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チェコの絵本出版社のお話&有名な作家Kveta Pacovska

以前チェコセンターへとある出版社の歴史についてのイベントに参加してきました。そこで聞いてきたお話を元にしてチェコの出版社の歴史を簡単に紹介したいと思います。

数ある中でもおそらくチェコで一番古い絵本の出版社がALBATROS(旧SNDK)社といいます。SNDK(国立児童図書出版所)設立は第二次世界大戦後の1949年、この時児童書はほぼここから発刊されていました。当時チェコは社会主義国であったため国の許可が下りなければ自由に本を出版することは出来ませんでした。児童書の内容は社会主義体制下に生きる子供達のリアルな姿が描かれていたり、60年代には社会からはみ出た主人公を通して社会を批判的な視点で見たものが書かれていることが多かったそうです。(ナンセンスを駆使して厳しい検閲の網目を上手くすり抜けていたのでしょうか...)

1989年にビロード革命という民主化運動が起こり、誰でもどこでも自由に本を出せるようになりました。このことで出版社が乱立し、様々な本が世に出たと言われています。

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お店にある本はほとんどがALBATROS社の本で、鳥の羽のマークが特徴的。(アルバトロスはアホウドリのこと)ちなみにSNDKからALBATROSに名前が変わったのは1969年。SNDK出版と記載されているものは1969年以前の本ということになるので、あまり見かけないレアな絵本だったりします。

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さてさて出版社の軽い歴史も終わり、お次はチェコでも有名な作家さんの一人KVETA PACOVSKA(クヴィエタ・パツウォスカー)についてもお話したいと思います。

1950年代から児童書の絵を描いており今年でなんと91歳!今も現役で活躍されています。絵の特徴はなんといってもパワフルな形・コントラストの強い色、見る人によっては不気味だと捉えるかもしれません。毒々しさの中に深みがあり、チェコの絵本独特の雰囲気を感じ取ることが出来ます。

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クヴィエタさんのお気に入りポイントは出てくるキャラクターにヒールのような靴を履かせているところがとても好きです。なんだかアンバランスな所に魅力を感じます。

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今回はチェコの語りたいことの核になる部分だったので、少し長くなってしまいました。次回はチェコの最近出版されている新しい本についてお話していきたいと思います。

お店のオンラインにあるKVETA PACOVSKAの絵本はこちらからご覧いただけます。→https://stores.jp/search?q=KVETA%20PACOVSKA&store=tabanerubooks


・・・余談・・・

古本は新刊と違って他の誰かに手に一度は渡っている。だからよく古本にチケットやレシート、不思議なメモ等が挟まっていることがある。それはどこの国でも同じなのだ。実際チェコで買ってきた本にも挟まっていた。(画面右の小さな用紙)

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裏を見る限り小さいメモのようだが、文字は無く白紙のままだった。もしかすると誰かにメッセージを送ろうとしていたが、すっかり忘れて挟んだままどんどん別の誰かの手に渡り私の元に辿り着いたのだろうか。こんな想像が膨らむばかりで、やはり古本との出会いは色々なことが起こるから面白い。きっとまた別の人に渡ったら想像するだろう。なのでメモは抜かず、挟んだままにしておこうと思う。

おしまい


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