議会で、STEAM・理系教育の推進について質問しました。
9月13日、ふじみ野市議会の一般質問で、「小中学校におけるSTEAM教育(注)の実施状況と今後の推進計画」、「理系科目への関心向上に向けて実施している学習内容」について以下のとおり、質問しました。
(注)科学、技術、工学、総合教養、数学の5つの分野を統合した教育内容。
(質問)
(1)小中学校におけるSTEAM教育の実施状況と今後の推進計画
STEAM教育は、アメリカのオバマ政権で2013年から取り組まれており、世界各国で推進されています。令和5(2023)年6月16日に閣議決定された「教育振興基本計画」では,今後5年間の教育政策の目標と基本施策が示され「目標5 イノベーションを担う人材育成」の中で「探究・STEAM教育の充実」が掲げられ,「学習指導要領を踏まえ,児童生徒が主体的に課題を自ら発見し,多様な人と協働しながら課題を解決する探究学習やSTEAM教育等の教科等横断的な学習の充実を図る」とされています。
わが国では、小中学校での教育は、私立学校で取り組まれているほか、東京都の千代田、墨田、世田谷、板橋区、武蔵野、狛江など、県内でもさいたま市、富士見市などで取り組まれています。世界標準の教育内容でありますことから、本市での小中学校における実施状況と推進計画についてうかがいます。
(市の回答要旨)
・STEAM教育について特段広く示していないが、STEAM教育については、実践している(①)。
・教科横断的な学習を充実させることは学習意欲に課題のある生徒たちにも重要であり、STEAM教育を推進する必要がある。
・STEAM教育の更なる充実に向け、授業研究、教材開発、指導法の研究を進めていく。
(要望)※再質問の時間がなくなっったため。
・ご回答のとおり、教材や教学について研究をしていただきたい。
・市が策定する「教育振興計画」に明記することを求める。
(評価)
・①の回答からは、現在、「どの学習がSTEAM教育か、定義づけがされておらず、STEAM教育の教材、教学方法も明確ではない」と受け取られる。
・他の自治体のように、「STEAM教育をやっている」、「どんな内容をやっている」、「これによって何が得られる」をホームページやSNSで発信することが大切。そうでなければ、保護者の理解が得られず、STEAM教育に力を入れている、私学に比べ、低い評価となる。
(質問)
(2)理科系科目への関心向上に向け、採られている学習内容
日本人全般は理数系科目が苦手、そもそも学んでいる人が少ないと言われます。国立科学技術・学術政策研究所の2020年の資料ですが、学位取得者の国際比較(人口100万当たり)をみてみますと、日本は1464人、英国は2803人、韓国は2551人、米国は2129人です。企業の管理職につく可能性が高い修士をみますと、日本は386人、英国は1347人、米は861人、韓国は523人です。学士、修士で理系人材が少ないと言われます。世界的なIT化の進行で、日本のIT化の遅れは、このことが大きなマイナス作用となったと指摘されています。理系人材を英米韓並みに育成できればというのが、率直な感想です。
文部科学省も経済産業省とともに、縦割り打破で、2015年に理系人材育成戦略を策定しました。大学も理系学部の増員、新設などを進めています。本市においては、こうした国の戦略に応じた理系進学を増やす上で、やはり、理系への関心を高める学習を展開しなければならないと考えますがどのような学習内容を採られているでしょうか。
(市の回答要約)
・児童生徒の学習に対する興味関心を高める対象は、全ての教科でなければならないと考えている(②)。
・STEAM教育が実施されていることから、本市独自の実施については考えていない。
(要望)
・NHKの番組サイエンス・アイのような、関心が持てる内容、気候変動、がん治療、半導体、バイオなどを取り入れてもらいたい。
・全国の県で行っている理科教育研究会、指導法研究委員会の研究成果を本市でも共有していただきたい。
(評価)
・それぞれの科目で、学習への関心、意欲、理解を高めることは必要で、そのうち、理系科目についてはどのようにしているか、という質問ですが、特定の科目の関心向上の学習はできないという、理解が難しい回答でした。
・STEAM教育は、創造力、探求心、論理的思考などを養うもので、文系進学者にも必要です。専門的な理系科目の教学内容とは異なります(代替、交換の対象になっていない)。この点を混在化した回答になっています。具体的に明示できる内容を実施していないからなのか、と考えてしまいます。
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