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幼少期、父方の祖父は牛を飼っていて、
小さい頃私はその手伝いをよくしていた。

私の担当は、子牛にミルクをあげること。

脱脂粉乳をお湯で溶いて、ちょうどいい温度にして子牛に飲ませる。

学校から帰ってきて、夕方牛小屋へ行くと、
子牛たちは私に気づいて大騒ぎで跳ねまわった。

一頭一頭、丁寧にミルクを作って、順番に飲ませる。
あっという間に飲んでしまって、お母さんのお乳を押すように、私の持っているバケツをぐいぐい押してくる。

子牛にもそれぞれ個性があって、
ミルクをもらうまではこの世の終わりみたいに「ぼーぅ!ぼーぅッ!!」
と叫びにもつかない声をあげてミルクを催促し、飲み終わると天使のようにきらきらした目で
「み!」
と満足げに鳴く子。
ミルクを飲んでいる間、嬉しくて嬉しくて、子犬のようにしっぽを振り、そのしっぽがお腹に当たってはぽんぽんお腹で音を立てる子。

どの子も可愛くて可愛くて、たいそう可愛がった。
子牛もホルスタインという牛乳を搾る種類の牛なので、幼い頃から親と離されて、人懐こい子が多かった。

子犬のようにすり寄って来ては、
子牛に膝枕をしたこともあった。

そんな思い出もあってか、
牧場で牛を見かけると、自分から牛の方へ寄って行ってしまう。

牛は可愛い。


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