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ホテルビュッフェにおいて50%以上の食品ロス削減に成功。独自ノウハウでHACCP・衛生基準を保ちTABETEを導入【三井不動産ホテルマネジメント様】

三井不動産ホテルマネジメント様は国内外に40ヶ所のホテルを運営されています。

今回インタビューさせていただいた「ホテル ザ セレスティン東京芝」様では、2022年7月からTABETEを導入いただき、朝食ビュッフェで余ってしまったパンやお料理を詰め合わせで出品され、50%以上の食品ロス削減に成功されました。

ハイクラスのホテルにおけるTABETE導入実績が少ない中で、独自のノウハウを活かしたオペレーションを設計。安心・安全を第一に、HACCP含めた衛生基準をクリアした上でTABETEをご活用いただいている株式会社三井不動産ホテルマネジメント様に、食品ロス削減のノウハウをお伺いしました。

■今回お話を伺った方
・小野寺さん(写真右から三番目):
  ホテル ザ セレスティン東京芝 統括総支配人
・元小出さん(写真右から二番目):
  ホテル ザ セレスティン東京芝 総調理長
・村田さん(写真一番右):
  業務推進本部 クオリティマネジメント部
  サステナビリティ推進室 次長

当社のサステナビリティ5本柱のうち1つが「食品ロス」。取り組みに向け調査した結果、TABETEが一番の導入候補に

篠田:最初に、TABETEを知っていただいたきっかけについて教えていただけますか?

村田さん:弊社のサステナビリティにおける5本柱の取り組みの一つが、「食品ロス削減」です。その取り組み方針を決めるにあたり、インターネットで食品ロスに関するサービスや取り組みを研究し、何が弊社にマッチするかを調査していました。

村田さんはサステナビリティ推進室にて、サステナビリティに関する新規の取り組み提案、実施に向けた社内調整等をご担当されています。

実は、かなり早い段階でTABETEを見つけ、数年前のガイアの夜明けに取り上げられたことにも着目し、「これは自分達のホテルでも使えるのではないか?」と思い、ご連絡しました。

篠田:調べ始めた当初から、TABETEを見つけ出して、注目していただいていたのですね。ありがとうございます!ちなみに、他のサービスや取り組みとも比較されたのでしょうか?

村田さん:はい。網羅的に、全ての食品ロス削減サービスや取り組みは調べて比較いたしました。提案する以上、比較した上で一番良いと思えるものを、自信を持って提案する必要がありましたので。TABETEが一番マッチしたサービスだと感じたので、提案の一番に挙げました。

TABETEユーザーの食品ロス削減意識、環境への意識の高さが、一番の決め手

篠田:網羅的に調べられた上で、TABETEを提案に挙げていただいたのですね。他サービスと比較して、村田さんの中で何が決め手だったのでしょうか?

村田さん:ユーザーさんの食品ロスや環境配慮への感度が非常に高いと感じたことが、一番の決め手でした。

サービスを比較する中で、各サービスの口コミやレビューまで確認していたのですが、TABETEアプリに関してはレビューを見ていても、ユーザーのSDGsや環境配慮への感度が非常に高いと感じました。

お打ち合わせの中で代表の川越さんや池本さんとお話しした時に、食品ロスや環境意識が非常に高い方がメインのユーザー層だと認識することができました。

ホテルとして今年度はSDGsを推進しなければならないと考えておりましたので、感度の高いお客様と関わる中で、社内での意識醸成ができるのではないかと思いました。

ビュッフェの残食は全て廃棄するルール。分かっていても、「捨てるのが辛かった」

篠田:TABETE導入前に抱えられていた、食品ロスに関する課題を教えていただけますか。

元小出さん:会社の中の残食、食品取り扱いルールがあり、ビュッフェについては、朝食が終わると基本的には温度管理のできる個包装商品以外は廃棄にするというルールがありました。廃棄が出ないように残食のコントロールをすることがとても難しく、日々課題として抱えていました

ホテル ザ セレスティン東京芝の総調理長を務められる元小出さん。現場で発生する食品ロスに心を痛め、TABETE導入にも積極的に取り組んでいただいています。

手間ひまかけて折角つくったものを全て捨ててしまうところを見ていると、分かってはいても非常に心苦しく感じていました。

小野寺さん:毎日残食はチェックしていますが、ビュッフェである以上、キレイに料理が無くなることはまずありません。ビュッフェという業態を継続するにあたり必ず食品ロスは発生するため、なんとかしなければ、とはずっと思っていました。

その矢先に村田さんからちょうどTABETEのご提案をいただき、取り組みを進めていくことに致しました。

統括総支配人を務められる小野寺さん。ホテルでの責任者をしている中で、新しい取り組みにも積極的にチャレンジすることを重視されています。

一度は衛生基準でTABETE導入を諦めかけるも、「スチームコンベクション」の活用で壁を突破

篠田:TABETE導入の検討を進めていくにあたり、社内の衛生基準通りに運用するのは難しいのでは、という声が上がったと伺いました。具体的に、どのような課題が発生したのでしょうか?

村田さん:弊社では、保健所のアドバイスを受けながら作り上げた「食品衛生管理要領」があり、その要領は絶対遵守となっています。ビュッフェで残ったお料理を再度販売するという「食品の再提供」を実施するには、「中心温度が90度で90秒以上加熱」する必要があり、導入を検討したいが美味しさを担保して再加熱するのは難しいのではないかと頭を悩ませておりました。

そこで導入を諦めかけたところ、元小出総調理長から「いや、まだできる可能性がある。」と、衛生基準を乗り越えるご提案をいただいたことで話が進みました。

篠田:総調理長自ら、衛生基準を乗り越えるための方法をご提案いただいたのですね…!具体的には、どのような方法を実施されたのでしょうか?

元小出さん:「スチームコンベクション」を活用し、蒸気を使って再加熱する方法を提案しました。ただ、中心温度が90度で90秒以上通常の火入れで加熱を行ってしまうと、弁当の見栄えも悪く、味も劣化してしまうことが課題でした。

実際にTABETEで出品されている、ビュッフェで余ってしまったパンやお料理を使った詰め合わせ。これまでは全て廃棄となっていました。

蒸気をで火を入れる調理方法と、蒸気を使わず火を入れる調理方法を普段から使い分けていたので、「スチームコンベクションを使用し蒸気を使って火入れすれば、品質を保持したまま、衛生基準を守り美味しく提供できるのでは?」と思い試してみたところ、味の劣化も無く非常にうまくいったため、TABETEのオペレーションでも活用しております。

篠田:一度は諦めかけたところから、総調理長自ら模索されたことで導入に至ったのですね。そこまで強い想いで取り組もうと思われた背景について、教えていただけますか?

元小出さん:せっかくTABETEを導入するのであれば、余ったものをお弁当にするという考えではなく、「ホテルクオリティの美味しさで、お弁当を皆様に召し上がっていただきたい」と思い、美味しさを保ちながら、衛生基準をクリアできる方法を模索しました。作ったものは全部誰かに食べていただきたい、という想いが原動力だったと思います。

机上での議論ではなく、「現場」で実際に提供できるものを見て、関係者全員で納得感を持って進める

篠田:新しい取り組みを始めるにあたり、関係各所から反対意見やリスクへの懸念などあったかと思いますが、村田さんはどのように各所との調整を進められたのでしょうか。

村田さん:前向きな検討が社内で進むことを意識しています。まず自分がユーザー登録をしてレスキューし、レスキューしたものを食べることで自分自身がTABETEを理解することは先んじて実施しました。

次に、朝食会場に食品衛生担当者、サステナビリティ推進室担当、料飲部門担当など関係各所に集まってもらいました。ビュッフェが終わるタイミングで総調理長に衛生基準を守ったお弁当を作っていただき、それを出席者全員で食べてもらい、実際に現場で導入後のイメージが湧くような場を設定しました。

会議上の「議論」での進め方ではなく、現場で実感することが重要だと考えており、「それってどうなの?」という意見に言葉で答えるのではなく、まずは現場で試作してみる。ルールを守ったお弁当を作ってみて、食べてもらう。

このように進めた結果、反対はなく導入に至りました。

篠田:御社は衛生基準を乗り越えてから、導入までのスピードが非常に速く驚いたのですが、そのような調整のされ方をしていたことも大きな要因だったのですね。

コロナ禍で培ったテイクアウトのオペレーションをTABETEに活用。一週間で誰でも使える状態に

篠田:TABETEで出品される際の、オペレーションの流れについて教えていただけますか。

元小出さん:まず、朝食営業終了時に担当シフトの方が、提供可能な量をチェックします。提供可能な量を決めて、TABETEに出品。その後、お弁当をスチームコンベクションで再加熱。粗熱をとって、15度に設定した部屋があるので、そこで保管します。

15度という温度がミソで、冷蔵だとお弁当が美味しくなくなってしまいますが、15度だと菌が増えずに美味しく食べられる適切な温度となっています。コロナ禍でテイクアウトのお弁当提供を始めた時のノウハウがあったので、そのオペレーションを応用しました。

お客様が到着されてから、部屋からお弁当を出します。商品お渡しの際に、持ち帰り2時間以内に召し上がっていただくように必ずお伝えしています。

実は、リピーターの方には前回のレスキューの感想を伺い、データにまとめています。いただいたご感想、ご意見については現場のみんなで共有して、テスト段階からずっと改良を重ねています。その甲斐あって、一番最初にTABETEで出品した頃のお弁当の内容からは、量やクオリティは少しずつ良いものに変わってきていると思います。

村田さん:こちらのホテルでは上質の梅干しを使っていますが、その梅干しも、これまでは全て廃棄になっていました。その梅干しも、元小出総調理長が衛生基準を守って美味しく提供できる方法を確立されたので、捨てることなくお弁当に入れられるようになりました。導入を提案した立場としては、ここまで意欲的に取り組んでいただけたことをとても嬉しく思っています。

篠田:リピーターの方からフィードバックをいただいて、より良いレスキューの形を模索いただいているのですね。ちなみに、TABETEを使いこなすまでには、どの程度の期間がかかりましたか。

元小出さん:事前の説明もTABETEの方から丁寧に教えていただけましたし、1週間程度で、自然と現場のどのメンバーでも使いこなせるようになりました。コロナ禍にテイクアウトの提供を実施していたので、その経験を
TABETEのオペレーションにも活かすことができたと思います。

導入後、パンは90%以上、料理も50%以上の食品ロス削減に成功。原材料高騰に伴う原価率対策にも

篠田:導入後の食品ロス削減効果等について、教えていただけますか。

元小出さん:パンは90%以上、料理については50%~60%以上、食品ロスを削減できています。特に、パンについてはほとんど余ることがなくなりました。

篠田:これまで余っていたお料理やパンの多くが、TABETEによって大幅に食品ロス削減につながったのですね。ありがとうございます!ちなみに、食品ロス削減以外の導入効果は何か感じられましたか?

小野寺さん:調理スタッフの、丹精込めて作ったものを捨てるという罪悪感が軽減されたことが、一番効果としては大きいと感じています。TABETEを通してこれまで廃棄していた料理がお客様にご提供でき、スタッフも調理により専念できるようになったと思います。

元小出さん:原材料高騰の影響も受けているので、TABETEを導入したことで原価率を抑えることができ、思い切った食材の活用を使うことができるのもありがたいです。TABETEで得た売上は、よりお客様に楽しんでいただける形で還元していこうと考えております。

村田さん:サステナビリティ推進室としては、他ホテルにも落とし込める理想的な「成功事例」を実現できたことが大きな成果と感じています。導入までの進め方もそうですし、現場スタッフも手間はほぼかかっていないと感じられるまでに、オペレーションを構築することができました。この活動をやっているからこそ、食品ロスは減らさなければならないと現場スタッフもより意欲的に取り組む効果もあると感じています。

これまで廃棄物として処理費用がかかっていたものが売上に転換されるのもありがたいですね。今後も継続的にビュッフェを実施していく以上、TABETEは併用していければと考えています。

今回の成功事例から、国内39ホテルにもTABETEの導入を検討するよう案内を開始。

篠田:今後のTABETEの使い方、展開についても教えていただきたいです。

村田さん:実は、「国内の39ホテルでの導入はできないのか」という声が上がってきています。TABETEは「今どうなっているの、進捗しているの」と常に気にされる取り組みにまでなってきています。

そのため、今後は全てのホテルに導入の検討を依頼する予定です。ただ、無理やり導入を勧めるのではなく、ビュッフェを実施していないホテルや、残食が出ていないところもありますので、TABETEが合うところを見極めて導入を進めていきたいと思います。今年度終わりには、今よりも導入が進捗するように進めていきたいと考えています。

「チャレンジを恐れない」雰囲気の醸成が、食品ロス削減の推進力につながる

篠田:最後に、今後TABETEの導入をご検討されているホテル様に対して、みなさまからアドバイスをいただきたいです。

小野寺さん:最初にTABETEの話を聞いた時、瞬間的に「この仕組みを入れることでいくら儲かるのか」という発想が出ました。そうではなく、捨てていたものをお客様にレスキューいただき、原価費を回収していく取り組みであることを理解しスタートできるよう、最初にスタッフでも認識を揃えました。

他の事業者様においても、TABETEは儲け第一の取り組みではなく、食品ロス削減と原価回収であるという原点を忘れずに取り組んでいただくことが重要だと思います。

村田さん:まず「安全・安心」を第一に、食品ロス削減を考えていくことだと思います。食品ロス削減を第一に考えすぎると、安心・安全が欠けてしまう。弊社では、「ギリギリ出しても良いのでは」というものも、厳格な基準で絶対にNGを出しています。持ち帰って召し上がるお客様が、万が一でも食中毒になることは避けなければいけません。

弊社では、TABETE導入が決まったホテルでは、必ず所轄の保健所に相談するルールにしています。そこまで、安心・安全に向けて徹底してルールづくりを準備することも、念頭におく必要があると思います。

元小出さん:チャレンジできる雰囲気づくりが非常に重要だと思います。私たちのホテルの強みは、チャレンジできる土台があることだと思っていて、総支配人からはいつも「チャレンジしなさい」と言われています。

普段から総支配人が挑戦しやすい雰囲気づくりをしてくれているおかげで、新しい取り組みへのハードルが下がり、食品ロス削減の取り組み強化にも繋がっていくのではないかと感じています。

TABETEは本当に良い取り組みだと感じておりますので、こちらで発信できることがあれば、ぜひ積極的にご協力していきたいと思います。

篠田:最後に素敵なアドバイスをありがとうございます。みなさま、今日はインタビューにご協力いただきありがとうございました!


〈取材・編集・文=篠田沙織(@0815Sama)/撮影=伊作太一(@fuzz139)〉

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今後もTABETEを導入している店舗様へのインタビューや、フードロス削減の工夫についてnoteで発信していく予定です。フードロス削減にお困りの飲食店の方は、ぜひ以下URLからご連絡ください。

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