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マネージャーに必要なスキルを学べる3冊
「名プレーヤー、名監督にあらず」
使い古された言葉ですが、プレーヤーとマネージャーでは必要なスキルが異なることを鮮明に表しています。
ではマネージャーにはどんなスキルが必要なのでしょうか?
そこで、本記事ではマネージャー必要なスキルに言及されている本を、私の独断と偏見で特に日本企業のマネージャーにあっていると考えた3冊を選びました。どれも必要なスキルだけでなく、スキルの身に着け方など様々な知見を得られる本ですが、今回はスキルに絞っています。
なお、本記事では、管理職=マネージャー/ミドルマネージャーを意味するものとして使用します。表現は、基本的に出典に合わせています。
1冊目:成長する管理職
経験学習に関する研究、著書を多数執筆している松尾睦教授の著書。
本書では、管理職の成長について、「どのような経験がいかなる能力を高めるのか?」、「経験はいかなる要因によって決定されるのだろうか」を明らかにしています。
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本書では調査の結果、管理職に必要な能力として「目標共有力」「情報分析力」「事業実行力」の3つが見出されました。
目標共有力
部門や組織の理念や目標を示し、率先垂範しつつ、部門内で共有・浸透させながらメンバーを巻き込む力を意味します。
情報分析力
市場・業界・他者動向などの情報や業務に関する知識をもとに、多様な視点を持ちながら論理的に考え、物事の原因を見定め、これから起こることを事前に想定する能力を意味します。
事業実行力
自社の経営指標や市場の動きを読み解き、その中からビジネスチャンスを見極め、リスクを恐れることなく事業を実行・推進する能力を意味します。
なお、本書の調査では、必要な3つの能力のうち、事業実行力の獲得が不足していることが分かった。この不測原因は「知識と行動のギャップが生じている」かもしれないと考察しています。
2冊目:駆け出しマネージャーの成長論
企業・組織における人材開発、組織開発の研究、著書が多数の中原淳教授の著書。
「駆け出しのマネジャーがさまざまな困難をいかに乗り越え、成果を出せるマネジャーになるのか?」がテーマであり、7つの挑戦課題を中心に解説されています。
「駆け出しマネージャー」向けの「挑戦課題」ではありますが、駆け出し時代のみならずマネージャー全般に必要であり、挑戦課題は裏返せば必要なスキルであると、独自解釈して説明します。
なお、著者は7つすべてを背中にしょいこむ必要はないとしています。
①部下育成
マネージャーにとって部下育成の重要性はわかっていても、その原理は知らないという人も多い。
部下育成の原理とは、リスクをとって部下に仕事を任せ、適切なタイミングでフィードバックすることです。一般的には、部下に自分で考えさせるやり方が効果的です。
②目標咀嚼
会社の目標を部下にかみ砕いて説明し、納得を得ること、会社の戦略を部門の仕事に落とし込み仕事を割り振っていくことです。
これは「部下育成」密接に絡みあう課題となります。
③政治交渉
組織内にネットワークを作り出し、それを通じて自部門に資源(ヒト・モノ・カネ)を集めつつ、かつ、他部門ともうまく協調していくことです。
他部門だけでなく、自分の相手も好調・調整を行う相手に含まれます。
④多様な人材活用
昨今の職場が「多様化」していることから避けることができない課題。雇用形態、文化的背景、年齢などなど多様な部下を抱えるようになっています。
⑤ 意思決定
マネージャーは実務担当者より少ない知識や情報をもとに適切に部門の意思決定をし、自ら責任を負わなくてはいけません。
意思決定を必要とすることの多くは白黒がはっきししない「グレーな問題」です。
⑥マインド維持
マネージャーは矛盾と混沌に満ちている世界にいますが、いかなる仕事であっても心を平静に保たなくてはいけません。「折れない自分を維持すること」がマインド維持です。
⑦プレマネバランス
プレーイングマネジャーである場合、プレーヤーとしての自分とマネージャーとしての自分の心理的、時間的バランスを取っていくことが必要です。
マネージャーのデフレスパイラル
![](https://assets.st-note.com/img/1659755031115-CM43ZrJD2f.png)
上記の7つのうち、経験の浅いマネージャーにとって悩みの種になりやすいのは「部下育成」「目標咀嚼」「プレマネバランス」です。
これらの課題は相互に絡み合い、ネガティブなインパクトを与える可能性があります。
3冊目:これからのマネージャーの教科書
グロービス経営大学院による研究プロジェクトによる成果として執筆されている本書。
「期待以上の活躍をするミドルマネージャーとそうでないミドルマネージャーの違いはどこから生まれるのか?」を明らかにしています。
期待を超えるマネージャーは「スキル」だけではなく「ウェイ」「ギャップ」があるとされていますが、本記事ではこの3つすべてについて説明いたします。
スキル
スキルとは、マネジャーとしてのビジネススキル=組織として成果を出す力を意味します。
基礎的なスキルとしてカッツモデルを解説しています。
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応用的なスキルとしてメンバーの強み弱みを認識し、自分が何に集中すべきか正しく認識する、およびリーダーシップの型をもっていることがあります。
ウェイ
強い想いやこだわりを持っている=仕事に対する想いの力をウェイと呼びます。
成功、失敗など節目となる強烈な経験と、仕事に対する想いとがストーリー となって重なり合ったときに、自身の中で「 想いの力」 となります。
ウェイには、「What型(何をするか)」、「How型(どうやってやるか)」、「Where型(どこでやるか)」、「 Who型(誰のため にやる か)」 の4タイプがあります。
ギャップ
ギャップは、周囲との考えの違いを乗り越える力を意味します。
仕事に対する想いの力(ウェイ)を持つと、周囲との意見の違いが埋めれるため、乗り越える力が必要になります。
「自分自身を理解し、自分の考えを明確にすること」、そして「周囲の考えを理解すること」、その上で「どのように違うか冷静に見極めること」が乗り越えるためには重要です。
3冊を見比べて
どの本も長く読み継がれている名著ですので、どれも頷きまくりな内容です。
ただし、自分自身も本を書き、マネジャー育成に携わる身として自戒の念もこめて書きますが、いくら良い知識を得ても行動が変わらなければ結果は変わりません。
マネージャーの成長の7割は直接的な経験によるものと言われています。
本で得た知識を行動に移し、経験学習をすることでこそ、有意義な知恵、スキルとして身につきます。
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最後に、
今回はスキルに絞って書いていますが、ぜひ興味を持った本は手に取って読んでみてください。