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【社会福祉士】社会資源の知識よりアセスメント力を高めよう!

こんにちは。現役社会福祉士のタカヒロです。

先日、こんなツイートをしました。

ある社会福祉士から「優れた社会福祉士はどれだけ社会資源を知っているか」という、なんとも残念な発言を聞いてしまった。社会福祉士はアセスメントが大事です。クライエントの真のニーズを明らかにして共有し、問題解決へ向き合えるように支援する。社会資源はつなぎ方に着目すること。

この記事では、「社会資源第一主義」の社会福祉士を批判するものではありません。

社会福祉士としてアセスメントの重要性を紐解いていきたいと思います。


社会福祉士のアセスメントとは

僕が考える社会福祉士のアセスメントは、

情報を収集し全体像を把握する

ことだと考えています。

この「全体像を把握する」ことに苦労されている社会福祉士が多い印象です。

情報の収集はある程度できているけれども、問題把握をすっ飛ばして、いきなり支援計画を立ててしまう方が見られます。

これは、社会福祉士など相談援助職ならではの課題です。

利用者を画一的に見てしまうと、「あのケースに似ているから、同じような計画でいいだろう」と言うことになってしまう。

よって、支援計画を立てる前に、

「なぜ、この支援計画が必要か」
「それ以外に、どんな可能性があるか」
「それ以外の選択肢をなぜ取らなかったのか」

などの、支援計画を立てる際の「根拠」が必要になります。

支援計画に対する社会福祉士としての見解や根拠を説明できなければ、「誰でも書ける」となり、専門職としての必要性が薄らいでしまいます。


エコロジカル理論・アプローチ

社会福祉士(ソーシャルワーク)の理論・アプローチは、かなりの数が存在していますが、ここではアセスメントに関わる「エコロジカル理論・アプローチ」を紹介します。

エコロジカル理論・アプローチは、生態学の視点をソーシャルワークに取り入れ、体系化したものです。

概念は以下の通り。

人の弱さや病理に原因を求めるのではなく、「人と環境」の交互作用と適応状態に焦点を向ける

では、有名な事例を紹介します。

「ある日、汚れた池で弱った魚を捕まえた。その魚を家に持ち帰り、きれいな池で餌を与えると、元気になった。そこで魚をもう一度、元の池に戻すことにした。その池が、汚れたままだったことにためらいはあったが、魚を池に戻した。すると数日後、その魚は池の中で死んでいた」

魚だけ強めても、戻っていく池が汚れていれば、魚は弱り果て、死んでしまうことがわかります。これは人にも置き換えることができ、人を強めるだけではなく、環境がもっと温かな場所になるよう働きかけ、そのうえで、人と環境の良好な適応状態をつくり出すことが大切です。


過去・現在・未来

アセスメントをする上で、過去・現在・未来といった「時間軸」で全体像を捉えることが重要です。

特に、過去や直近のエピソードを把握することが必要で、利用者や家族のパターンを知ることは、今後の予測を立てやすくなります。

いま起こっている事象だけに目を向けるのではなく、

「過去はどんな生活だったか」
「現在どんな問題を抱えているのか」
「将来どうなりそうか」

といった、時間の経過とともに利用者の状態がどのように変化しているのかを踏まえて、アセスメントすることが社会福祉士として必要です。


バイオ・サイコ・ソーシャル

この方法は、アセスメントを立体的に捉えることに役立ちます。

バイオ:医療的、身体的側面についての検証
サイコ:心理的、精神的側面についての検証
ソーシャル:社会機能についての検証

これらの側面は密接に関係しています。

よって、どれか一つでも欠けると、利用者の全体像を把握することが難しくなる。

逆に、これらの側面を3つとも把握し、多面的に介入することができれば、早期に、かつ効率的に問題解決へ進むことができます。


社会資源のつなぎ方

ここでもう一度、冒頭のツイートに戻ります。

ある社会福祉士から「優れた社会福祉士はどれだけ社会資源を知っているか」という、なんとも残念な発言を聞いてしまった。社会福祉士はアセスメントが大事です。クライエントの真のニーズを明らかにして共有し、問題解決へ向き合えるように支援する。社会資源はつなぎ方に着目すること。

ここで言う、「社会資源はつなぎ方に着目すること」について解説していきます。

社会福祉士として相談援助業務をしていると、様々な質問を受ける場面があります。

その際、全ての質問に答えることは到底難しい。

なぜなら、専門外のことや、記憶または経験の不足によって答えきれない場合があるからです。

僕は、それでいいと思っています。

社会福祉士は、質問に答えることも必要ですが、「なぜ、その質問をするのか」という、ニーズの深掘りをしていくことが、専門職としてのアイデンティティだと考えています。

社会資源の知識についても同じです。

問題に対して社会資源が「パッ」と浮かんでくる社会福祉士は、知識が豊富だと思いますが、社会資源のつなぎ方が骨を折るところで、社会福祉士の専門性を発揮するところだとも思っています。

社会資源は一つの点に過ぎません。この点を、面に変えていく作業が必要です。面に変えることで、支援体制が強固なものになり、支援したネットワークの継続が図れます。

僕たち社会福祉士は、関わった利用者に一生支援するわけにいかないので、支援が終結したあとも、支援体制が続くよう、下地を整えていくことが仕事なのではないでしょうか。

まとめ

今回は、社会福祉士のアセスメントについてお伝えしました。

社会資源の活用は大事な支援ですが、その前に活用する「根拠」が必要です。

そのためには、「時間軸」や「バイオ・サイコ・ソーシャル」の視点を持って、アセスメントしなければなりません。

僕もアセスメントについては、まだまだ半人前ですが、このように書きながら整理できたことは有意義でした。

つたない整理でしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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