「おやすみなさい」も言わずに寝た。
四歳息子が見せる初めての態度。
今夜は様子が違った。
寝しなのガンマンごっこ。
「バン、バン」と口で撃ち合うサバイバル。
鋼鉄バリア、死んだふり攻撃を持つ息子が毎回勝利で終わる。
パパはもう一体、ぬいぐるみのハナちゃんを操る。
「パン、パン」も拙い、設定2歳の女の子。
いつもは守る彼が、彼女にも銃口を向けた。
むっとした私は、同じ技を持たせ対抗した。
それが我慢ならなかったよう。
どっちが強いか、一対一で決めようと、
背を向けあい三歩歩いて、バン! 対決に。
そこで息子はズルをした。
二歩で振り返って撃った。
審判員のママが指摘し、ハナちゃんが大きく喜んだ。
「お兄たんに勝ったでちゅ」(←私)
以来――
怒りで口を開かない。
かたずけも、歯みがきも全てボイコット。
不貞腐れたまま布団にもぐった。
あとで妻に聞いたら、
彼は息を殺して泣いていたらしい。
何か、思うところがあったのだろうか……
おやすみを言わぬ冷やかなる枕
(おやすみをいわぬひややかなるまくら)
季語(仲秋): 冷やか、冷ゆ、秋冷(しうれい)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?