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30歳ではじめて失恋したはなし3

交際をすることになってめちゃめちゃ嬉しかった。
この人と結婚したい、結婚しようと思った。
デートを重ねて、いつか結婚にたどり着こうと思った。

けれど一緒にいて全然楽しいと思えなかった。

デートにいっても「ただ一緒にいるだけ」で楽しくないし、親しくなる感じもしなかった。
こころの距離が近づく感じが全くしなかった。

予定を決めて「好きな人とデートにいける」とすごく楽しみにしていた、けれど実際にデートになると全然楽しくない。
うまく言語化できないけれど、そういった状況に対して不満や焦りを感じていた。
「好きな人と居るのに楽しくない、うまくいっていないぞコレ」と。

喜ぶだろうと相手の好きそうなところに連れて行った。
うまくやり取りができていない、どこかかみ合っていない。

それがなんなのか分からないし、どう手を打てばいいか分からなかった。
「そのうちそれらしくなるべ」と楽観視している部分もあった。

けれど状況は改善されず不安ばかりが募るだけだった。
そうしてだんだんと冷めていった。

冷めていくと同時に相手に対しての不満や不安がでてきた。
「この人で大丈夫なんだろうか」と。
けれどそういった不満、不安はすべて飲み込んだ。
それが正しい事だと思っていた、「相手のために我慢しよう」とか「この不満を口にしたら関係が終わってしまうかもしれない」とかそう考えていた。

「相手の事を思って耐え忍ぶ」というのは割と日本的な美徳だと思う、いや思っていた。それを良い事だと思っていた、優しい行為だと思っていた。
一見美徳に思えるけど、それって単純に相手を甘やかしていたり問題の本質に向き合えない臆病さだったりすると思う。

相手に対して何か思ってもそれを飲み込んで受け止めているのがやさしさだと考えていた、これでいいのだと。
けれどそういった事が何度かあると
「え、これを一生続けていくの?無理じゃね?」
という気持ちになってきた。

本当ならそいった不満や不安はお互いに伝えて解決していくべきものだったのだろう。
「あなたの事は好きなんだけど、こういうところがちょっと気にある」
そうやって互いに不満点を伝えてすり合わせをして着地点を探していくべきだった。
本音で話し合いをすることによって、互いに考えていることが分かって、関係性が深まっていくんじゃないかなと。それを繰り返して信頼関係を構築してくべきだったんじゃないかと。
それで最終的に「なにか問題があってもこの人となら乗り越えて行ける」というところまでたどりついて結婚が見えてくるんじゃないかなと。


何かズレている。
それを認識するまではよかった。

それを是正したいと思って行動を起こした。

喧嘩になった。

向こうが悪いとか、こっちが悪いとか言うつもりはなくて、結果としてそうなった。
3日くらいラインで喧嘩しただろうか、そのうちに自分のなかで
「あ、これもう無理」となった。
別れようと提案した、そして同意を得た。

喧嘩じゃなくて話し合いがしたかったのだ、だから喧嘩になって「なんでこっちに向かってしまうんだ」と地団太を踏んだ。
けれど途中から「ああはい喧嘩ね喧嘩、言う事言うわ全部」と今まで思っていた不満点を投げつけた。
そんなことしちゃいけないのにね、そりゃ収まるわきゃないよ。

付き合っていた最後の方、向こうから「こうしてほしい」という要望があった。
それに応えたいと思った。
けれどその要求が具体的になんなのかよくわからない部分があった。
「こういう服着てほしい」
え、それこの前着てたよね。とか。
向こうの要望の出し方が悪かったのか、こっちの汲み取り能力が低いのかは分からない、ひとつ確かなのは意思疎通がうまくいっていなかったという事。


意思疎通とはなんだろう。
「相手に考えていることを伝え、相互理解、認識の共有などを計ること。一般的には「意思疎通」と書くことが多い。コミュニケーションとも言う。」
https://www.weblio.jp/content/%E6%84%8F%E5%BF%97%E7%96%8E%E9%80%9A

うん、出来ていなかったねと思う。
なにか伝えてい事があっても「〇〇と思われるんじゃないか」と伝えられなかったことが多かった。
逆に相手が言っている事があんまり分からなくてもなぁなぁで済ましてしまってもいた。
「なんでそんなことが分からないの」と言われそうで怖かった。
本当はそれを伝えて、自分が思っていることと違う解釈をされてもそこからさらに「いやいやこういう意味でね」と自分がどう思っているかちゃんと伝えて認識の共通化を行うべきだったんだろう。
自分が思っている事をちゃんと分かりやすく伝えて、伝えたうえでさらにやり取りを行っていくべきだった。

さらにそのなかで理解できること、やっぱり理解できないことが出てくると思う。
それが許せる範疇なのか、許せないレベルなのかそれが「合う相手、合わない相手」なんだろうと思う。

そう考えると交際していたのにスタートラインにすら立っていなかったんだなと思う。


無駄な交際期間だっただろうか?
全くそうは思わない。
死ぬほど後悔をして、いろんな事を考えて、前の自分よりもいい状態になっていると感じる。

初めて失恋をして、すごくいい経験になった、血肉になった。
本当に本気だった、それでめちゃめちゃに失敗した。
人間らしい体験だ。

次は間違えない。

以上、はじめて失恋したはなしでした。

俺に幸あれ。

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