買い方に変革を起こすために: TABETEのキャッチコピーをリニューアルしました
2018年4月にTABETEがリリースされてから約3年。これまで「おいしくお得にレスキュー」のキャッチコピーのもと、数多くのユーザーさん・店舗さんの協力を得ながら食品ロス削減に努めてきました。
2021年8月、これまでの「おいしくお得にレスキュー」というキャッチコピーをリニューアルします。
TABETEの新しいキャッチコピー
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なぜ、いまキャッチコピーのリニューアルが必要なのか
「おいしくお得にレスキュー」という旧キャッチコピーは、TABETEユーザーのメリットを端的に捉えた言葉でした。しかしこれはあくまでユーザーさんから見た主観的なもので、そこには店舗さんを含め、TABETEのエコシステムを構成する他のメンバーの視点は含まれていませんでした。
これから「TABETE」が日本全国に広まっていく上で、買い手であるユーザーだけではなく、お店、TABETE自身、そして地球環境の視点まで包摂する必要があると私たちは考えました。今回のメインコピーのリニューアルは、そんな想いから行われたものです。
「格安」「お得」という言葉で紹介されることの違和感
TABETEのリリースが行われた2018年。当時の日本では食品ロス削減のサービスは多く存在しませんでした。
奇しくも同時期には節分の恵方巻の大量廃棄問題や年末の忘年会のドタキャン問題が話題となり、世間の食品ロスへの関心が芽吹き始めた時期であったともいえます。以来、SDGsへの機運の高まりや食品ロス削減推進法の制定などの追い風が続き、現在も多くの切り口からTABETEを紹介・説明していただく機会に恵まれています。
最近では、テレビを中心に生活者に向けたグルメ情報・お買物情報として取り上げられる場合も多く、TABETEのことを「金銭面で『お得』なサービス」「格安で食品が買える」サービスとご紹介いただくことも珍しくありません。サービスの存在を知っていただけて嬉しい反面、「お得」という言葉が一人歩きすることに違和感を覚えていました。
その違和感は、TABETEが実現したい買い物のあり方が伝わっていないことからくるものでした。
TABETEが成り立つための大前提
TABETEでの「レスキュー」は、おいしい食べ物が手に入る「買い手」はもちろん、「お店」も利益を確保し食べ物を捨てずに済む、更には資源の無駄を出さずに有効活用することで「地球環境」にとってもプラスになる、つまり「みんながハッピーになる」という前提で成り立っています。この三者のバランスは、私たちがTABETEのサービス設計をする上で常に大切にしてきたことです。
TABETEが「お得サービス」として広まることへの違和感には、2つの要因からきています。
まず何より、「お得」なサービスとしてTABETEを捉えることは、買い手のメリットばかりを切り取ってお店や地球といった存在を蔑ろにすることにほかなりません。TABETEは、食品ロスに困っているお店と、ロスについて理解のある消費者との助け合いを通して、食品ロスを削減していくプラットフォームです。ユーザー側だけが独りよがりに得をしても、そのシステムはどこかにしわ寄せをつくり、持続可能性を欠きます。
2つ目の要因。ただお得なものを求めて買う行為は、私たちTABETEが応援したい“買い物のあり方”とは程遠いものです。もちろん何かをお得に買うことは生活の知恵の一部であり、決して悪いことではありません。しかし、短絡的に「いいもの=安いもの」と捉えることは、自然環境の賜物である食材や、それを私達が美味しく食べられるために様々な形で関わった人たちの尊厳を傷つけます。そのような消費の先には、豊かな人間社会は待っていません。
こうしたことから、私たちが実現したいことをより明瞭に表現した言葉をもって新しいメッセージとすることにしました。
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みんながハッピーなレスキューの仕組みを目指して:大幅アップデートを実施します
お店側・食べ手側、双方がもっとTABETEを使いやすくなるように、そして食品ロス削減の機会を逃さないために、出品に関する仕組み・ルールを見直しました。
・2種類以上の商品を並行して出品できる仕組みにします
これまでは、各店舗から「今、いちばんレスキューしてもらいたい商品」を1種類のみ出品する仕組みでしたが、TABETEを活用するお店から「価格やジャンルの異なる品物を、同じ時間帯にレスキューしてほしい場面もあるんです」といった声がよく聞かれるようになりました。また、ユーザーの皆様からは「このお店が困っているのならば、ほかの商品もレスキューを検討したい」というご意見も届いています。
アップデート後は、様々な量・価格の商品が並行して出品できるようになり、今まで対応できなかった「レスキューが必要な場面」を幅広くカバーできるようになります。
・出品価格の幅を広くします
今までは、TABETEが独自に定義した「レスキューしやすい価格帯」に基づいて、レスキュー家価格の幅を250円から680円の間に定めていました。
しかし、TABETEが全国のお店へ広まるなかで、このレスキュー価格帯が不便だと感じるお店からご相談をいただくことが増えてきました。またユーザーの皆様からも「自分が食べるペースを鑑みて、少量での出品があれば積極的にレスキューしたい」という感想をいただいていました。こうした声を受け、より幅広い金額で出品できるように改修することにしました。
2つの改修を同時に実施することで、これまで以上に、お店側・ユーザー側、双方にとって心地よいレスキューが増えると見込んでいます。
TABETEが達成すべきこと="買い方"の再定義
私たちがTABETEを通して達成したいと考えていることは、"買い方"の再定義です。
仰々しい言い方ですが…
普段の買い物をするときに「この商品はどこから来ているのか、買うことによって誰に影響を与えるのか」を考え、納得してお金を払う。そういうのがよい買い方であり、豊かなお金の使い方だと私たちは考えています。
たとえば、農家さんから野菜を直接買い付けると、「この食べ物がどこから来て、自分が費やしたお金がどこに届くのか」を強く意識すると思います。日常的な買い物ではわざわざ意識しないかもしれませんが、よく考えれば、スーパーで買える野菜や果物・肉・米は全て、生産者が労力をかけて育てたものが出荷されて、加工や運搬を経て、その棚に並んでいます。
そして、TABETEに出品されている食べ物も、つくる人、販売する人、お店を経営する人など、たくさんの場所・人を経由してきたものです。アプリで出品理由を読むと、特に「つくる人」「販売する人」の存在や、レスキューして食べてほしい! という切実な想いが伝わってくると思います。準備した人たちの気持ちを知ったり、余ってしまった理由について納得したうえで購入するという流れが、TABETEでは設計されています。
TABETEで食べ物をレスキューする経験が「自分の買い物がどこかに繋がっている」という感覚を掴むきっかけになれば、そして心のなかで買い方の“再定義”がじわじわと進む第一歩になれば、と思っています。
そうして買い手であるレスキュー隊員の「買い方」が変われば、大量生産・大量消費に起因していた
などの商習慣の改善にもつながると信じています。
食品ロス削減に特効薬や銀の弾丸は存在せず、生活者である私たちの行動から変化を起こしていくことが非常に重要だと考えています。
ひとりでも多く"買い方"を考える人を増やすために
2019年10月に当社が実施したアンケートによると、TABETEを通してレスキューしていただいた方は、TABETEの利用前後にフードロスへの関心度合いが46%増加したという結果になりました。
TABETEを使い始める方の理由は「お得だから」「新しいお店に行くきっかけになるから」など様々。最初から「食品ロス削減」だけのために利用される方は、実はそんなに多くないのです。
TABETEでレスキューを続ける中で、お店の方から「レスキューありがとうございます」と声をかけられたり、アプリの中で削減量を見たときに初めて実感したりと、いつの間にか食品ロスに関心を持つようになったという方が大多数です。
「TABETEで食べ物をレスキューしたことをきっかけに、買い方をじっくり考えることが増えました」というような人が増えれば、食品ロスを身近な課題として考える人もまた増えていくはず。
TABETEをより便利に、快適に使っていただけるよう改善を重ねるとともに、食品ロス削減のムーブメントを起こせるように尽力していきます。
自分にも、お店にも、地球にも。みんな心地良い食の選択を。
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フードロス削減アプリ「TABETE」
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