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ブーカ、ブーカ、ブーカ、…
現代はVUCAの時代らしい。
VUCAは「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)」の頭文字を並べたもの。もとは冷戦後より戦略が複雑化した状態を示す軍事用語であったが、2010年ごろより、「VUCAワールド」「VUCA時代」のようにビジネスでも用いられるようになった。
グローバル化が進んだ世界では遠方の国の災害や戦争やテロが直ちに自国や自企業に影響を及ぼすので、その波及力の速さや強さを表現するために便利だからこそ皆が飛びついて使いたくなるのだろう。
VUCAとかいてブーカと発音する。見ても聞いても口に出しても気色の悪いこの単語だが、それでもじわじわと、生活レベルでも人口に膾炙しつつあるように思う。気色の悪いことだ。
何より気色の悪いのは、VUCAと口走る人は、自分の日常生活を差し置いて、遠くの世界からやってくる不確実性を憂いていることだ。
今日の自分は健康でも明日は風邪を引くかもしれない。自分の配偶者や子供が事件や事故に遭うかもしれない。友人や同僚が死ぬかもしれない。
事の大小は違えど、ほんのわずかな偶然で起きてしまうこれらの出来事は、それだけでわたしたちの人生を狂わせるのに十分な威力を持っている。
わざわざ遠くに目を向けずとも、世界は自分の足元から不確実性に満ちているではないか。
自分の明日のことさえどうにもできないのに、ろくに知らない遠くで起きた、あるいは起きるかもしれない災害や戦争を心配してどうする。
VUCAとかいう言葉を使うのは、中身のないプレゼンや商談のマクラくらいにしておくことだ。
明日コロっと死なないように、今日もよく食べてよく寝て、後悔のないように生きるくらいが、人間には関の山だ。あとは事が起きた時に考えるしかあるまい。
というわけで、やたらブーカブーカという人のことを「VUCA馬鹿(ブカバカ)」と呼ぶことにしていきたい。よかったらみなさまもお使いください。
カバー画像:
「ブーカ」と聞くとつい顔が思い浮かんでしまうアイツ。
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