収や、従業員販売用に従業員の方を販売対応として配置する必要が出てきてしまうため、追加の物流コストや人件費がかかてしまうというデメリットもあります。

③店頭値引き

店頭値引きは、中食業態(テイクアウト前提の業態)など陳列が必要になる業態の場合、実施している法人が多くあります。店頭値引きは特別な追加オペレーションもほぼ必要なく、実施に向けたハードルは高くない一方で、
・既存のお客様が値引き待ちをしてしまい、値引き時間に多く来店するようになってしまった
・ブランディング毀損の恐れがある
などの理由で実施していない、実施していたが廃止にした、というケースも多く見られます。

④SNSでの発信

コロナ禍においては、飲食店向けに卸していた卸事業者や、一次生産者などで、突如として大量の在庫を抱えてしまうケースが多発しました。既にSNSでアカウントをもっていて運用をしている企業や店舗の場合、SNSから呼びかけることにより拡散され、結果的に全て販売することができ解決したケースも見られました。

すでにSNSでアカウントをもっていて運用できている方にとってはコスト0で多くの方にリーチできる方法ではありますが、SNSにアカウントをもっていない方にとっては突発的に実施するにはハードルが高い方法となっています。

⑤フードシェアリングサービスの活用

フードシェアリングサービスとは、食品ロスになりそうな食品と消費者(または事業者)をマッチングすることにより、食品ロス削減につなげるサービスのことを言います。日本では、現在以下のようなサービスが展開されています。

〇テイクアウト形
・TABETE
・No Food Loss
・tabekifu

〇EC形
・Rebake
・KURADASHI
・たべるーぷ


4. 食品ロス削減活動におけるポイント

続けて食品ロス削減の取り組みを始めるにあたり、おさえておきたいポイントについてご説明します。

1. 食品ロス削減に取り組む目的を明確にする
いざ食品ロス削減に向けて施策に取り組む時、法人内では各部署、店舗内では社員さんやアルバイトさんを含めて、様々な関係者が取り組むことになります。その際に、誰にとっても明確な分かりやすい目的を共有しておく必要があります。取り組む法人や店舗によって、目的は少しづつ違います。

利益率改善を目的とするのか、食品ロス削減量を目的とするのか、何を最優先にして進めていくのかの目線がバラバラだと、少しずつ行動にズレが生じてしまいます。

一口に「食品ロス削減対策」といっても、取り組む背景は各社異なるため、取り組む前に認識を揃えておくことが重要です。

2. 食品ロス削減に向けた目標数値を明確にする
1.で目的が明確化できたら、次はその目的に対応する目標数値を明確にします。利益率改善であれば何%を目指すのか、食品ロス削減量であれば何kgのロスを削減するのか、など具体的な数値として設定しておきましょう。

数値を設定することによって、その数値達成に向けて何を取り組むべきなのか、各施策でそれぞれどのくらい目標に貢献できるのかを試算して、逆算して施策を設定できるようになります。

3. 自社が実践できることから始めて、合うものだけを残す
2.で設定した目標数値に対して、思いつく施策を洗い出してみます。その施策に対して、自社ができること、実現可能なものをピックアップして目標値に対して到達できそうかを試算します。

抽出された施策を、どのようなスケジュールで実施していくかを設定し、後は目標数値に対してどのくらい進捗しているのか効果測定しながら実施していきましょう。

自社で実施できることが少ない場合でも、まずは取り組んで「この施策は効果的なのか、自社、自店にとって残していくべきなのか」を判断し、必要なものだけを残していくことで、より自店舗に合った取り組みができるようになっていきます。

TABETEを導入いただいている企業様、店舗様でも、「まずはほぼコストがかからずに自分たちでできそうなところから始めて、うまくいったものだけを残す」という考え方で進められているところが多数ありました。

まとめ

食品ロス削減は短期的にはコスト削減、利益率改善につながる取り組みとして評価されがちですが、中長期的にみると「これからの消費者に選ばれるかどうか」という点で非常に重要な取り組みになってきます。

「自社、自店舗の食品ロス削減の取り組みだけでは限界がある...」と感じられている方は、以下TABETEお申し込みフォームからご連絡ください。

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