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「三丁目の夕日」を夢見て

好きな映画に『三丁目の夕日』がある。時代は昭和。便利になりつつある時代、そこに生きる人々の生活を描いている。

僕は『アベンジャーズ』のような、どんどん展開して行く映画の方が好きだ。しかし、『三丁目の夕日』については、ガラっと話の流れが変わるような展開が見られない。波形でいうと、『アベンジャーズ』の場合、荒波だ。上り下りを繰り返したり、一気に下がったり、様々な形をしている。

一方、『三丁目の夕日』は、凪だ。一本の直線がどこまでも続いている。ドラマも映画もそうだが、何か展開が無ければ、つまらない。サスペンス系の作品で何も起きなかったら、見るに耐えかねてその場を立ち去るだろう。

しかし、『三丁目の夕日』は違う。展開らしい展開がないにもかかわらず、最後まで夢中にさせる。なぜか。それは、温かさだと思う。どんな映画でも、人の悪い部分が描かれている。人を陥れようとしたり、気に入らないものは排除しようとする。だから、面白いということもある。もちろん、『三丁目の夕日』にも、人を騙そうとするシーンはある。ただ、それを上回る人間味がある。

この映画を見たのは、小学生か中学生のとき。その頃なんて、他人と違うことをすれば嫌に思われる。みんな同じじゃないとダメ、みたいな空気が流れていた。だからこそ、この映画のような人たちに憧れたのかもしれない。そのままで生きる、そして、そんな人たちを温かく見守る。

世の中、人の挑戦を邪魔するエネルギーで溢れている。どこから、そんなエネルギーが湧いくるのか、不思議でしょうがない。当時(昭和)は、みんな必死だった。人の邪魔をする余裕なんてなかったのだろう。だけど、あらゆるものが簡単に手に入るようになって、時間を持て余すようになって、エネルギーのぶつけどころが無くなって。

令和でも、「三丁目の夕日」が見たい。

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