ミッドウェー島

中学社会科の授業の紹介「大本営発表と検閲」(中3歴史的分野)

こーぞーです。

このnoteは,こーぞーがかつて中学校で社会科の講師をしていた時の授業を紹介するものです。
今回は,中学3年生の歴史的分野で学ぶ、第2次世界大戦の単元で実施した「大本営発表と検閲」という授業を紹介します。
最近ちょっと思うところがあって紹介したくなりました。

と言っても,この授業のノート等が出てこず,授業で使用したワークシート兼資料が1枚見つかったのみでした…
ノートがないので引用文献の一部も不明という有様…PDFファイルがあるのですが,そのファイルもどうやら現在ネット上にはないようで,お示しするのも気が引けます。
学校で使用していた資料集かもしれません。

使用したワークシート

ということで,使用したワークシートをアップしてみますが,スクラップとして扱ってください。
PDFファイルです↓

以下に問いの答え等を書きますので,お時間がある方は是非PDFファイルをご覧になってから下にお進みください。

ワークシートの問いの答えや補足

ミッドウェー海戦とは
 太平洋戦争の戦局を転換させた海戦。1942年6月5日,ミッドウェー島攻略をねらった日本の連合艦隊が,米軍の攻撃で空母4,重巡1,熟練パイロット多数を失い,劣勢に転じることとなった。
(引用文献 日本史用語研究会(2009),『四訂 必携日本史用語』,実教出版)
ちなみに,このnoteのトップの画像がミッドウェー島です。ハワイより日本寄りの場所にあります。

・問1の,新聞Aは事実,新聞Bは実際の報道です。ミッドウェー海戦における日米両軍の被害状況の書き方が異なっていて,新聞Bの方が実際よりも日本軍に有利に書かれています。
上に示したように,ミッドウェー海戦は日本軍の被害が大きかった戦いです。

新聞Aの印象
日本軍の方が押されている,日本が負けるのではないか,戦地のためにもっと頑張らなくては,こんなに国内総力戦体制で頑張っているのに報われない,など…
新聞Bの印象
殆ど互角である,やや日本が優位である,アメリカを倒せるのではないか,自分たちも頑張ろうと思える,など…

・問2 新聞AとBのどちらを報道させるか
この問いに対しては,AもBも選ばれます。Bが多く選ばれていたように記憶していますが,クラスにもよります。
Aを選ぶ生徒は,ありのままを伝えてもっと国内での戦争の協力を頑張らせる,
Bを選ぶ生徒は,Aの内容は国民がやる気を失ってしまうので,Bを報道してやる気を維持する,
といった理由を述べます。

・問3 例文が検閲により不許可となった理由
(1)は,アメリカ大統領が暗殺されるという油断が生じるために不許可
(2)は,死者数が多すぎるので不許可
(3)①は,敵国のアメリカと融和したかのような印象を受けるので(略
  ②は,1時間は長時間で先行き不透明な印象を(略
  ③は,交渉がさらに続くというのが同じく先行き不透明な印(略

・問4は,いわゆるアッツ島玉砕です。つまりは日本軍が負けたということを意味しているのですが,それを「玉砕」と表現しています。
他にも「退却」を「転進」と表現したことなどがありますね。

独り言

この授業の問2で,生徒の中には,大本営発表と同様の発表をするという意見を持つ生徒も多くいます。為政者の視点に立って考えると,国民に対して与える影響を考慮して,言ってみれば嘘を知らせるわけです。
(生徒に立場を与えて答えさせていますから,それが生徒指導的に問題であるとは考えられません。また,違う先生が授業をしたり学級担任をしたりしていれば,多分生徒が選ぶ意見は大きく変わります。)
恐らく,それはいつの政府も同じなのではないでしょうか。どこかの国の政府はそれが行き過ぎているように思いますが。どこの東アジアの国とは言いませんがね。
大本営発表は勉強しておいた方がいいコンテンツだと言えます。

引用・参考文献

吉田裕(2007),『アジア・太平洋戦争 シリーズ 日本近現代史⑥』,岩波書店(岩波新書)

終戦70年・日本敗戦史(94)『大東亜戦争とメディア②ー嘘と誇大発表の代名詞の<大本営発表>はコミュニケーションの断絶によって自己崩壊
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/7855.html
前坂俊之さんの論文やページは非常に勉強になります。むしろ,このnoteはひょっとしたら,ほとんど前坂さんを紹介しているだけみたいなところがあるかもしれません(笑)

おわり。

この記事が参加している募集

頂いたサポートは、多分知識を得るために使われると思います。