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海の見える温泉で、老け込む。

休日。近隣の公園はほぼ行ってしまった。
新たな遊び場を開拓しようと、五歳息子に尋ねる。

「温水プールと温泉施設、どっちがいい?」
間髪入れずの答えは「温泉でしょ!」
かくして家族で出かけることに。

子を持つ前、妻との趣味は温泉施設巡り。
場所、泉質、施設等……よくランキングして楽しんだ。
最近出来て、まだ行ったことのない場所が――

『幕張温泉 湯楽の里』
東京湾を一望できる露天風呂が売り。
江の島スパの眺望に近く、でもよりリーズナブル。

「最高!」
入るや息を弾ませる息子。大人と並んで露天に寝転がる。
「この海の匂いがいいんだあ」
気づけば、隣のお爺さんとも意気投合。

入浴後はより海風を感じる屋上へ。
息子は芝生に体を横たえ「たまらないよ~」
逆に妻は少女になってハンモックでうたた寝。
私は籐椅子にてトマトジュースをゴクッ。

「パパ、思いついたんだけど」と息子。――何?
「いろいろ行って順位を付けたら面白いんじゃない?」
……もはや三十代だった私と同じ思考。


潮の香や浴後蕩ける籐寝椅子

(しおのかやよくごとろけるとうねいす)

季語(三夏): 籐椅子、籐寝椅子


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