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一年半、小説を書き続けたら文章力は上がるの?

こんにちは、束音ツムギです。

これまで、何作品か『小説』……ジャンルとしてはファンタジー系のライトノベルを書いてきました。

総文字数で言えば、100万文字に迫る勢いです。(未公開作品も含めて)

当然、それ以前に文章をマトモに書いていた経験はありません。
書いていたといえば、原稿用紙1枚分の反省文とか、履歴書の自己PRとか、無理やり書かされていたような書類ばかりで、こうして自発的に文章を書こうとなんて、考えたこともありませんでした。

モチベに波はありつつも、こうして継続して書き続けていられるの、実はバグレベルだったりします。

そんな私が、一年半。小説を書き続けたら文章力は上がるのか?
という記事です。

検証方法

一年半前、活動初期に連載を始めた小説を、今になってリメイクする事を思い立った。

この機会に、リメイク前後の文章を比較してみる。


いざ、リメイクしてみる

長くなるので、以下のnoteで全文を公開してます。

一年半前の文章

現在の文章力でリメイクしたもの


とりあえず、最初期に書いた小説の『第一話』をリメイクしてみました。

まず、文字数が2倍以上になりました。(2991→7873文字)
膨らませすぎた感がありますが、描写不足だし、ここまでの流れを3000文字程度で書いていた事に驚き。

そもそも、リメイク前はこれを1話にまとめていたのですが、リメイク後は3話になりました。話の切れが悪いもん。

さて、二つの比較用に別途、記事を載せましたが……わざわざ開いて読んでくれる人なんていないと思うので、
個人的に、ここは劇的に変わったな~という所をダイジェストで紹介していきます。

①人物描写

・旧

「ごめんなさい。私が力不足なばかりに……」
 黒髪の、身長は平均程度。これと言った特徴もない、冴えない人形師である漣圭司に謝っているのは、圭司よりも身長の低い、水色の長い髪を伸ばした綺麗な女の子。圭司と同じ学生服を着ている。しかし、彼女は圭司と違って規則で学生服を着させられている訳ではないのだが、何故だか学生服を好んで着ている。

・新

「ごめんなさい。私が力不足なばかりに……」
 黒髪で身長は平均程度。学院指定の制服に身を包んでしまえばいよいよ、これといった特徴がなくなってしまう――そんな彼に向けて、弱々しい声で謝っているのは……。
 圭司よりも頭ひとつ分くらい身長が低くて、透き通る水色の長い髪を伸ばした、綺麗で清潔感のある女の子。服装はといえばこれまた、この学校指定の女性用学生服をしっかりと着こなしている。
 ただ、彼女は圭司と違って、規則で学生服を着させられている訳ではないのだが……何故だか、この学生服を好んで着ている。

まず、一年半前に書いた方は、二人の外見描写を一文にまとめてしまっていた。ごちゃごちゃになるに決まっている。

あとは、より描写が具体的になり、読者へより鮮明に伝わっている。と思う。……書いた本人なので、文章以上の情報が脳内に詰め込まれている以上、自分ではよくわからない。
が、語彙が増えてるなら、相対的に鮮明になってる、よね?

そして、何より目立つのが、三点リーダー症候群に罹ってしまったこと。マジで、控えるように意識してるはずなんだけど、知らない間に入れてるんだよね、三点リーダー(……)。これ、もはや呪いでは???

書き続けることで、良くなっていく一方で悪化することもあるんだという事を思い知らされた。

②台詞文

・旧

「マスターと私なら次こそは余裕でCランクでしょう。……あれれ。そこにいるのはまたまたFランクの納乃さんじゃありませんか。かわいそう、かわいそう……」
 一輝の隣で表情も変えずに納乃へと口撃を仕掛ける、メイド服のリリア。それに対して、納乃は顔を真っ赤にする。
「なにを言いますか! この無表情メイドコスプレ女!」
「コスプレとは聞き捨てなりませんね。これは立派な戦闘服です。それを言ったらあなたは何故学生でも無いのに学生服を着てるんでしょう」
「うるさい! 私が着たいから着てるんですー! あなたには関係ありませんーっ!」
 ……こんな風に、主同士は仲は良いが、人形同士はとてつもなく仲が悪い。

・新

「マスターと私なら、次こそはCランクへと上がる事が可能でしょう。……おやおや。そこにいるのは、万年Fランクの納乃さんじゃありませんか。ああ、かわいそう、かわいそう……」
 一輝の隣についたまま、表情も変えずに納乃へと向けて口撃を仕掛ける、フリフリメイド服のリリア。
 それに対して、納乃は顔をタコのように真っ赤にしながら、リリアの分の感情まで吐き出すかのように激昂して。
「何を言いますか、この無表情コスプレ女! そもそも、あなただって私と同じ下位クラス、とやかく言われるほどの差なんてないんですからねーっ!」
「コスプレとは聞き捨てなりませんね、これは立派な戦闘服です。……それを言ったら、あなたは何故、学生でもないのに学生服を着てるんでしょう。それも立派なコスプレでは?」
「うーるーさーいー! 私が着たいから着てるんですうー! あなたには関係ありませんーっ!」
 ……こんな風に、主同士の仲は良いものの……。彼らの人形同士はとてつもなく仲が悪い。
 顔を合わせる度に、必ずどちらかの人形が攻撃を仕掛け、超展開のバトル物みたいな雰囲気になってしまうのが悩みだ。

まず、会話の内容はどちらも変わりませんが、リメイク後のほうがやはり、人間味(設定では二人は人形ですが)が増しているように感じます。
より、二人のケンカに迫力が出ているのではないでしょうか。
……まあ、喧嘩するほど仲が良いとも言いますし、二人は意外と良いコンビだったりもします。

地の文も強化されていて、『顔をタコのように真っ赤にしながら~』のおかげで、よりムキになっている感も出せている気がする。

ベースは全く一緒ですが、一年半でこうも変わってくるとは思いもしませんでした。

③スーパーの描写

・旧

 帰り道。一週間分の食料を買うべく、学校から少し離れたスーパーへとやってきていた。家とは逆方向だが、少しでも食費を浮かせる為には仕方がない。
「それにしても、圭司さん」

・新

 大学のキャンパスを出て、そこから一週間分の食料を買うべく、学校から少し離れたスーパーまで歩いてやってきた。
 交通機関を使うにも、微妙に躊躇われる距離だったし、少しでも食費を節約するためにわざわざ安いスーパーへと向かうのに、二人分の交通費を払うのは本末転倒だと言える。人形でも運賃はかかるのだ。
 彼の知っている中ではここが一番安くて、鮮度の良い食材が揃っているのだが、難点はやはり、そのスーパーが建つ場所だった。
 圭司と納乃が住むアパートと方角が正反対であり、それでなくとも学校から中々の距離を徒歩で向かうのだから、帰る頃には間違いなく真っ暗になってしまうだろう。
 それでも、仕送りで細々と暮らしている彼のお財布状況を考えれば、少しでも食費を浮かせる為には仕方のない事だと割り切れる。
「それにしても、圭司さん」

学校帰りに寄ったスーパーの描写が5倍になった。
描写というか、そのスーパーに行った理由、という方が大きいけど。

確かに、リメイク前は、何故かわざわざ反対方向のスーパーによるヤベー奴になってる感もある。
ただ、1行から5行になったのはやりすぎじゃね……? とは思う。

ただまあ、こちらの描写……リメイク前は『一話の中盤』でしたが、リメイク後は『二話の導入』なので、まあいいのかなあ。でも流石にクドイかな?

④回想への移行

・旧

「……変だって思うかも知れないけどさ。俺、人形を人形だって思えなくて。納乃を人形じゃなくて、一人の人間のようにしか思えないんだ」
 納乃を作ったのは高校三年生の時。それよりも少し前、高校二年のあの一件以来、圭司は人形を人形として見る事が出来なくなった。——それは、一人の人形の死。

・新

「……変だって思われるかも知れないけどさ。どうも俺は人形を人形だと思えないんだ」
 それが、彼の人形師としての評価を下げている原因へと繋がっている事だって、薄々気付いていた。分かっていながらも、そういった行動を取ってしまう理由は、その記憶にある。
  脳裏へと強く焼き付けられたあの一件は、彼にとっての魔法人形に対する価値観、そのものを大きく変えた。——それは、とある一体の人形が遂げた『死』が大きく関わっている。
 彼女の苦しむその姿を思い出す度に、胸が張り裂けそうな感覚に陥る。
 だから、思い出したくはなかった。でも、忘れる事なんて出来るはずもない、高校二年のあの記憶を。

『何故、ご飯を食べなくとも動く人形に、ご飯を与えてくれるのか』という質問に対する答え。
そこから、主人公の回想シーンに移行するわけですが……。

まず、セリフ部分に関しては、冗長だったように思えたので、今回のリメイクにおいては珍しい『カット』を行いました。同じような事は二度も言わなくてよくない?

あと、Fランクである彼ではありますが、その評価の一因になっているのが、彼のその思考。
この設定はリメイク前でも同様でしたが、ここに持ってきました。

理由としては、少し先でバトル描写がありますが、無双とかはしないものの、やはりFランクという評価に見合わない戦いをします。ここでその評価になった要因を述べておいた方が、後々、自然な気がしたので。

そして、回想シーンへの移行がキレイにまとまったような気がする。……本当に『気がする』だけなので、真偽は不明。

⑤回想シーン全体

ここには本文は載せません。……全体を通して、ベースが同じではありますが、全くの別物になってしまっているので。
回想本文全部を載せたらこの記事が埋まってしまう。

とりあえず、言いたいことは一つだけ。

『700文字が、3300文字になった!!!!』

以上です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
全体的に、マシな文章を書けるようになった気はしますが、気がしているだけかもしれません。

変な癖(三点リーダー、ダッシュの多様)とか、逆に冗長な表現が増えてたりとか。ただ、今の自分の精一杯で書いた訳で、少なくとも今の自分にはどこが悪いのかなんて分からない

また一年半……初めて文章を書き始めてから三年になる頃。それまで書き続けることが出来ていたならば、今回と同じ記事をまた書いてみようかなーとも思います。

また、もし『一年半でここまで変わるんだ……』と思ってくれた方(いるのか?)は、是非、一年半書き続けてみてください。継続は力なりとも言いますし、少なからず良い方向へと向かっていってくれるはず。

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