フェミニズムという仮面に隠された女性優越主義者(ツイフェミ)の心理プロファイル
皆さんこんにちは、津島結武です。
今回はね、フェミニズムの名を騙った女性優越主義者について述べたいと思います。
女性優越主義者とは書きましたがね、いわゆる「ツイフェミ」です。
ツイフェミにっていうのは簡単に言うと、Twitter上で活動するフェミニストではあるんだけど、そのなかでも男性蔑視や攻撃的な発言をする人たちのことをいいます。少なくともこの記事ではそのように定義します。
でまあ、そんな男性蔑視や攻撃的な発言っていうのは、フェミニズムの本来の目的から逸脱しているわけですよ。
つまり、フェミニズムとツイフェミはまったくの別物といっていいんじゃないかという話になってくるわけです。
そこで僕は思いました。
「ツイフェミって何者なのだ?」
本来フェミニズムというのは、社会的・政治的・文化的な不平等やジェンダーに基づく差別に対抗し、男女の平等を追求する思想や運動のことを指します。
たとえば、女性の権利や自己決定権の向上、性別による役割やステレオタイプの解消、女性の社会的地位の向上といった活動が本来のフェミニズムなんです。
決して女性は男性よりも偉いということを示す活動ではありません。
このことから、一般的なフェミニストは至って正常な人たちと考えられます。
一方ツイフェミはどうかというと、異常いきすぎている感がありますよね。
というわけで、僕はTwitter上である調査をおこないました。
何について調査したかというと、いきすぎたフェミニズムの性格について調査しました。
詳しいことは一つ一つ説明していきますので、興味のある方はぜひ読んでいただけると幸いです。
要約
まあ先に結論を述べちゃったほうが良いっていうのはよく聞く話なので、簡単に要約しちゃいますね。
まず、僕は今回の調査をするにあたって、適当に「いきすぎたフェミニズム尺度(Excessive Feminism Scale: EFS)」という尺度を作りました。
どのような項目が含まれているかは後述するとして、収集したデータを|最尤法(さいゆうほう)・プロマックス回転を用いて因子分析をおこなったところ、「女性有能性」「女性優遇性」「性的搾取への反対」の3因子が抽出されました。
また、相関分析をおこなったところ、EFSの3つのファセットはそれぞれ中程度の正の相関を示していました。
さらに、女性優遇性は「平等主義的性役割態度スケール短縮版(short-form of the scale of egalitarian sex role attitudes: SESRA-S)」の得点と小程度の負の相関を示し、性的搾取の反対はサイコパシーおよび代理性サディズムと小程度の負の相関を示しました。
一方SESRA-Sも、サイコパシーおよび代理性サディズムと小程度の負の相関を示しました。
次にSESRA-SおよびEFSの3つのファセットを従属変数に線形重回帰分析をおこなったところ、いずれも危険率が有意水準(.05)を下回る要因はありませんでした。
一応有意傾向だったものとして、外向性の高さと協調性の低さが女性優遇性を小程度予測し、サイコパシーの低さが性的搾取の反対を小程度予測しました。
簡単に言うと、外向的な人や非協調的な人ほど、「女性は優遇されるべきだ」というふうな考え方をもっているかもしれないし、サイコパス度の低い人ほど、性的搾取に反対するかもしれないってことですね。
非常に歯切れの悪い結果ではありますが。
背景・目的
さて、本来の研究ならば初めに背景と目的を書くところなんですが、そんなものないです。僕がふと思ったから調べてみただけです。
本来研究というものはこういうポッと出で浮かんできたことを調査するというのでいいと思うのですが、ちゃんと背景や意義がないと、お偉いさん方から「研究費をなんて無駄なことに使っているんだ!」と怒られちゃうんでしょうね。
だから純粋な好奇心から研究することはできないっていう。
まあでも背景も目的もないのは心寂しいところもあるかもしれませんので、適当にBingGPTに背景と目的を考えてもらいましょうか。
本当のことなのかどうなのかわかりませんが、まあこんなものでいいでしょう。
フェミニズム
先行研究については述べないといけませんね。
とはいっても、フェミニズムについては文化人類学的な文献を読んでもらったほうが確かだと思うので、そちらを読んでいただくほうがいいと思うのですが、これについてもBingGPTを乱用しちゃいたいと思います。
読んだの?
偉いねぇ。
読み飛ばした人は頭良いねぇ。
てなわけでフェミニズムというのはこういうものなんですね。
で、フェミニズムに対する態度は数量化することが試みられています。
その数量化するために用いられる心理尺度の一つが、「short scale of attitudes towards feminism(FEM: Smith, Ferree, & Miller, 1975)」です。
これは、フェミニスト的態度(たとえば、「女性はあらゆる活動領域で男性と歩調を合わせる権利がある」)を、(1=強く反対、5=強く反対)の5段階20項目のリッカートタイプで捉える自己報告尺度です。
まあ、今回使ったのはこの尺度ではないんですけど、文献を調べるとこれが主流っぽいので、便宜的に挙げました。
ダークテトラド
ダークテトラドについては、以下の僕の記事を読んでいただきたいところですが、これに関しても、すべてこの記事で完結していることが望ましいと思いますので、簡単にBingGPTを用いて説明したいと思います。
ちなみに、きちんとした学術研究での初出は、ダークトライアドがPaulhus & Williams(2002)の論文で、ダークテトラドがBuckels, Jones, & Paulhus(2013)の論文です。
ビッグファイブ
これについてもWikipediaとか見てもらえれば早いと思うんですけど、やっぱりBingGPTを利用しますね。
端的にいうと、ビッグファイブというのは最も単純で精度の高い性格特性の組み合わせであり、上記5つの高低で大抵の人物の性格を記述できるとされているものです。
ビッグファイブの初出はGoldberg(1990)の論文です。たぶん。
フェミニズムと性格
さて、ところでフェミニズムに対する態度と性格の関連はどのようになっているかというと、はっきり言ってよくわかっていません。
特にフェミニズムに対する態度とビッグファイブとの関連に関する研究は見つけられませんでした。本当はあるのかもしれないけれど。Google Bardは平然と嘘をついてくるから最悪。
意外にもフェミニズムとダークトライアドとの関連は研究されていたんですよ。
Douglass, Stirrat, Koehn, & Vaughan(2023)の研究によると、フェミニズムに対する態度はダークトライアドのすべての因子と中程度の負の相関があるようです。
また、重回帰分析でも、ダークトライアドすべての因子がフェミニズムに対する態度に小程度の負の影響を与えていました。
さらに、ダークトライアドと性別の交互作用が認められました。具体的には、男性はダークトライアドの得点が低いとフェミニズムに対する態度の得点が女性よりも高いけれど、ダークトライアドの得点が高まるとフェミニズムに対する態度の得点が女性よりも低くなることがわかりました。(一例として下記に性別とマキャヴェリズムとの交互作用を示した図を載せます)
方法
参加者
さて、そろそろ本題に入りましょうか。
参加者はTwitterにてツイートにGoogle Formのリンクを引っさげて、2023年1月27日~5月25日の間に集めました。
参加してくれた人は合計86名(男性28名、女性51名、その他7名;平均年齢30.26歳、標準偏差11.61)でした。
質問紙
平等主義的性役割態度スケール短縮版(short-form of the Scale of Egalitarian Sex Role Attitudes: SESRA-S; 鈴木, 1994):
男性と女性の役割に対する平等主義的な態度のレベルを自己報告するための尺度(例:結婚後、妻は必ずしも夫の姓を名乗る必要はなく、旧姓で通してもよい)。
15項目から構成され、1~5の5段階で評価する。
本調査ではこれをフェミニズムに対する態度を測定する尺度として扱う。
いきすぎたフェミニズム尺度(Excessive Feminism Scale: EFS):
女性を優位に捉える態度を測定できそうなオリジナルの尺度。
調査時は9項目から構成され、(1=まったく当てはまらない、5=非常によく当てはまる)の5段階で評価する。
のちに7項目になる。
日本語版Dark Triad Dirty Dozen(DTDD-J: 田村・小塩・田中・増井・ジョナソン, 2015):
12項目から構成される簡便なダークトライアド尺度(Jonason & Webster, 2010)の日本語版。
(1=まったく当てはまらない、5=非常によく当てはまる)の5段階で評価する。
ダークトライアドの各因子はそれぞれ4項目ずつで測定される。
日本語版Varieties of Sadistic Tendencies(VAST-J; 下司・小塩, 2016):
日常的なサディズム特性を測定する尺度(Paulhus, Jones, Dutton, & Klonsky, 2011)の日本語版。
1~5の5段階で評価する。
4項目の直接性サディズム、5項目の代理性サディズムの合計9項目で構成されている。
直接性サディズムとは、他者に苦痛を直接与えることで快感を得る特性であり、代理性サディズムとは、他者の苦痛を見るだけで快感を得る特性である。
日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J: 小塩・阿部・カトローニ, 2012):
ビッグファイブの各下位尺度を正負方向の2項目で測定する尺度(Gosling, Rentfrow, & Swann Jr, 2003)の日本語版。
合計10項目から構成され、(1=全く違うと思う、7=強くそう思う)の7段階で評価する。
結果
因子分析
まずはEFSが何を測定しているかを細かく分析しましょう。
どうやって分析するかというと、因子分析という方法を使います。
因子分析とは、観測変数から潜在変数を抽出する分析法です。
つまり、集めたデータを分析し、要素に分解するということです。
今回は最尤法・プロマックス回転を用いて分析をおこないました。
その結果、以下のように因子が抽出されました。
表の数字が何を示しているかというと、これは因子負荷量と呼ばれているものです。
因子負荷量とは、その項目がどのくらいその潜在因子に影響を与えているかということを示すものです。
この数字が1に近いほど、その潜在変数を強く説明するということができます。
今回は.40以上を有意な因子負荷量と考え、因子を分類しました。
その結果、9項目中2項目が除外され、EFSには3つの因子に分けることができました。
そして項目の内容から、
因子1:女性は男性よりも有能であると考える「女性有能性(Women Capability: WC)」
因子2:女性は男性よりも優遇されるべきだと考える「女性優遇性(Women Favoritism: WF)」
因子3:過度に性的搾取に反対する「性的搾取への反対(Opposition to Sexual Exploitation: OtSE)」
とします。
なお因子間相関は、WCとWFとで.38、WCとOtSEとで.43、WFとOtSEとで.40であり、クロンバックアルファはEFS: .72、WC: .76、WF: .64、OtSE: .58でした。
また、t検定の結果、性別間での有意差はありませんでした。
相関分析
相関分析とは、2つの変数の関係を調べる統計手法です。
たとえば、身長が高い子は体重も多い傾向があるのか、それとも身長が高い子でも体重は変わらないのかを調べられるのが相関分析です。
相関分析では、たくさんのデータを集めて分析し、2つの変数の関係を数値で表します。
その数値がプラスであれば「正の相関」と考えることができ、一方が増えると他方も増える傾向があることを示します。
一方数値がマイナスならば「負の相関」と考えられ、一方が増えると他方は減る傾向があることを示します。
そして今回の変数を相関分析にかけて出た結果が以下です。
この結果からわかることは、まずEFSの3因子はそれぞれ中程度の正の相関を示していますね。
次にSESRA-Sの相関を見ていくと、WF、サイコパシー、代理性サディズムと小程度の負の相関があることがわかります。
つまり、フェミニズムに対する態度の得点が高いほど、WF、サイコパシー、代理性サディズムの得点が低くなる傾向があることがわかります。
これはDouglass, Stirrat, Koehn, & Vaughan(2023)の研究を部分的に再現していますね。
また、SESRA-SとWFに負の相関があることから、フェミニズムに対する態度といきすぎたフェミニズムは対極にあるという考えを部分的に支持すると考えられます。
興味深いのはOtSEはサイコパシー、代理性サディズムと小程度の負の相関があるという点です。
この関係はSESRA-Sにおける関係と似ていますよね。
つまり、これについても、フェミニズムに対する態度はいきすぎたフェミニズムと重なるところがありつつも異なる信念であることが考えられます。
それにしても、EFSはダークテトラドと正の相関があると考えていたので、負の相関が見られたのは意外でしたね。
しかし逆にいうと、邪悪な性格をもつ人ほど性的搾取に反対しないと考えることもできるので、そこまで不思議なことではないかもしれません。
回帰分析
回帰分析とは、説明変数(独立変数)が基準変数(従属変数)をどのくらい説明するかを分析する手法です。
つまり、ある要素にどの要素がどの程度影響を与えるのかを分析するわけです。
今回は、SESRA-SおよびEFSの各因子を基準変数に、ダークテトラドとビッグファイブを説明変数に設定して分析しました。
ただし、実はこの分析では有意な結果が出ませんでした。
※以下、統計学がわかっている人はスキップ可
ただし、有意傾向は出ました。
有意傾向というのは、危険率が5~10%のものを指し、「統計的には有意ではないけれど、傾向は見られるよ」という苦し紛れの結果報告です。
ぶっちゃけ言って意味がないです。
世の中の研究者は、うまく結果が出ないと、こういう有意傾向を発表して、研究が無に帰さないように足掻きます。
まあ僕自身も研究する身分の端くれなので、気持ち的にはわからんこともないのですが、文献調査すると「質の悪い結果を見せられてもなぁ」ってな気になります。
でもこういうデータだってメタ分析の糧にはなるので、有用なのかもしれませんがね。
で、結局何が言いたいかというと、これから僕が述べることはゴミです。
ゴミでもよければ読んでください、ということです。
以下では有意傾向が出たものだけ述べます。
基準変数:女性優遇性(WF)
この結果によると、外向性の高さと協調性の低さがWFに小程度の影響を与えるかもしれない、ということがわかりました。
つまり、外向性が高いほど、あるいは協調性が低いほど、女性は優遇されるべきだと考える傾向があるのかもしれないということです。
協調性は、思いやり、協力性、寛容さなどを表します。
そのため、それが低いほどWFに影響を与えるということは、WFには邪悪な側面があるという証拠になりそうですね。
まあ有意傾向なんですが。
基準変数:性的搾取の反対(OtSE)
この結果では、サイコパシーの低さがOtSEに小程度の影響を与えるかもしれないということがわかりました。
つまり、サイコパシーが低いほど性的搾取に過度に反対するかもしれないということですね。
これについては相関分析でも同じようなことを言ったので割愛します。
考察
以上が調査の結果です。
もう一度要約を流用してまとめます。
この記事では、適当に「いきすぎたフェミニズム尺度(Excessive Feminism Scale: EFS)」という尺度を作りました。
そして収集したデータを|最尤法(さいゆうほう)・プロマックス回転を用いて因子分析をおこなったところ、「女性有能性」「女性優遇性」「性的搾取への反対」の3因子が抽出されました。
また、相関分析をおこなったところ、EFSの3つのファセットはそれぞれ中程度の正の相関を示していました。
さらに、女性優遇性はSESRA-Sの得点と小程度の負の相関を示し、性的搾取への反対はサイコパシーおよび代理性サディズムと小程度の負の相関を示しました。
一方SESRA-Sも、サイコパシーおよび代理性サディズムと小程度の負の相関を示しました。
これは、女性優遇性はSESRA-Sと対極の概念であり、性的搾取への反対とSESRA-Sは基本的には異なる概念ではありつつも、重なるところがあることを示唆しています。
次にSESRA-SおよびEFSの3つのファセットを従属変数に線形重回帰分析をおこなったところ、いずれも危険率が有意水準(.05)を下回る要因はありませんでした。
一応有意傾向だったものとして、外向性の高さと協調性の低さが女性優遇性を小程度予測し、サイコパシーの低さが性的搾取への反対を小程度予測しました。
これは女性優遇性に邪悪な一面があり、性的搾取への反対は逆に明るい一面があることを示唆しています。
限界
この調査の限界は、まずちゃんとした調査じゃないということです。
極端に言うと、Twitterのアンケートと同じ程度の精度です(むしろそれより低いかも)。
そもそも参加者が100人にも満たないので、回帰分析で有意な結果が出ないのは、当たり前だったりします。
また、当初想定していたような、ダークテトラドの影響がないことも意外でした。僕はツイフェミが嫌いなので、邪悪な性格が反映されていると思っていたんですよね。
むしろ邪悪な性格が性的搾取への反対と負の相関があったことが一番驚きました。
これに関しては、やはり自己報告式の質問紙であることが影響しているんじゃないかと思いました。
つまり、いきすぎたフェミニストは自分が正義だと思い込んでいるため、邪悪な性格を説明する項目に同意しない可能性があるということです。
これは質問紙自体の妥当性まで脅かすことにあるので、あまり言えないんですが、無意識的な水準で性格特性のデータを取れると、思っていた結果が出るかもしれませんね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
個人的には面白い調査だと思ったし、結果自体も意外性があって興味深かったです。
まあこの調査に意義があるのかというとだいぶないと思いますが、本物の研究者さんのインスピレーションになるといいですね。
ちなみにこの記事は著作権フリーにします。
どの部分をどれだけ引用してもらっても構いません。
ただし、研究で参考文献として用いるのはやめといたほうがいいと思います笑
この記事は個人的な興味で疑問に思ったことを割と本気で分析してみたというものなので、俗物です。日記と変わりありません。
なので、こういったツイフェミに関する研究をしたかったら、それなりの目的とか背景をでっち上げてください。
この記事を参考にするのはやめましょう笑
最後に、この調査に協力していただいた皆様には感謝いたします。
またTwitterで別の調査をするかもしれませんが、その際はまた協力していただけると幸いです。僕の知的好奇心の糧にしかなりませんが。
それでは、また別の記事で会いましょう。
参考文献(著者のアルファベット順)
Paulhus, D. L., Jones, D. N., Dutton, D. G., & Klonsky, E. D. (2011). Sadistic personality and its everyday correlates. Unpublished manuscript, University of British Columbia, Vancouver, Canada.
下司 忠大・小塩 真司 (2016). 日本語版Varieties of Sadistic Tendencies (VAST-J)の作成―因子構造およびHEXACOとの関連性― 日本パーソナリティ心理学会第25回大会論文発表集, 109.
鈴木 淳子 (1994). 平等主義的性役割態度スケール短縮版 (SESRA-S) の作成 心理学研究, 65(1), 34-41.
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