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[SS]『カップル用はいらない』 +創作メモ 【本文無料】

「二人用なんてウンザリだ」

吐き出した言葉が反響する。
観覧車の中。乗客は隆一人だけ。

クリスマスイブ。
約束の場所に万智は来なかった。連絡すらつかないドタキャン。
予約していた恋愛映画を、隆は一人、カップルシートで観た。
スケートでは手を繋ぐカップルの隙間を一人滑り抜け、
30分借りたVIPルームでヒトカラをした。

こうなりゃお一人様を楽しんでやる。
カップル御用達の観覧車の列に並び……今、後悔している。

夜はディナーを予約していた。
万智オススメのカップルプランがウリの店。
店に入り名前を告げると「お連れ様がお見えです」とボーイ。
席に案内されると、万智がいた。
呆然とする隆に、平身低頭し語りだす。

自分には小学生になる男の子がいること。
その子が熱を出し急遽病院に行っていたこと。
今まで秘密にしていてごめ――

「いいよ、分かった」
隆が口を開く。
ボーイを呼び出し今夜のキャンセルを伝えた。
万智を見て言う。

「二人用はもういい。次は三人で来よう」

(410文字)


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※以下は、決定稿まで(構想~初稿~推敲)のメモです。蛇足。
「ショートショートの書き方」にご興味のある方は宜しければ――_(._.)_

◆参考◆ ↓ こんな感じのプロセスメモです。


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